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腕という名の交渉材料

朝教室へ入ると二箇所の机に群がりができていた。1つは当然支ノ倉の席。転校してきていきなり休んだのだから注目が集まるのは当然のことだろう。


だが問題なのはもう1つの群がりだった。


「おうおう、登さんヨォ?ああ?」

「風呂、お風呂・・bath・・・ヌギャァ!」

「何故・・なんでなんだ・・・理解が出来ぬ・・解せぬ・・」


うわぁメンドクセー。


彼らはモブ・・・じゃなくてキングギドラの例のお三方。山田 山根 山口である。

"自称"結花たん親衛隊であり(自称である。重要なので2回言いました)何かある度に僕に突っ掛かってくるのだが、最近それが多くなっているのだ。特に何かした記憶はないんだけどねぇ。

ホント、何かしました?


「おぉい!聞こえてんだろ?既読無視してんじゃねえよ!」

「なんで通常会話で既読するんだよ!おかしいだろ!」

「言葉の綾だ!」

「だから読んでねぇだろぉが!読むなら空気を読みやがれ!」

「親衛隊が読むのは敵の心理よ!」

「おめえの言動が一番読めねぇわっ!・・・まぁとにかく!僕が何かしましたか!」

「聞いたんだよっ!貴様が結花姫とお、お・・お風呂に入ったってことをなぁ!」


デスヨネー。やっぱりソコダヨネー。


「まぁ、そのなんだ?事故というか事件というか救急というか・・・」

「なぁにぃ⁉︎やっぱり本当の情報だったのか!・・・やはり椎名殿の情報は正確だ・・・」

「あ?椎名殿?おい、それ誰から聞いたんだ?」

「あ・・・言うなって言われてたかな?」

「ほぉ・・・?僕を前にしてそんなことするなんて亮市もだいぶ度胸があるじゃないの・・・どうしようかな?投げようかな?殴ろうかな?蹴ろうかな?口に砂利詰め込んでやろうかな?それとも・・・」

「山田司令官っ?なんか敵が変なことを言い始めてるんですけど?」

「あははは。山根少尉殿落ち着きたまえ。アレは恐らくこちらに向けられたものではない」

「ですが、目が笑ってない笑顔って・・・初めて見た・・・」

「山口少佐?変なことを言うのはよしなさいです・・は・はは・・・」

「そうだ、その前にこいつらからぶっ飛ばそうかな?」

「「「ヒィィィィィぃぃぃ!!?」」」

「顔貸せ顔。7発で許してやんよ」

「な、7っ⁉︎数がリアルで怖すぎるっ!」

「まずお前からだ」

「ヒィ!あ、待って置いてかないでぇ!」

「司令官殿!司令官殿は名誉の戦死を遂げられたと報告致します!」

「右に同じく!後世まで語り継がれるでしょう。いや、語り継がせます!」

「そんなこといいから助けてぇ!あぁ!チョット待ってホグゥ!」

「うわぁマジでやりやがったよあいつ・・・」

「アレだな、慈悲というものがないな」

「なにを他人事みたいに。次はテメェラだぞ?」

「ぬわぁぁぁぁ!!」

「にっ、逃げろぉ!」

「僕から逃げられるわけねぇだろ」


その後「ヒィッ早い!」「チョ待っガフゥ!」「イヤァァヌブッ!」などという悲鳴が教室内で発生し、駆けつけたハゲに散々怒られたのだがもうそんなこと覚えていません。なにがあったかなんてホント分からない。何があったの?


・・・はぁ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ほら、そんなに気にしなくていいんじゃない?元気だしなよ登君。」

「既視感が・・・一昨日もそんなこと言われた気がする・・・」

「登くん、大変なんだね・・・」

「うん、同感してくれるだけで嬉しいよ・・」


今はHR後の休み時間。結局僕だけが明智に説教を受ける羽目になり、「あれ?これ今回の件と関係なくね?」みたいな事まで指摘された挙句、「あれれ?これ唯の愚痴じゃね?」みたいな事まで話された。途中から明智が可哀想になってきた。まぁそのおかげでこっちは朝から満身創痍なのだが。


