隠れて最強?
チリリリリリリリ
カチッ
「ふぁ、もう朝かよ、早いな・・・」
今日は春休み明けの2日目だ。
休みの間はずっと10時起きだったから、眠くてしょうがない。
だって、今5時前よ?普通は寝てるでしょ?みんな。
やっぱり朝に起きるのは大変なのですね。
これを機に、母親の凄さを改めて考えるべきだと思うなぁ。
あーだるい。ったく、どーして起きなきゃいけねぇのかなぁ?面倒くさい。
なんて心の中で愚痴っていると頭の中で結花が恐ろしい顔をして睨んできたので僕は急いで飛び起きる。
ガツン
「いってぇぇぇ!」
急いで飛び起きた弾みで肘を強打してしまった僕は、暫くその場でうずくまる。
アレだよアレ、いきなり肘ぶつけたら『ジーン』ってなるやつ。無意識にぶつけると痺れるやつ。なんでああなるんだろうね。
ぶつければ痺れるのかと思って、ガツンガツン右肘をぶつけていたら、後ろにあった椅子に左肘をぶつけて、痺れまくったという記憶がある。
「ジーンジンしまぁす・・・ビリッビリしてグワングワンしまぁふ・・・」
何気痛かったので、感想を声に出してみた。
グワングワンしてるのは肘ぶつけたあと、のけ反ったら頭もぶつけたから。おぉ、いってぇ・・・
肘をぶつけた衝撃で(どちらかというと頭をぶつけた衝撃で)眠気がマッハで吹っ飛んだ僕はキッチンにマッハで向かう。
さぁ今日もマッハでお弁当を作るか!
・・・ヌルフフフ
違うか。
兎に角、調理を開始しよう。ここからは僕の料理ショーだ!
「さぁ、喰らえ!僕の必殺、ベジタブル・カッター!」
という名の千切り。
「まだまだ終わらないぜ!奥義、ファイアー・スプリングス!」
という名の炒め作業。
「これで決める!最終奥義、ディッシュ・セッター!」
という名の盛り付け。
と言うわけで今回は野菜炒めを作ってみましたぁ!
え?なんか技名が出ていたって?何言ってんだオメ?頭おかしいんじゃねえの?なんも言ってねぇわ。ベジタブル・カッターとか一言も言ってねぇからな?
後は適当にご飯をよそって、サラダも盛り付けて、ハイ完成!
登お手製、『幼馴染と食べよう!普通の昼食弁当!』の誕生である!素晴らしい!誕生日だ!
つーかなんでキリストの誕生日だけ、あんなに全世界の人から祝福されるんだよ?
羨ましすぎるからな?あんなに人がお祝いに来ても、お母さんとか「え?お友達多くね?」って軽く引くレベルだからね?
だからどんな誕生日でもお祝いするべきだと思う。じゃあ取り敢えずこの料理の誕生日を全力で祝おう!
ハッピーバースデイ!マイベントー!
今日から西暦がスタートしまーす。製歴かも。僕は一回も死なないけどね。十字架に張り付けられないからね?生き返らないからね?
と、ここまで来て、凄くくだらないことをしていたことに気づいた僕は(うん、楽しかったよ?とても)変な想像をやめて、学校の準備を始める。お弁当を楽しんで作っていたからか(マジで楽しかった。きっと誰かのために作っていたからだ。うん、そうに違いない)いつの間にか7時になっていた。
7時半には家を出なければいけないため、身支度含め実質あと20分位かな?
とりあえず朝飯を食べる。
朝はパン!パンパパン!
手間暇かけて作る余裕がなかった為、トースターにぶち込んで、その間におかずを作る。
コーンフレークをジャラジャラ
牛乳をバイルダーオン!
はい、コーンフレークの完成です!
こんな短時間で栄養が補給できるなんて便利なもんだな、世の中は・・・
というわけで用意を済ませて家を出ます。
キイッ
ガチャ
「・・・・・・」
あれ?朝の挨拶がないんだけど?
あの馬鹿みたいな『おっはよー!』は?
心底楽しんで、僕に挨拶することが存在意義ですみたいな挨拶は?
