渾沌4
レンタル楽器店の用意した
楽器は全てヤマハ製で統一されていた。
大介と洋子は右側にセッティングされた
エレキギターを手にしてまず感触を確かめる。
ストラトのコピーモデルだが
大介がいつも弾いているフェンダー
と比べてもまずまず
弾きやすい部類に入った。
早速、iPhoneの
アプリのチューナーを立ち上げ、
大介は弦のチューニングに取り掛かる。
「俺の音を合わせたら
洋子のも合わせるからな」
「うん、ありがとう。
メーターで合わせるんだ」
「そうさ、昔は
音叉を使ったらしいが、
今は音感がなくても
手軽に音を合わせることが出来るんだ」
「ふーん、でも大介は曲をコピー
出来るから絶対音感があるんでしょ」
「いや、俺には
絶対音感がないんだ」
「え〜、それじゃあ
どうやってコピーするの?」
「ギターフレーズは
動画を参考にしてやる」
「でも、ない曲もあるでしょう」
「その時はコピー譜を探す」
「それも無かったら?」
「何回も聴いて
音を拾うしかない」
「でも、コードはどうするの」
「ベース音で聴き分ける」
「根気がいるんじゃない」
「確かに大変だけど、
その経験が後で生きてくるんだ」
「ふーん、そうなんだ。
難しそうだな」
「B’zはどの曲も人気が
あるから参考になるものが多い」
「うん、それを
聞いて安心した」
そんな2人に
ユキチが近寄ってきた。
「大介、今から
テンポを合わせるぞ」
「オー」
「謙二、はじめてくれ」
「ユキチ、
これぐらいでどうだ」
謙二がタイミングを
計りながらスネアドラム、
ハイハットで刻む。
「うん、もうちょい早く。大介、
イントロのソロパートをやってくれ。
よし、
リズムはそのまま。
大介、チャックの
オリジナルはできるか?」
「ああ、大丈夫だ。
それじゃあ、ここから行くぜ」
チャララ、チャララ
ララ〜とカットイン。
そしてドラムとベースが
呼応してユキチが歌い始める。
「Deep down in Louisiana〜」
あまりにも突然はじまったため、
説子と洋子は完全に置いてけぼり。
ユキチはこの曲を
かなり歌い込んでいた。
英語の発音
が日本人じゃない。
実も途中から
割って入って来ると、
メンバーの気分が高揚
して演奏に熱が入ってきた。
ユキチのヴォーカル
にも色気が溢れる。
3コーラスはあっという
間に終わりを告げ、
大介がギターを掻き
むしりながらフィニッシュ。
ドラムが制止すると
みんなの笑顔がハジけた。
説子がキョトンと、
「私は誰、ここはどこ」
とおっとぼけ。
「説子さん、サビを歌うんだ」
と謙二がアドバイスをすると、
「サビって」
「Go go Go Johnny
go goの部分をユキチ
と一緒に熱唱するのさ」
「わかった、
ありがとう謙二」
「大介、私はいつ
演奏をはじめたらいいの?」
「俺が入る
タイミングを教えるから、
洋子は合図が出たら
とにかく弾きまくれ。
問題はその後
考えればいいんだ」
「うん」
みんな徐々にまとまって
いい雰囲気になってきた。