「ここから1日が始まるのか・・・大変すぎる・・」

「アハハ。確かに朝から色々あり過ぎて大変だったね」

「全く、お前もあんなストーカー予備軍に付きまとわれて大変だな」

「まぁ特に被害はないんだけどね?」

「ならいいんだが・・・」


先程の騒動も落ち着いて、人はまた支ノ倉の席に集まっていた。容姿に関しては結花に負けず劣らずなので、目立つところはあるのだろう。


「支ノ倉ならお前の苦労を分かち合えるかもな・・・」

「え?なんで?」

「いや、あれ見れば分かるだろ・・・」

「あぁ。支ノ倉さん、たくさん人が集まってて大変そうだね。まぁ転校してきてすぐだから仕方ないよ」

「そこじゃねえんだが・・まあいいや」

「? よく分からないけど・・・授業始まるから座ろっと」

「あ、もうそんな時間か・・・だりぃ」

「そんなこと言わないの!」

「はいはい」

「返事は一回でしょ!」

「お前は僕の母さんかっ!」

「子供の頃から石森親子の会話を聞いていただけですよ〜」

「くっ、恥ずかしいところを・・・」

「とにかく授業始まるよ?」


僕はしぶしぶ自席に戻り、授業の準備を終えると、先程沢山の人が集まっていた方向へと目を向けた。


そこにはこちらに視線を向けた支ノ倉がいて。


「・・・」


顔を赤らめてそっぽを向いてしまった。


なんでだぁぁぁぁぁ!!?


支ノ倉がこっちを見る理由が全くわからんのですっ!だって僕は大して目立つような人間にはでもないし、転校生に目をつけられるようなことをした覚えはないのだから。


ごめんなさい覚えありますさっきの結花のやつですよねはい。


でも顔を赤らめる理由はないですね。りんご病なのかしら。


教科担当の先生が入ってきたため、考えることを止めようとした僕だったのだが・・・


不意にこちらを向いた支ノ倉と目が合って、分かりやすいウインクをされた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「クソ・・・気になってしょうがねぇ。こっちが聞きたくても休み時間になると人混みができて話せないし、昼休みはどうなるか簡単に予想できるし・・・」


今は授業中である。この話は勿論、支ノ倉を指して言っている独り言。先日の放課後、ゲーセンであったことに加えて、授業前の謎ウインクの所為で、僕はすっかり集中力が切れ、ずっとこの問題に頭を悩ませていた。


だって支ノ倉だよ?美少女だよ?そんな方が「the 平凡」を貫き通す僕に目をつけるわけなくね?ホント何がしたいんだろう・・・


「え〜これはこうであるからにして、ここはこうでそこをああして・・・じゃあここの問題を・・・石森?おーい聞いてるか?」

「はい、√3ですよね?」

「・・・何故歴史の授業で平方根が出てくるのだ?」

「あー勘違いですすみません」

「棒読みをやめろ」

「円周率を直径にかけるんです」

「・・・するとなにが出るんだ?」

「毛根の太さです」

「円周の長さじゃボケェ!」

「せんせー歴史の授業してください」


なんて会話も混ぜながら。


悪いのは僕じゃない、全ては支ノ倉の所為なのだ。ぬぐぐぐぐ。


そして何もわからぬまま4時間目までが過ぎる。


「え?もう飯?」

「登くん・・・さっきまで何をしていたの・・・?」

「記憶を探し回っていた」

「どれくらいの距離?」

「ざっと三千里くらい?」

「・・・大変だったね」


万里の長城の十分の三を探し回っていたわけなのだが、(万里の長城は中国の里の単位で表せば本当に一万里くらいになるんだそうで、この表現は正しいのです)記憶は見つからなかった。お母さんは見つかったかもね。なに言ってんだこいつ。


支ノ倉に話を聞きに行きたいのは山々なのだが

案の定、支ノ倉の周りには沢山の人が集まっていた。流石にあの空気に突撃するのは憚られる。


「支ノ倉さん?今日私たちとご飯食べない?」

「いや、俺たちと食おうぜ?」

「うるさいわよ!支ノ倉さんは私たちと食べるんだから!」

「あ?たまには俺たちにチャンスをくれてもいいだろうが」

「とにかく!私たちと食べよ?支ノ倉さん」

「待て待て!こっちに来ようぜ?支ノ倉さん?」


流石にあんなところに行くのは嫌なので、聞くのは諦めよう。放課後にでも話に行けば間に合うかな?


