表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

お酒は大敵?

家へ帰ると、まず僕は風呂に入った。


チャポン


「ふぃ〜。まさに天国・・・最初にお湯の中に浸かることを考えたやつは天才だな。これが冷水とかだったら、今の日本の文化は恐ろしいぐらい違っていたんだろうなぁ」


ホント、なんと素晴らしい文化なのだろう。そりゃ、ローマでも真似したくなるわ。テ○マエ○マエじゃないけど。

そして、そんな環境では必然的にテンションも上がる。そして調子にのる。


「今ならなんでも出来る気がする・・・よし!子供の頃できなかった『浴槽前回り!』を今こそ成功させる!よし!この反動ならいける!作用反作用だ!テコの原理だ!世の中なんでも出来るように上手く出来てまゴブッ!」


というように、浴槽の地面に顔面をぶつけて暫くの間悶えていたり。


「クソ!こんなんじゃ終われない!押してダメなら引いてみろ!『浴槽後回り!』を成功させる!よし!この反動ならいける!万有引力だ!相対性理論だ!世の中上手く回るように(2つの意味で)出来てまゴブッ!」


というように、浴槽の地面に後頭部をぶつけて暫くの間悶えていたり。


「な、何故だ・・・何故こんなに上手くいかない。こうなったら致し方あるまい。秘技、『浴槽横回り!』を見せてやろう。フハハハハ!出来る!私にも出来る!いいぞ!このままずっと回れる気がするぜ!ヒャッハァァァァ!!ゲロゲロゲロ」


というように、気持ち悪くなったり。


兎に角、風呂は遊び場です。少なくともプ○ステよりは遊び場になる。うんきっと。


プ○ステといえば。

とある日、昔からずっと愛用していた60GBのプレステを「さて、今日もやるかな!」と軽いノリで起動したら「ピピピッ」とか言ってシャットダウン。何度も繰り返すも、電源ボタンは黄色く光るのみ。そして、僕が黄色いランプ、通称「死のランプ」の存在を知ることとなったのだ・・・


とかいう、軽いトラウマがあることを思い出した。黄色いランプが点いたら諦めたほうがいい。いっそのこと、清々しく送り出してあげよう。


「君は良い友人だったが、君の父上(ソ○ーのこと)がいけないのだよ!(主にアフターサービスが終了していたこと)ハッハッハ」


とかなんとか。


と考えていると、なんか突然浴槽が暗くなってきた。


「え?なんか浴槽が暗いんだけど?なに?タイムスリップ?テル○エ○マ○ですか?あれか?さっき伏線立てたか?やば。つかマジでこれ何・・・」


ここで僕の意識に黄色いランプが点いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「・・・て!・・ってば!・きて!」


という声で僕の意識はグリーンになる。間違えた、クリーンになる。

そして、うす目を開けると、目の前に知り合いの顔があるという、絶対にあり得ない光景が広がっていた為、もう一度意識を落とそうとして・・・


「ってもっかい寝ようとするな!」


と首筋をチョップされた。


「ホグァッ!・・・グフッ・・あれ?おかしいな。なんか川の向こうで死んだバァちゃんが手ぇ振ってる・・・」

「あぁ!強くしすぎたっ!加減忘れたっ!ごめん、昇くん!取り敢えずお願いだからその川渡らないでぇ!」

「んぐぐぐ、ん?なんか今、死んだはずの結花の声も聞こえて・・・」

「誰が『死んだはず』よ!」

「グヘェ!・・・あぁバァちゃん。時が見える・・・」

「いい加減起きなサァイ!」

「すみませブハァ!」


よく分からない状況で意識を取り戻した後、よく分からない状況で3発チョップを喰らうという、理解不能なことが起きていた。


「はぁ?覚えてないの、登くん?なんか、昇くんの家から痛みに堪えている声が2回と、よく分からない苦しみを味わっている声が1回の計3回の謎ボイスが聞こえた後、それきり静かになったから何かあったのかと思って急いで家にお邪魔したら、お風呂でのぼせてるんだもん!ホント、こっちがどんだけ焦ったか、分かってるの⁉︎」

