思案2
まだ日が明るいうちに
タクシーはコテージに到着した。
運転手はトランクまで
ゆっくりと歩いて行き、
大きなレジ袋に詰まった
食料品を次々に下ろしていく。
ユキチと洋子はすぐに
コテージの扉に向かい
謙二の名前を大声で叫ぶ。
そして中から
ゆっくり謙二が現れて、
「あーお帰り、なんか用かい?」
ととぼけた顔を見たユキチは、
「重たい荷物がたくさんあるから
実と大介を手伝ってくれ」と一喝。
「ああそうか、なんだお安いご用さ」と、
スタスタと歩いていく。
タクシーからコテージ
までの距離は5メートルも無いが、
重そうな荷物を
持ちながら実は、
「コメがあるから頼む」
「ああ、10キロぐらいあるのか」
と余裕の謙二。
「そんなわけねえだろ」
と大介も突っ込む。
一方、部屋の中に入ったユキチは、
ユカと説子に「ご苦労さん」と声をかけ。
ユカはすぐ様、
「お疲れさま、
食材は揃ったの?」とねぎらう。
「ああ、タクシーの中で
洋子さんと話してたんだが、
今日はビーフカレーとサラダ、
それに好みで鳥の唐揚げを
トッピングすることで決まった」
「唐揚げカレー?」
「ユカ、嫌いか」
「CoCo壱にあったっけ」
「あるよ」
「本当?」
「フライドチキンカレーだけどな」
「ヘェ~ユキチ、よく知ってるわね?」
「あそこは辛さが選べるから好きなんだ」
そこで洋子がいきなり口を出す。
「ユカさん、唐揚げを揚げるの
に大きい鍋がないかしら?」
「なんで?」
「うん、揚げ物って具を
入れると油の温度が下がるから、
なるべく大きなものがいいわ」
「わかった、今鍋を探すから」
といったところで男たちが部屋に揃っていた。
振り向いた洋子は、
「カレー班とサラダ班と
唐揚げ班に分かれて作りましょう。
それでは実さんとユカ
さんと説子がカレー班、謙二さんと私が唐揚げ班、
そして大介とユキチ
さんがサラダ班でどうかしら?
あとご飯もお願いします」
そこでユキチが、
「よっしゃ~とガッツポーズ」
ユカは、
「包丁が2本しか無いから
まず誰かに食材を切ってもらわないと…」
と提案すると、
「実と洋子がいいんじゃないの」
と大介が発言。
ユキチも、
「賛成、決まりだ」
と落着したしたところで、
洋子が、
「ガステーブルが
3ヶ所しかないの。
だから、相談しながら作業してね」
というと一同、
「OK!」
と納得の表情。
班ごとに分かれて
いよいよ準備に入る。
ユカはどんな食材が
調達できたのか物色し始めた。
「牛スネ肉、ブイヨン、玉ねぎ、人参、
じゃがいも、カレー粉、塩、コショウか…。
トマト缶やしょうがやニンニク
が隠し味で欲しかったわ」
というみんながわかる独り言に対して実が、
「ユカ、大丈夫さ。
業務用のカレー粉が
手に入ったからカバーできる」
「ヘェ~そうなんだ」
「牛スネ肉は圧力鍋を
使って柔らかくしよう」
「明日のビーフシチューも
圧力鍋を使うの?」とユカが確かめると、
「うん、そのつもりだ」
「わかったわ、
説子さんも手伝ってね」と念を押すと、
「はい、でも私はただついていくだけでーす」
「本当に説子さんは屈託がないね」
「いい意味ですよねー」
「もちろん」
と柔らかい笑顔の実。
「謙二さん、私たちも
美味しい唐揚げを作りましょう」と、
洋子が鶏肉、醤油、卵と片栗粉を確かめて、
「なんとかなるわ」ときっぱり。
そして、
「ユキチさんは何の
サラダを作るの?」と尋ねると。
「ああ、シーザードレッシング
を作って、ゆで卵とハムを使ったサラダにする。
それでいいだろ、大介」
「ああ、任せる。
俺は一生懸命ご飯を炊くさ」
「それでは始めましょう。
あっ、いけない。アップルパイ食べ忘れてた」
という洋子の変な掛け声で、みんな一斉にズッコケタ。