ということで僕は結花を探す。支ノ倉の周りに人が集まっているということは、支ノ倉に注目が集まっているということでもあり、それは僕が結花に話しかけてもあまりばれないということにつながる。自意識過剰とか言うな。そしてそれが自意識過剰ですまないから嫌なんだよ。


「おい結花?飯食おうぜ。今日は作ってきてくれたのかな?」

「あ、うん。ちゃんと作ってきたよ?」

「いいねぇ。じゃあさっさと行こうぜ。今を逃すとまた邪魔されかねないからな」

「はぁ・・・出来れば普通に出来ればいいのにな」

「ほらほら、とにかく行くぞ?」


と、急いで出て行こうとした時。


「あ、待って石森くん」


と引き留められた。

なんだろか?支ノ倉に注目が集まっているはずだからこっちに気付く人がいるとはそう思えないんだけど・・・

つまり気付いた人は、支ノ倉に注目をしていない人でした。


「・・・な、なに?支ノ倉・・さん?」


そう、僕たちに話しかけた人は支ノ倉だった。

僕の「みんなに気付かれないように教室を後にしよう作戦❤️」はこの一言の所為で砕け散る。


「石森くんと・・・あと如月さん?これからお弁当かしら?」

「えーと?そんなところです?」


別にいきなり話しかけられたから上がっちゃって疑問形になったわけではない。僕と結花が一緒に弁当を食べると聞いた時に僕に向けられた視線の鋭さと冷たさに恐怖を覚えただけです。

でも本当の恐怖はここからでした。


「そう、なら良かったわ」

「・・・良かったと申しますと?」

「一緒にお弁当を食べないかしらと誘うだけよ」

「・・・はぁ。・・は?」

「だから、お昼を一緒に食べましょうということよ」

「え?は?ん?」

「言い忘れたけど事情があるから如月さんは別で食べてもらえると助かるわ」

「なんでっ⁉︎」

「私があなたと2人で食べたいのよ、石森くん」

「ーーーーーー!!?」


そして、ICBMもビックリの威力を持つこの爆弾発言によって、クラスの人間がみんな荒れ狂う。ここに性別の境目はなかった。


「は?なんで?おかしくね?なんで支ノ倉さんも登につくの?なに?催眠術かなんか?おい!目を覚ませ!」

「今日のところは私たちと食べない?支ノ倉さん?ねぇねぇ。あんな特徴のない男子、放っておきましょ?」

「よし、殺ろうぜ?今すぐ殺ろうぜ?」

「おい、お前ら!そんなにでけぇ声で言ったら登の野郎に聞こえるぞ?」

「そ、そうだ!俺が背中を取るからみんなで一斉に正面から殺ってくれ!」

「・・・・・・」


催眠術師かを疑われ気にしている事を言われ、更に自分を目標(ターゲット)とした殺人計画が目の前で練られているという「どこのフロム・ダスク・ティル・ドーンだよ」というくらいカオスな状況が目の前で繰り広げられていた。もはやツッコむのすらめんどくさい。


だが、そんなカオスな状況をなんとも思わないのか、支ノ倉は僕の腕を引っ張って連れて行こうとしてきた。そんなことされて黙ってられるほど人間できていないので、思わず焦って、引っ張られた反対側に移動しようとしたのだが、


「・・・んっ!」


と、その反対側の腕にも柔らかい感触が生まれた。


「ゆゆゆゆ結花さんっ⁉︎」


その感触の正体は結花さんですね。腕に抱きつくようにしているため、胸が思いっきり当たってるんですね。なるほど。


なんて冷静にいられるわけねぇだろアホかっ⁉︎


「お前らっ!ちょっとほんとに何やってんの⁉︎」

「如月さん、その腕を離しなさい。さもないと、この腕が悲しいことになるわ」

「支ノ倉さんこそ離してよ!そうしないと・・えーと・その・・登くんの腕取れちゃう!」

「あなたが譲ればいいだけよ、如月さん」

「その言葉、そっくりそのまま返しますっ!」

「じゃあコレがどうなってもいいのね?」

「そっちこそ!コレがどうなってもいいんだね⁉︎」


ヤメテェェェェ!!僕の腕で争わないでぇ!つか腕が悲しくなるってどういうことだよ!なんで人の腕を交渉材料にしてるんだよ、2人ともっ!