「あ、成る程、納得しました」

「その年でのぼせるまでお風呂に入りますか普通⁉︎」

「いや、ちょっとテンションがおかしくて。うん、あの時の僕は色々おかしかった・・・つか風呂?・・・お前、一応聞いとくがどうやって僕を風呂から出したんだ?」

「ヒェッ⁉︎いや、それはその・・・なんというかですね、怖い話ですよ?」

「・・・怖いけど聞こうか?」

「大丈夫見てないからっ!隠したから!そんなのに興味ないし!」

「いやまぁ、興味あったら困るんだけどさ・・・」

「大体、なんですぐこんな話になるのよ!」

「それはこっちが聞きたいよ・・・」

「結局登くんがヘンタイなんだよ!」

「最終的に僕のせいになるのか・・・」


まぁ結花が見てないと言い張るのなら見てないのだろう。つーか見られてたらマジで困るんだけどね。恥ずかしい。


「あぁ、後今回は助けてもらったからなんとも言えないんだけど、いくら幼馴染と言ってもやはり相手の家に許可なく侵入するというのはどうかと思いますがね?つかまずどうやって入ったんだよ?」

「いや別にいいでしょ?だって登くんのお母さんが『あ、結ちゃん久しぶり〜。はい、これあげる。登いつも1人だから勝手にウチの中入っていいわよ〜(笑)』って合鍵くれたんだもん」

「ウチの母さんはなにしてくれとんじゃぁぁぁ!」

「そのおかげで命拾いしたんだよ?」

「息子にも見られたくないもんとかあること理解してるんですかぁ⁉︎もうちょっとプライバシーってもん考えましょうよ⁉︎」

「プライバシーって・・・普段そんなに悪いことしてたの?」

「いいえしてませんっ!」

「なら問題ないんじゃ・・・」

「大有りにきまっとんでしょぉがぁ!じゃあ逆に聞きますけどね?今僕が結花の部屋に突撃しても大丈夫なんですかぁ?」

「ええ!困るよ!」

「それとおんなじことでしょぉ!」

「そんなもんかなぁ?」

「いやそんなもんだろ!」

「フゥフゥ」

「ハァハァ」

「ヒーヒーフゥー」

「それお産のやつ!」


なんて馬鹿なことを言い合いながら、着々と準備されていく夕飯を見て、僕の頭にとある疑問が浮かぶ。


「お、おい?なんでそれが当然であるかのように夕飯が準備されているんだ?」

「いや、折角お邪魔したからそのまま食べていこうかなと」

「いやおかしいだろ!」

「えぇ〜。食べようよ一緒に〜」

「ダメだダメだ!ついこの間も、お前と飯を食ったばっかりにクラスで居場所が無くなったんだぞ?もし、この様子が誰かに見られたらもう、殺されるじゃ済まないかも・・・」

「流石に考えすぎじゃない・・・?」

「いや、殺されるな・・・」

「あ、これよそってもらえる?」

「お、いいぞ!あぁ!美味そうな料理だ!」

「でしょでしょ〜?自分でも中々上手くできたと思ってますよぉ」

「うんうん・・・ってなるかいっ!」

「ええ〜。ここまで結構良かったのに」

「ほんとだよ!素で流されたわ!お前心理術に長けすぎだろ!」

「心理術って・・・そんな事できたらまず登くんを・・・(小声)」

「ん?なんか言ったか?」

「いーえ!別に!」

「まぁ、ここまで用意してもらって今更帰れは酷いよな・・・」

「いっただっきまぁす!」

「せめて気ぃ使ってくれよ!」

「はいアーン」

「こりねぇな!」

「な、なんのことよ!」

「自分に都合の悪いことは記憶から消える設定なのか・・・?」

「だからなんのことよ!」

「素なのっ⁉︎」


そして、流されながらも最終的にご飯は食べました。なんだかんだ言いつつ美味しいから(僕も基本自炊だから悔しい。今度作り方でも教えて貰おうかな)めっちゃ食べてしまい、動けなくなった僕は暫く結花とお話をして楽しんでいた。


