25/87
作品No.30「無題」
君とまた会える時
君はどれくらい強くなっている
明日に続くこの坂道を
上りきってやっと前が見える。
================================
「おやおや、これでおしまいですか?」
「いや、次のページで最後です」
「それじゃここで休憩しましょう」
「いや、さっさと終わらせます」
「まあまあ、そんなに急がなくても」
「これが終わったら燃やしますから」
「いやいや、世界を救ったノートを、
燃やすだなんて、ダメですよ!」
「燃やします。絶対燃やす!」
「ちょっとちょっと! 私も見たい!」
「嫌です! ダメです! 絶対ダメです!」
風と戯れ、吹き飛ぶノート
それを追いかけ精霊が行く
取り残された私は座り
ため息一つ、目をこする
本当に世界は救われるのか
そもそも、何のために読んでるのか
「良かった。見つかってほんとに良かった。」
精霊がひゅるりと帰ってくる
何はともあれ次で最後だ
草の根に寝転び、ふと気づく
木々の合間から見えたのは
すっかりシアンの空だった