思案5
一方コテージでは、
実が中心となり
リビングで談笑していた。
説子は洋子の左隣に腰掛け、
すぐにちょっかいをかける。
「ねえ、洋子心配じゃないの?」
「説子、何が心配なのよ」
「ユキチさんと大介を
暗闇に2人だけにするなんて…」
「それがどうしたの?」
「大介だって男よ、
いきなり抱きついて、
一線を超えたら大変じゃない」
「あら大丈夫よ。
そんなことしたら、
大介は間違いなく急所を
足で蹴飛ばされるから」
「だって、男には力じゃ敵わないわ」
「説子、ユキチさんと私協定を結んでいるの」
「協定?」
「うん、大介がどんなことをいって、
どんな行動をとったか知らせ合ってるの」
「え~」
「変なことしたらすぐにわかるの」
「いつの間に連絡を取ったの?」
「大介が私たちをバンドに
加える話をした時、
ユキチさんが大介の携帯から
私のメールアドレスと電話番号を
調べて連絡してくれたの」
「大介の真意を探るためね」
「うん」
「あいつ、決してイケメン
じゃないけど、どっか惹かれるのよね」
「そうね、心の隅に
引っかかるとでもいうか?」
「おいおい、
面白そうな話をしているな」
「実さんも気になる」
「洋子さん、大介と付き合ってるのかい?」
「中学時代にずーっと
クラスが一緒だった
ボーイフレンドの一人です。
好きか嫌いかといわれれば、
やっぱ好きになるけど…」
「でも、高校が別々になって
凄く寂しがっていたのよね」
「そんなことないわよ、説子」
「ふーん、俺は大介とユキチさん
が、付き合ってるものだとばかり思ってた」
「謙二にもそう見えた、
やっぱりその気だったのよ。
ユキチさんとても綺麗だから…。
洋子は本当に人がいいんだから」
「でも、普通だったらわざわざ
2人を同じリングにあげるかしら。
影でコソコソやらない?」
「確かにそうね、
恋人に恋人を紹介する
なんて、ありえないわね」
「説子もそう思うでしょ。
大介自身、悩んでるんじゃないかしら。
敢えて人とは違う道を選ぶ。
彼にはそんなところがあるから」
「でも、私だったら
知らせてほしくないわ。
私だけをいつも見て
いてほしいから」
「本当!影で別の人と
付き合っててもいいの」
「ダメに決まってるじゃん」
「説子さんには大介のとった
行動が理解出来ないんだよ」
「謙二さんも大介みたいなことする?」
「嫌、絶対にしない。
いっぺんに2人の女性を相手
するほど俺は器用じゃない。
完全に1人に絞る」
「私は謙二さんみたいに、
たくさんの料理を美味しそうに
食べてくれる人は好きよ」
「本当、じゃあ説子さん。
LINEのIDを教えてくれ」
「おいおい、みんなでLINEは共有しようぜ。
それじゃあ、そろそろ本題に入ってもいいか」
みんなが、
「はい」
と応えると。
「これからの具体的なバンド
活動を話していきたい、と思う。
説子さんと洋子さんは
特に注意して聞いてほしい。
秋にはうちに高校も文化祭があり、
そこでオリジナル曲を
3曲ぐらい発表する予定だ。
だからこれからすぐに曲を作って、
もう行動を起こさないと間に合わない。
だから、説っちゃんと洋子さんには、
謙二と大介がマンツーマンで特訓してほしい。
ここでの残り時間は、『Johnny B.Good』
のライブ演奏に集中してくれ。
説っちゃんにはこれから
色々なパーカッションや
シンセサイザー
にも挑戦してもらう。
とにかく音楽漬けに
なるから相当な覚悟を決めてほしい。
いいかい?」
「わかったわ、実さん」
と洋子。
「まずリズムを鍛えよう。
明日からはドラムとベースと
ギターで合わせて練習をしていく。
それまでにコード進行を
徹底的に頭に叩き込んでおいてくれ。
説ちゃんはカホンと
コンガを練習しよう」
「わかった、謙二さん」
「あと2日、目一杯行こうぜ」
と実がみんなの士気を高めると、
それぞれ各ポジションに散り、
楽器を手に練習に熱が入っていった。