「そういえば、なんで結花は織田館に来たんだ?」

「そりゃ勿論登くんが・・・じゃなくて、えーとなんとなく?ほら、名前がなんか良くない?」

「それは本当に思うよな。『おだやか』だぜ?完璧穏やかだと思ったのによ」

「あー、確かに穏やかじゃないかも・・・」

「亮市と有馬? そこらへんで僕の生活が騒がしくなってる気がするんだよなぁ」

「うんうん、確かにそこらへんだね」

「特に亮市だな。うんうんあいつのせいに違いない。いやまぁ、いいところはあると思うぜ?結構話は合うし根っこはいい奴だけど。でもさ?あいつのせいで僕が普段どれだけ苦労しているか・・・」

「ん?呼んだかい?登?」

「んんん?あ?なんだ、亮か、全くびっくりさせやがって・・・お前は馬鹿なのかっ⁉︎」

「なになに?最近はノリ突っ込みまで始めたのか?相変わらず元気だねぇ」

「てめえ!一体何処から入って来やがったっ⁉︎」

「鍵穴をチョコチョコっと」

「ピッキングしたのかよっ⁉︎」

「まぁそれはさすがに嘘だけどよ。それにしても、登はすっかり突っ込みキャラになったねぇ」

「誰のせいでここまで突っ込みスキルが高くなったと思ってるんだ⁉︎」

「うーん、結ちゃん?」

「てめぇだろぉ!」

「そんな、心外だよぉ」

「投げとばすぞっ!」

「あっやめて、お前がやると本当に危なヌグワァァベフシッノグゥッ!」

「あ、登くん・・・なんか泡吹いてるんだけど・・・」

「さぁて風呂入るかぁ!」

「あ、そういう扱いなんだ。そうなんだ。いい奴でもそんな扱いなんだ・・・」

「いい奴?そんな奴最初からこの家・・・この世界にいなかっただろ?」

「亮市くんが存在を壮大に否定された!」

「りょう・・いち?」

「記憶から⁉︎」

「りょう・・いち?」

「やっぱりそうなんだぁ!」

「いや流石にそれはないけどよ・・・おーい結花さん?いや、冗談だからさ?結構冗談だから。頼むから金属バットを置いてきてくれぇ。つか金属バット⁉︎どっから持って来たんだよ⁉︎」


亮市はその後お引き取りいただいた(玄関に置いておいたりとかは決してしてない。決っして。そういえば亮市のポケットからも僕の家の鍵が出てきたので、多分ウチの馬鹿母に渡されたものなのだろう。ピッキングじゃなかったのは安心なのだか、なんか犠牲者みたいに思えてきたので玄関にいた、じゃなくてたまたまいた亮市の耳元で「お前は強盗に勘違いされた。お前は強盗に勘違いされた。お前は・・・」と念仏のごとく唱えておいた。あいつが馬じゃなければきっと届いているだろう)。


そして僕はお風呂に入る。


「え?なに?私でもそんなにお風呂入らないよ?しず○ちゃんなの?そうなの?」


と結花に言われたが気にせず入る。


「あ、因みに朝起きて一回、帰ってきて一回、飯食って一回、寝る前に一回の計4回風呂に入ってるぞ?」

「地球の水がしず○ちゃんと登くんに消費されていく・・・」


と言われても気にせず入る。


ザハァン


「風呂って最高!テンション上がるぜ!今ならなんでもできる!よっしゃ『浴槽前回り』を今こそゴブッ!」


背の高さ的に無理があるのだがなんとなくできそうだからチャレンジしている。


「ふぅ、まぁいつも風呂はソロだからなぁ。小さい頃は親父と入った気もするが・・・いつの話だったかねぇ。亮市を玄関に置いてこないで風呂に入って貰えば良かったかな?誰か一緒に入ってくれると結構楽しいんだよねぇ。そういえば小さい頃といえば結花とも入っていたな。今じゃありえねえが、まあ楽しかったな。また一緒に入れたりしてな、なんてね」