そんな僕の叫びは届かない。


「・・・退かないなんていい度胸。・・私無しじゃ生きていけない腕にしてあげる」

「私無しじゃ生きていけない腕ってどういうことっ⁉︎」

「ふん!そんなんじゃ私は負けないよ!だったらこっちの腕を虜にすればいいだけなんだから!」

「結花っ⁉︎ちょぉ!それはほんとにやめてくれぇ・・・」

「・・それは卑怯。あなたにしかできないこと」

「へへーん!悔しかったら支ノ倉さんもやって見れば?」

「・・・えい」

「イタァァァァァ!!?ちょっ!支ノ倉さぁん⁉︎今ボキッていったよね⁉︎完全にいったよねこれ⁉︎」

「・・これでこの腕は完全に私中毒」

「むぅ、なかなかやってくれるなぁ・・」

「その戦いは何を根拠に繰り広げられているんだっ⁉︎」

「なら、これならどうだ!」

「ギャァァァァ!!」

「・・流石、私のライバルなだけはある」

「そちらこそ、すごい上手」

「・・ここからは真剣勝負。恨みっこなしでやる」

「ふふ、望むところよ!」

「「かかってきなさい!」」

「僕の腕がぁぁぁぁぁぁ!!!!」


僕の腕は、暫くの間悲鳴をあげていた・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ひどい目にあったなぁ、おい!」

「うう、ごめんってばぁ」

「ごめんで済めば警察要りません!」


結局あの後、両者一歩も譲らぬいい勝負が繰り広げられて、判定の結果引き分けになったそう。支ノ倉が諦めて、今回は結花に譲ったんだとか。


「支ノ倉さんね、『・・引き分けなら仕方のないこと。今回は先に約束してた如月さんに譲ってあげる』って言って他の女子とお弁当食べに行っちゃったの。なんか、私が子供みたいに扱われて悔しかった!」

「・・・そんな熱弁する暇あったら僕の腕の痛みを取ってください」

「だからホントにごめんって!」


そういえば、今回の件で男子は一切介入してこなかったのだが、僕の腕が拉致られていたのを見ていた男子どもは、可哀想な目で見ていたやつ半分、羨ましそうな目で見ていたやつ半分、自分の腕を見て、ため息をついていた奴1ミリという比率であった。例え美少女だとしても、痛みを伴うことはされたくないという奴がクラスに半分いて安心した。


「なぁ結花?確かに約束していたからっていうのはあるだろうけど、なんであそこまで僕と飯を食うことを譲らなかったんだ?別に支ノ倉さんにポイしても良かったんじゃないのか?」

「ええ⁉︎それは、その・・ほらアレだよ!やっぱり約束は守らなきゃだし、お弁当がどれくらい美味しいかその場で聞きたいしね?」

「あー、分かった。そういうことか。じゃあ早速頂こうかな?」

「う、うん!あ、こっちが登くんのお弁当ね?」

「ほーい、いただきまーす!」

「これ美味しいんじゃない?」

「おー!美味い!・・結花のやつに入ってるのうまそう。いただき」

「あああ!それ、もう口付けてる・・」

「ん?別に気にしなくていいだろ?もらいまーす」

「ああああ・・」


僕たち2人は、ゆったりとした時間をすごした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして時間は過ぎて帰りの時間。


いつも通り、亮市と合流して、ウチに帰る。

「登ぅ〜今日はなかなか素晴らしい体験をしたみたいね?」

「情報早・・こちとらそれどころじゃなかったってのによ?」

「美少女2人に腕を取られるなんて、正に両手に花状態よ?」

「まぁそりゃそうなのかもしれないけどさ?未だに腕痛いし・・・」


腕が痛いと言えばなのだが、支ノ倉にえいされた方の腕が未だに痛い。アレはホントにやばい。なんかの拳法かよ!ってレベルだった。


「拳法みたいって・・・そりゃ流石に言い過ぎでしょう?」

「まぁ言い過ぎだけどさ、でも痛かったんだぜアレ?」

「登の趣味にぴったりじゃないの?」

「よーし、拳で語り合うか?」

「あ、支ノ倉さん!」

「あ⁉︎なんだそりゃ⁉︎あれか?子供のUFOか?そんなのに騙されるわけないだろ!」

「いや、マジモンで!ホントにいたんだって!」

「じゃあどこか言ってみ?」

「登の家の前らへん」

「んん?・・・やっぱりいないだ「奥義、蛇竜絞殺!!」ぐがぁぁ!!」


まんまと奥義にはめられる僕。蛇竜絞殺は伊達じゃないのだ。


「登くんは弱っちいなぁ!じゃあ、また明日ねぇ!」

「死ねクソ野郎っ!」


・・・はぁ酷い目にあった。


もう心はズタボロです。

そんなときには家に帰るのが一番ですよね。

家は心の拠り所!


「ふぅ〜、ただいま!」


さぁ我が家よ!我を抱きしめてくれ!


