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コンピテンス5  作者: g.j.jijo
38/47

慟哭1



夕食は5時30分

に出来上がった。


ビーフシチューと、

ほうれん草にベーコンと


チーズを合わせたサラダ、

そしてライスという献立だった。


洋子はビーフシチューを

圧力鍋を使い、短時間で


具材をトロトロの

柔らかさに調理した。


作った女性陣も

満足のいく味になった

ようで会話にも花が咲く。


「ビーフシチューって

手のかかる料理だと思って


いたけど、圧力鍋が

あると便利なんだな」


「そうなのユキチさん、

調理時間が3分の1で済むの」


「市販のルーでも

美味しく出来るんだな」


「でも、赤ワインや隠し味

にウースターソースとか

ニンニクも大事なんだ」


「俺の家ではシチューに

ブロッコリーやマッシュルーム

なんか入れたの見たことがねえ」


「謙二、お前だけじゃないぜ。

俺もはじめての経験だ。


「実の家でもそうか」


「でも、ブロッコリーはよく

マヨネーズをつけて食うだろ」


「大介、お前の場合

家に女がいるからさ。


あたいんちなんか、

男兄弟だから、


ブロッコリーなんか滅多

に食卓にあがらないぜ」


「ユキチが料理を

作ればいいじゃねえか」


「アホんだら、

そんなことしたら


こき使われるだけさ。

でも、これうめえなあ。


そういえば、ユカは

家の話をしたことがないな」


「ユキチ、私のこと

はどうでもいいよ」


「いや、聞きたいな」


「だって私兄妹いないもん」


「そんな事より中学のはじめ

からベースを弾いていたよな」


「私の母がスージー・

クアトロの大ファンだったの」


「誰だよ、スージー・クアトロって」


「ほら、ユキチも知らないんだ」


「実ならわかるんじゃないか」


「いや、俺も知らねえな」


「大介は!」


「『悪魔とドライヴ』だっけ」


「凄え、知ってる奴がいた」


「そんなに驚くなよ、1970年代

に活躍した女性ロックシンガーさ。


ベースを弾きながら歌う

のがトレードマークだった。


結構ベッピン

さんだったはずだ」


「私は『ワイルド・ワン』

が好きだったのよ」


「ああ、そっち

の方が代表曲だな」


「ベースって躰に

ジンジン来るじゃない、

だから好きなの」


「あたいも

ベース音は痺れるぜ」


「ユキチもそうなんだ」


「特にライヴには必要だ」


「私もそう思う」


「なんかユカの話を

聞いてたら、あたいも


たまらなく歌いたくなってきた」

とユキチがいえば、


「よし、じゃあ準備に入ろうか」

と実があとに続く。


それを合図に

みんな食器を手に


一斉に立ち上がり、

あとかたずけに回った。


実が食器や鍋に洗剤をつけて、

大介がそれを水で流し、


謙二がタオルで

一生懸命拭いていた。


女性陣はリビング

で録音準備に入り、


それぞれのパート

に集中し練習に余念がない。




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