さて、時間は3分遡る。


「はぁ、登くんがしず○ちゃんなのは分かったけど、なんでそこまでお風呂に入るのかなぁ?まぁサッパリするけどそこまで入らなくても・・・今聞いてみようかな?」


結花は浴槽へと向かった。場所を知っている理由は小さい頃に何回も入っているからだ。


ガラガラ


「くっ、相変わらずここは立て付けが悪い。いつも登くんはスルッと開けてるのに。コツでもあるのかな」


「ねぇねぇ登くん・・・」


と聞こうとした時、登の声が結花の耳に届いた。


「そういえば小さい頃といえば結花とも入っていたな。今じゃありえねえが、まあ楽しかったな。また一緒に入れたりしてな、なんてね」


「・・・・・え?え?・・・ええええ⁉︎」


結花の顔がどんどん赤くなっていく。


(また一緒に入れたりしてって、まさか私と入りたいってこと⁉︎お風呂に⁉︎お、お風呂って服脱ぐし、ていうか現在進行形で登くんも裸でしょ?も、もしかして私になら別に裸を見られても良いとか・・・いや、私も別に登くんなら・・・ってなに言ってるのわたしぃ!で、でも登くんが一緒に入りたいって言うなら・・・よし!)


そして現在に戻る。


「まぁ実は1人で入るのも色々と考え事が出来て良かったりするんだよな」


コンコン


「ん?今ノックしたの誰だ?」

「あぅ・・・登くん?あの、お風呂・・わた、私もその、は、入りたいっていうか・・・」

「は?ふーんそう・・・ってなるわけねぇだろっ!!お前今何歳か分かってるのか!」

「ぁ・・お邪魔します・・・」

「聞いてるのかっ⁉︎て、おい、マジで入ってくるのか?」


ガラガラ


「は、恥ずかしいからあんまり見ないで・・・」

「だったら最初から入ってくるなよ!」

「だ、だって登くんが私と入りたいって言うから・・・」

「え?僕?・・・あ・・・」

「え、その・・・嫌だった?私が入って嫌だったかな?」

「ヒェ?いや、嫌だというかその、別に嫌じゃないけど・・・結花だし。でもな?その、自分の外見を少し考えてくれよ」

「が、外見?」

「は?お前本当に自覚ないのか?顔良しスタイル良しオマケに性格まで良しの幼馴染が一緒に風呂に入ってたらこっちの理性がな?その・・」

「の、登くんのり、理性・・・」

「も、もしかしたら・・・襲うかもよ?」

「おそう⁉︎私のことを登くんが・・・」

「さあさあ分かったならさっさと風呂から出て・・・なんで湯船に入って来るんだよぉ!」


やばい。なんか目の前に知った顔の美少女が裸でいるんだけど?一応タオルで隠しているけど2つの大きな山がチラチラと僕の視界に入ってくる。心なしか結花の顔がすごく赤い。あとお山が見える。