「あら、おかえりなさい」


ムギュっと本当に抱きしめられた。


うーん、日頃この家に愛を注ぎすぎたのかな?お家の妖精的なものが発生したのかもしれない。


んなわけあるかい。


その声には聞き覚えがあった。

だが前も言った通り、僕の家に親がいるわけがない。

じゃあ一体誰ですか?ホントに妖精さんかしら。


真実はいつも一つでした。

今回も例外無く。


声の正体、それは噂の転校生、支ノ倉だった。


「ぬわぁぁぁ⁉︎ どうして支ノ倉が僕のお家にぃ⁉︎」


あまりに驚いて、『お家』って言っちゃった。

支ノ倉は「あれ、聞いてなかったの?」と少し驚いた表情で聞く。


「今日から私、ここに住むんだけど?」


・・・えーと?

今なんとおっしゃったのか僕には理解できません。

それどういういみかなぁ?

ぼくちゃんわかんないっ!

僕の思考回路が復活したのは5秒後でした。


「はっ?え〜と、君が一緒に住むの?」

「そうよ?」

「僕と一緒に?」

「はい」

「二人で?」

「それが何か?」


ニコリと言われた。全て即答で。

へぇ〜、一緒に住むの。そうなんだぁ。


・・・・・・・・・


なんでだぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎

なんで支ノ倉が僕の家に住むことになるんだぁぁ⁉︎

意味わかんねぇ!

誰か説明してくれぇぇ!


「いや、私は別に一緒に住んでも問題ないから、大丈夫よ」

「僕が大丈夫じゃねぇからぁぁぁ!」


なにがダメかって主にアレが!

アレがこうなってああなっちゃうからぁ!

男性諸君ならわかるだろぉ⁉︎

「あぁ、そういうことね」と支ノ倉。

ほっ、どうやらわかってくれたみたいだ。・・・わかって欲しくないけど。


「テレビのチャンネル権はそっちに譲るから。」

「僕の貞操を心配してくれぇぇ!」


・・・あ。

しまったぁぁ!大声で言っちまったぁ!


「えっ?あぁそっち?心配しなくても私が手伝ってあげるわよ?」

「その発言で、僕の貞操が危ういんだぁぁぁ!」

「それじゃあ、今手伝ってあげよっか?」

上目遣いで近寄って来る支ノ倉。

「えっ、嘘でしょ?」


焦り出す僕。


「いやチョット待て!マジで!ホントたんま!ちょっ、ダメだってばぁぁ!」


全力で逃げ出す僕。

ドラクエのコマンドに『にげる』があったけど、それを見て

『おい、勇者が逃げんのか?』

って思ってたころの僕をスリッパの底に逆向きで画鋲付けてひっぱたきたい。

勇者にも逃げさせてあげよ?なっ?

僕は勇者じゃないけど。遊者にもなりたくねぇ。だって今マジでズボンの中に手いれようとしてたもん!危ないわっ!いやらしい!若者の性が乱れていますっ!


全力疾走で我が家から飛び出し、即電話。相手は父親。多分この時間なら電話にでれるはず!


「もしもし⁉︎」

「ん?なんだお前か。お前から連絡よこすなんて珍しいな。女にでもいじめられたか?」

「見てたのかよっ⁉︎」


うちの親は最悪だ。


「違う違う。今日家に女の子が来ただろって話だ」

「やっぱりあんたの仕業かぁぁぁ!」


マジでろくなことしねぇ。

戦闘機の先端に突き刺さって死ね。


「ふぅふぅ。とにかく!あいつは・・・支ノ倉はなんなんだ?」

「うん、あの女の子としばらく一緒に暮らしてやってくれ」

「まず僕の質問に答えやがれぇぇぇぇ!」

「あの子は最近引っ越してきたばっかでな?オマケに親族が一人もいないらしいんだ」

「・・・⁉︎」

「でだ。それをたまたま俺たちが耳にして、ウチなら一人くらい増えたってなんも変わられねぇだろと思って、ウチで預かることにしたんだ」

「話は分かった。でもな親父」

「おうっ、なんだ?」

「僕に一言断ってから行動に移しやがれぇぇぇぇぇぇ!」


ツーツーツー


電話切られた。『僕に一言』辺りで切られた。

マジで意味わからん。

そういうことで僕の転校生(引っ越して来て一日目)との異常な同棲生活(相手は美少女)が始まった。


えっ?夢のような生活?

・・・そんなこと思ってないよ。・・・多分。


3週間弱ですか?

更新遅くなってすみません

これを更新と呼ぶのかはもう分かりかねます…

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