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作品No.21「白」
校庭の真ん中に
咲き誇る唯一の白は、
どんなにけられても、ふまれても、
倒れずに凛と生きていた
それなのにぼくときたら
折れそうにうつむく、目は潤んで、
前にもまして、こんな風に
ただ落ち込んで助けを待つばかり。
いつしかからか、飛べないぼくは、
いつしかからか、飛びたくなった。
校庭の真ん中に
咲き誇るあの色は、
どんなにけられても、ふまれても、
汚れずに白く生きている
それなのにぼくときたら
汚れまみれで、涙まみれで
前にもましてこんな風に
嫌いになったものなんて無かった
いつしかからか忘れたこと
いつしかたしか思い出せそう
校庭の真ん中に
咲き誇る唯一の緑は
どんなにけられても、ふまれても
逃げもせず 静かに耐えていた
笑いかけて閉じた目を
開きかけてまた閉じた
くり返して進んでいく
少しずつ少しずつ
進んでいる
校庭の真ん中に
最後残った一つの白は
静かに耐えて耐えてきた
そのすべてを今にたくして
校庭の真ん中に
忘れものしたんだあの日
確かに手に取った一つ
白色を風に忘れた。
時の流れの真ん中に
ぼくたちは生きているんだ
前にもましてこんなことを
思い出せたやっと