「あの・・・さっきから胸ばかりジロジロ見ないで欲しいんだけど・・・」

「⁉︎ いや、ゴメン。そのつい、じゃなくて悪気はないんだよ!」

「別に嫌ってわけじゃないんだけど・・・」

「っ、結花?お前なにを言って・・」

「・・・ねぇ登くん?登くんは大きいほうが好きなの?」

「はぁ⁉︎お前なにを聞いて・・・」

「ねぇ答えてよ・・・?答えてくれないとこうする」

「ぐわっ!ちょっ!押し付けるなよ、本当にやばい・・・」

「ねぇ、どうなの?私は魅力ゼロなの?」

「・・・ゼロじゃない。かわ、可愛いと思う・・・」

「かわっ・・・じゃあ私のこと、どう思う?」

「お、おい。どうしたんだ結花?なんかいつものお前じゃない・・・」


2つの大きな膨らみが僕をこれでもかと誘惑する。押し付けていただけなのが、僕に抱きつく形になっている。さらに、結花は上目遣いでこちらを見ている。


「なぁ?結花。悪いこと言わないからここまでにしておけ。これ以上されると本当に僕の理性がやばいから・・・ねぇ聞いてる⁉︎」


結花はまるで聞いていないようで、どんどん僕に抱きついてくる。僕も男なのでここまでされて黙っているようなものは持っていない。当然のように反応してしまう。ナニがとは言わないけど。


「登くん・・・おっきくなってる・・・こういうのが好きなの?」

「うぁ・・・マジでやめろっ!」

「やめられないよ・・・私の方も準備万端だよ?ねぇ私じゃ嫌なの・・・?」

「おい・・・結花・・自分を大事にしたほうが良い!こんな所で僕なんかにはじめてを捧げて良いのか⁉︎」

「違うよ?自分を大事にしているから・・・登くんなら・・・いいの」

「そんなこと言いながら胸を当てるなよっ!」

「もっと触って・・・?」

「ぅ・・・くそ!覚悟はできてるんだな?」

「・・・出来てる・・もういつでもいい・・」

「そこまで言うなら・・・男を誘うとどうなるかを・・教えてやるよ!」

「うん・・・熱いの・・きて?キャッ!」


頰が火照っている結花。それを前にしてもう自我なんてあるわけがない。手始めにその唇を奪う。ファーストキスがこんな感じなのか・・・いろいろ思うところはあるのだが、もう止められるわけもなく。


「んっ・・・」


僕は結花の頰に手を添えた。結花は目を閉じている。

そのままこちらへ引きよせて。


「んぅ・・」


僕と結花の唇が重なり合って・・・


「ただいまぁ。あら?女物の靴・・・あ!結ちゃん?登ぅ?どこにいるの〜?」

「「!!!!!?」」


重なりあう直前に僕の母さんの声が聞こえた。

どうやら今日は珍しく仕事が早く終わったようだ。


じゃなくて。


え?ヤバくね?結構ヤバくね?


そしてそれは結花も気づいたようだった。


「え?お・おばさん?帰ってきて・・・どうしよぉぉぉぉ⁉︎」

「わっ!バカ野郎!今そんな大きな声出したら・・・」


ガラガラ


「「・・・・・・」」

「・・・・・・お邪魔しました・・・」

「「誤解だぁ!」」


いやまぁ誤解もクソもないのだが。普通に合ってるけど。

そしてここで結花は素に戻り、自分がいかに恥ずかしいことをしていたかようやく気付いたようだった。


「・・・あ」

「・・・え?」

「キャァァァァァァ!」

「いやいやおかしいだろぉ⁉︎」

「こっち見ないでよエッチ!」

「今更かよっ!」

「今更ってなによ!わ、私なんてことを・・・」


結花は別の意味で顔を真っ赤にして風呂場から立ち去っていった。取り残された僕は暫く動くことができなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「は?酒?」

「そう。お酒。日本酒よ」

「それを結花の湯呑みに入れたのか?」

「そうそう。といってもほとんど入れてないのと同じくらいの量だよ?まさかあそこまでお酒に弱いとは思わなかったよぉ〜」

「・・・てめぇ他人事みたいに言うけどな?昨日はマジで大変だったんだぞ?千発殴らせろ」

「アハハハハ。ゴメンゴメンゴフゥ!」



昨日のその後。


母さんに思いっきり勘違い(何回も言うがあっていないことはない。でも勘違いと言いたい)されてオマケに結花が顔を真っ赤にして喋ってくれなく、そんな2人と同じ空間にいるという「どこの地獄だよ?」みたいな状態になっていた。


