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作品No.91 「SOS」
空色の中、確かに響いた。
……きっと。
誰かが助けてくれる そう信じていたい
空に負けないくらいに目を輝かせて待つ
君じゃなくても誰かいる 君じゃなくても
鳥が飛ぶ 太陽が全部黒く焦がして
誰かが助けてくれる そう信じていたい
……いたいだけなのに……
血色が世界を牛耳って
海猫が悲鳴を掻き消して
一番星気色ばむ頃には
一人ぼっち 一人ぼっち
SOS
落書きの砂浜 波で戻されていく
白いワンピース 赤く焦がれていく
大切な涙でさえも もう出せない
出せないよ
月が出る 太陽が全部海に潜って
誰かが助けてくれる そう信じていたい
……いたい胸押さえて
暗黒が世界を牛耳って
海猫がいびきをかき出して
一番星 海に沈む頃には
一人ぼっち 一人ぼっち
SOS
苦海の中 浮かんだ孤島に
取り残されて 孤独の痛み
継ぎ接ぎの SOS信号
気付いてよ
誰か気付いてよ
一人ぼっち 助けてよ
SOS




