作品No.89 「ハッピーエンド」
ハッピーエンドは無い。偽物なら有るけど。
嘘臭い幻想よりも、薄汚い現実を求めた。
物語は君と出会う前から始まっていた。
全ての始まりは君では無いんだ。
君と別れてしまった後でも、
終わりでは無い。ずっと続いて行く。
切ない? そんなことはない。現実なんてそんなものだから。
眠っていられるような森も、小人も、魔女も、
12過ぎれば溶けてしまう魔法も、
存在しない。
ハッピーエンドなんか無い。
おとぎの国にいつまで夢を見せられているんだ。
ハッピーエンドなんかいらない。
僕は僕の中でなら永久不滅だから。
終わりなんて見えないんだ。
お話は君と別れた後でも続いていた。
自分の鼓動が弱まるのを聞いている。
僕が消えてなくなった事では、終わりにならない、
ずっと続いていく。
悲しい? そんな事はないんだろ。現実なんてそんなものだから。
話してくれるような鏡も、カエルの王子も、
誰かとキスすれば解けるような呪いも、
存在しない。
ハッピーエンドなんか無い。
おとぎの国もいつまでも幸せではなくなるから。
ハッピーエンドなんかいらない。
そもそもないものをねだっても、
仕方が無いから。
ハッピーエンドなんか無い。
きっと僕には来ない。
悲しい? そんな事はない。
現実は誰かの決めた物語でもお話でも無いから。
ハッピーエンドなんか無い。未来なんて誰がわかるの
ハッピーエンドなんかいらない。バッドエンドも欲しくない。
普通の「END」もいらないよ。
ハッピーエンドなんかいらない。