結花曰く「気づいたら登くんが裸で目の前にいた」らしく、色々と不信に思った僕が亮市に聞いた結果、奴の仕業であったことが判明したのだ。


「結ちゃん、一応聞くけど最後まではやってないのよね?」

「やっ・・・やってないですっ!」

「でも登が言うには結ちゃんから誘ってきたって・・・」

「ち、違いますっ!あぁでも分からない・・・登くんが私を襲うとは思えないしでも私が登くんをお、おそ、襲うなんて・・・」

「まぁ私としては結ちゃんが登のお嫁さんになってくれるなら万々歳なんだけど」

「わっ私が登くんのお嫁さん・・・」

「孫の顔を見るのも案外近いのかしら?」

「ままま孫ぉ⁉︎」

「ヤるならウチを使っていいわよ?普段は私いないし」

「や、ヤるって何をですかっ!」

「ええ?そんなのさっきお風呂でやりかけた事に決まって・・・」

「母さんは結花に何を吹き込んでいるんだよっ!」

「痛っ!何するの、登!私はただ切実に孫の顔が見たいと・・・」

「自分の息子とその幼馴染に子作りを吹き込んでおいて何を言っとるんじゃあ!」

「登くんと子作り・・・」

「結花ぁ?頼むから元に戻ってくれぇ」


こんなことがありながらも、どうにか結花は帰る支度を終えて、家を出ようとしていた。


「いいの?結ちゃん。今日は私も深夜には家を出るからその後は好きなだけヤれるのに・・・」

「やりませんっ!」

「でも登が好きなら早く告っちゃいなよ?登は鈍感だからねぇ。折角そんなにいい体してんだから今日みたいに色仕掛けすれば一発よ?」

「なっ、し、しませんっ!」

「でもねぇ・・・」

「でもねぇ・・・じゃねえよ!何話してたかは知らねえけど早く帰さないと流石に結花のおばさん達が不審がるだろうが!」

「あ、じゃあ私が連絡してくるわよ。えーと『今息子達はお楽しみ中なので・・・』」

「母さん?後で話があるんだけど?」

「わっ私は帰りますっ!」

「あ、結ちゃん?」

「な、何ですか?」

「早くしないとライバルが来ちゃうかもよぉ〜?」

「も、もういいですっ!おやすみなさいっ!」

「おやすみなさぁい」

「さて母さん、リビングに行こうか?」

「あらあら、結ちゃんの次は私を・・・」

「ヤらねえしそもそも結花もやってねぇ!」


その後、僕の説教が1時間ほど続き、僕はその1日に幕を下ろしたのである。


「ニャハハ。大変だったんだねぇ。でも本当に少ししか入れてないのよ?」

「もうそういう問題じゃねぇだろ・・・」

「これからは止めるよ。流石に今回は反省してるからね」

「あぁ。次同じことしたらお前の家を爆撃するからな、親父にでも頼んで」

「はいもう二度としません」


そんなこんながありながら登校している今日の朝。


「そういえば何で今日は僕の家の前で待機してたんだ?」

「いや、謝ろうかと思って。本当よ?」

「まぁそこはいいけどよ・・・」


昨日あんだけの事をしでかしたのだから、今日の朝は恒例の「おっはよー!」はしてこなかった結花。でも置いていくのは少しアレなので亮市と2人で迎えに行く事にした。


「ところで亮よ?」

「はいなんでしょうか?」

「まさかとは思うが、今回の事を広めたりはしてないだろうね?」

「ふぇっ?何のこと?・・・ゴメンゴメン!嘘嘘!してないしてない!本当に!だからこぶしをチラつかせないで!危ないから!ギャァァァ!」


そして、結花の家の前に着く。


ガチャリ


「・・・お、おはようでごさいます」

「いやおかしいだろ挨拶が。なんでそんなに余所余所しい上に変な助詞までくっついてきてるんだ?」

「別に何も気にしてないっ!」

「なんも言ってないのに・・・」

「結ちゃん、登のアレはどうだった?」

「なっ、なんで亮市くんはいつも知ってるのよっ!」

「俺の情報網は凄いんですぜ、お嬢さん・・・」

