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第2話 アマテラス・システム

電子戦の勉強のため普段使わない頭を使って消耗しきっている4人。


「よし、気晴らしのために、お出かけしよう!」


真由美の一言で4人はユニコーン号に乗り込み、小惑星型ドックを出る。


「さて、何処に行こうかな……?」


鳳仙花は星系図を見ながら考える。


「アステロイドベルトに新しいショッピングモールが出来たみたいだから、見物にでも行ってみる?中央の有名なスイーツショップも有るみたいだよ!」


「そうねぇ……折角だから、ソーラーセイルの試験も兼ねて行って見ますかねぇ。」


「んじゃ、決まりだね!ソーラーセイル展開開始!」


ケーナがソーラーセイルの展開用スイッチを押すと、ブリッジ内にけたたましい警報音が鳴り始め、機械音声でアナウンスが入る。


『アメノイワフネ、システム・ウズメの起動を確認。アマテラス・システムを起動します。主動力炉の出力を上げてください。繰り返します。主動力炉の……』


「ケーナ先輩!何してるんですか!?」


鳳仙花は思わずケーナに向かって叫ぶ。


「ソーラーセイルを起動しただけだよ!!」


とケーナは慌てて応える。


「先輩、出力上昇……。」


翔子は慌てむせずに、淡々とケーナに言う。


「わかったよ!主動力炉出力上昇!80……90……100!110!……出力150%!!これ以上は動力炉が持たない!」


ケーナが主動力炉の出力を上げて叫ぶと、再び機械音声のアナウンスが入り、


『システム・ウズメ正常作動を確認。イワト・ロック解除……アマテラス・システム起動。』


ブリッジ中央の3Dモニターに裸の少女が映し出される。


「なにこれ……って裸!?閲覧制限喰らっちゃうじゃない!」


鳳仙花が慌てだすと、真由美が冷静な突込みを入れてくる。


「なに、訳の分からないこと言ってるのよ。それにしても、可愛いわねこの子。」


すると、手元のモニターを観察していた翔子が話し出す。


「航法コンピューターの全力稼動を確認。どうやら、この子がこの船の航法手ね。」


『この子じゃないわ。私の名は【アマテラス式02型AI航法手の『アミ』】よ。貴方たちは何者?』


「現在は帝国暦15000年1月30日、標準時刻で午前8時45分。この船は、元銀河帝国皇室船籍『アメノイワフネ』、現在は終わりの海星船籍『ユニコーン号』よ。私が船長の山崎鳳仙花。」


「機関長のケーナ・星崎。」


「通信士の新堂真由美よ。」


「レーダー担当、翔子・アルバート。」


『ありゃま、10000年以上も寝てたのかぁ……。』


アミの昔話により、終わりの海星の歴史が明らかになった。袂を分かつまでの間は3機のアマテラス式AIで帝国中枢の制御を行っていたとか、袂を分かった後は、たった1機で他のアマテラス式AIを煙に撒いたとか、つるぺた幼女の3DCGは隠すところも隠さずに踏ん反りかえって自慢話を続ける。


「ところで、『アミ』。いつまで裸で居るの?流石に教育委員会とロリコンが黙ってないと思うんだけど?」


『おぉ、そうであった。何か妾に合う服のデーターをおくれ。』


真由美が様々な服のCGデーターをダウンロードしてくると、アミはその中から巫女服を選び装着した。


『おうおう。15000年も経っても、この服は健在であったか♪』


「古式の服もいいけど、今船名も変わった訳だし、洋服でもいいんじゃないかな?」


とケーナ。


『ゆにこーん号じゃったな。ハイカラな名じゃのぉ。』


「純白のローブも有り。」


と翔子。


「メイド服も有りじゃない?」


と真由美。


「でも、システム形式の名称からすると、やっぱ巫女服よねぇ……。」


『色々有るので、まよってしまうのじゃ!』


のじゃロリに戦慄を覚える3人と無関心1人。コレでいいのか『有限会社山崎屋』。コレでいいのか『ユニコーン号』。

結局、アミの衣装は膨大なCGデーターの中身を日替わりでとっかえひっかえし、アミが気に入ったものを制服として採用することになった。ちなみに、山崎屋の制服はオレンジベースのチェックのつなぎの作業着なのだが……。




『ところで、鳳仙花よ。我は演算装置の更新を所望じゃ。』


「え、そんなお金無いわよ?」


『んにゃ、元の船主達が袂を分かった時の銀行口座が未だに生きておるのじゃ。預金額が利子を入れて150兆銀河クレジット程あるのじゃ。』


「「「「ひゃ、ひゃくごじゅっちょう!?」」」」


流石に翔子までもが声を合わせて驚く。


『袂を分かったとは言え、喧嘩別れだった訳ではないからの。と言う訳で、今からお買い物なのじゃろう?帆の操作は妾がしてしんぜるゆえな。ささ、はよう♪』


アミの制御下に下ったユニコーン号はソーラーセイル船としてはあるまじき高速で、終わりの海星圏からアステロイドベルトまでを20分で飛んでしまった。優に光速の20%の速度で……。





『そもそもが、ソーラーセイル船は動力に寄らずに光速航行が可能な船じゃてな。そもそもが加速度の違いなだけじゃが……。』


アミは、鳳仙花のモバイル端末の画面内でそれこそふんぞり返って説明する。


「それでも、あの加速度は反則じゃない?」


『んにゃ、あの程度の加速なぞ、我と同型の船なら普通じゃぞ?』


「スピードもそうだけど、タグボートや鳳仙花の有視界航行よりも的確な車庫入れも凄いよね……。」


『流石に光速を超えることは出来ないからの。亜空間航行(高速道路)は、ゲート(料金所)を通らねばならないが……。』


「高速輸送船や軍艦じゃないんだから、そんなにホイホイ飛べても困るわ……帆船である意味がなくなっちゃうじゃない……。」


『まぁ、我の帆には帆以外の使い道もあるんじゃがのぉ……。ん、そこの小道を右折じゃ。』


アミにダウンロードさせたショッピングモールのマップを、これまたアミにナビゲートさせ、アミが欲しがっているコンピューター部品屋を目指している一行。

部品屋でカタログに目を通しながら鳳仙花はアミに問う。


「ねぇ、本当にこんな高スペックのコンピューターなんか必要なの?」


『今、我が利用している演算機は燃費が悪いからのぉ……最新のコンピューターなら、200台並列接続でも我ほどの燃費にはならんのじゃ。それにの、我は銀河最強の電子戦AIじゃからの。常に新しいものを取り入れていかねばの。』


「と言う訳で、配達は第5宇宙港の123桟橋に係留中の『ユニコーン号』までお願いします。」

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