「あのな結花、全てはこいつの所為なんだ。こいつさえ何もしなければ僕たちは何事もなく昨日を終えることが出来たはずなんだ」

「ちょっ!登!それは言わない約束・・・」

「へぇ、亮市くんがなにかしたんだ?」

「決してそのようなことはございませぬ!」

「結花、こいつがお前の湯呑みに日本酒を入れたからお前がおかしくなったんだ」

「だから言わない約束ぅ!」

「お酒?あぁ、どうりでイマイチ記憶がはっきりしないのか・・・でも登くんの感触だけは何故か覚えてる・・・」

「結花、それは今すぐ忘れていいものだ」

「そっか、亮市くんの所為なのか・・・どうしよう、無性に亮市くんを殴りたい衝動に駆られる・・・」

「あは、あはは。やめよ?落ち着いて?結ちゃんのチョップの威力は登に聞いてるから、やめてよ?ねぇ。朝から既に登にもやられてるからこの後が持たないんホガァッ!」


この後亮市を引きずりながら学校に到着する。

その間、僕と結花の間に会話は無かった。


「あ、今日は支ノ倉さん来てるじゃん」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ここが私の家?」

「そうだ。こちらへ来たばかりで家が用意できずに悪かったな。今日からここがお前の家になる。家主さんに聞いたが、住んでいる息子さんは良い人だそうだぞ?まぁ仲良くやるんだな」

「はい、有難うございます・・その怪我どうしたの?」

「あ、これか?ちょっと色々あってな?まぁそこまで酷い怪我じゃないから気にするな」

「そう、ならいいけど」

「ところで・・・この前言っていた『人手が欲しい』という件についてなのだが、ここに住んでいる息子さんはどうやら大変優れた運動能力を保持しているそうだ」

「優れた運動能力・・・それは私よりも高いの?」

「さぁな。流石に比較まではできないけどな。だが並の高校生の域ではないということは確からしい」

「成る程・・・その人を使っても良いの?」

「あぁ。上からは許可を貰ったよ」

「上・・・?また会ってきたの?小椋さん元気だった?」

「変わりないよ・・・暫くは死ななそうだよ」

「死ななそうって・・・まぁ許可が下りたのならそれで良いわ」

「相変わらず割り切っているね。まぁそれが仕事に役立つんだろうけどね」

「えぇ。おかげさまでさくさく進んでいるわ」

「ふむ・・・でもこちらとしては余り良いことではないのだけれどね」

「そう・・・まだ抗議しているの?」

「当たり前だろう?それこそ割り切れることではないんだ・・・」

「分かったわ。坂口さんには日頃からお世話になっているから。余り"殺りたくはない"から」

「やめてくれよ?君が言うと本当に怖い。まぁ学校も同じなんだから挨拶くらいしておけよ?」

「もうしたわよ。と言っても微笑みかけただけなのだけれど」

「それじゃあ全く分かっていないだろう・・・ちゃんと挨拶しろよ?」

「分かったわ」

「それじゃあ今日はこの辺で失礼するよ。仕事が残っているのでね」

「はい。気をつけて」

「あぁ。じゃあな」

「サヨナラ」


そして、登の家の前から支ノ倉は立ち去った。











はい遅くなりました。ごめんなさい。


さて、これを読んでいた方。

「え?これアウトじゃね?」

なんて思った方がひょっとしたらいるかもしれませんね。

「まだまだ足りねぇぜ!」

という方もいるかと思いますが。

多分今後はこんなのが増えていくかと思われます。


苦手な方は注意してください・・・


尚、1週間後に更新できることを祈っております(作者自身が)


そういえばですが、飲酒して風呂入ると溺れるので絶対にやめて下さいね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