「・・登君、お・おはよ・・・」
「ヒイッ!・・結花か。心からびっくりした・・・」
結花はドアの隅でめっちゃ俯いて挨拶してきた。何故か顔が赤い。目を合わせようとすると「ヒイッ!」とか言って顔を背ける。
「えーと・・おはよう?どうした結花、何故に顔が赤いのだ?」
「はひっ?顔が赤い?・・・別に赤くないと思わないというか、その・・・思ったり思わなかったり・・」
「なんだよそれ?はっきりしろよ・・・」
「ええい!もうどうでもいいでしょ!」
「あ!あれか?まさか体調が悪いのか?待て待て、少しおでこ出せ」
「へっ?おでこ・・・?」
よいしょと自分のおでこと結花のおでこを合わせる。
「はわわわわぁ・・・」
「うん、熱はなさそうだな。・・・ん?なんかさっきより顔が赤い気がするな。大丈夫か?本当に」
「はわわっ⁉︎だ、大丈夫だよ!ってきゃっ!」
「お、おい!そんな段差で転ぶなんてやっぱりおかしいんじゃないのか?やっぱり何かあったのか?」
「な、何もない!」
「そうか?なら安心だが」
「そ、そうだよ!何もないったら何もない!」
「・・・はぁ」
そんないつもと明らかに違う結花の態度を見て、僕はとある人物の顔を頭に浮かべた。
(後で亮を拷問してみるか・・・)
このあと亮市は、僕から受ける拷問を逃れるために頑張るのだが、それはまた別の話であったりなかったり。
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学校へ着くと、僕は手荒い歓迎を受けた。
「おい、登の旦那よぉ。前からちーと気になってやしたが、あっしらの結花姫に慣れ慣れしすぎやしませんかい?」
「そうでげすよ。私達の事も考えて動いてくれると助かるんでげすけどねぇ?」
「そうじゃそうじゃ!最近の若いモンにわしらの気持ちは分からぬ!さぁ、けぇreゴホッゴホッ!」
「・・・頼むからさ?ホンットに頼むから、出てくるならせめて設定ぐらいまとめてから出てこいよ!」
このモブどもは 山田 山根 山口のトリプルマウンテン共。
たまたまか偶然かあるいは奇跡か、このトリプルマウンテン共はみんな趣味が一致しているらしい(山登りではなく、川下り。近からず遠からずな辺りがこいつらにお似合いである)。
「とにかく、結花姫って・・・お前ら少しキモいぞ?」
「なっ!キモいとはなんだ!俺たちは純粋に姫のことを考えて動いているまでよ!」
「そうだそうだ!そんなこと言われたら、護衛部隊副隊長の俺が黙ってらんねぇぞ!」
「おっしゃる通り!攻撃隊長の俺も参戦する!」
「てめえらは3つで1つみたいな感じだよな・・・」
「「「誰がキングギドラだコラっ⁉︎」」」
「そのセリフ合わせるってすげぇなおい!」
もしくは黒○三連○あたりか?
『俺を踏み台にしたぁ⁉︎』的な?
まぁ可愛いって大変なんだなぁ、結花姫よ。
顔がいいって羨ましいと思っていたけど、結構それはそれで試練があるんだな。あんなキモ・・じゃなくてウザ・・でもなくて、えーと・・・熱狂的。そう!熱狂的な奴がくっついてくるんだもんな。
と思って、結花の方をチラッと見ると顔を真っ赤にして机に突っ伏していた。
まぁそりゃそうなるわな。恥ずかしいだろうな。あんなキモ・・じゃなくてウザ・・でもなくて熱狂的な奴等に話題に出されたらそりゃ効くわ。
あ、可愛いといえばもう1人。
噂の転校生、支ノ倉はどこへ行ったのだろうか?
そう!昨日ゲーセンで笑いかけられた(気がする。気がする。うん、気がする)からそれを直接本人に聞こうと思っていたんだ!でもまだ教室にはいないようみたい。いつ来るんだろうな。この時間に教室にいないのはちょっと遅いよね。
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「あー、今日支ノ倉は休みだわ」
朝のHRで明智はそう述べた。
「えっ?」
「ん?いや、だから休みなんだって」
「・・・・・・」
そして、その言葉の意味を理解した男共は、一斉に声を発する。
「「「ええええええ!!!!」」」
「そんなに騒ぐな、クソガキ。人には人の都合があるんだよ」
「うるせぇハゲェ!なにが『人には人の都合が』だよ!なに乳酸菌みたいにまとめようとしてんだおい!俺らにとって支ノ倉さんが学校へ来るかどうかで、学校生活へのモチベーションが180度変わってくるんだよ!」
「・・・まずてめぇらの首を180度回転させたいな」
ここから怒涛の会話ラッシュ。
有馬「え!そんなことするの?」
登「いや、比喩だろ・・・」
有馬「体罰教師だぁ!」
登「まぁ実際に行えば体罰になるが・・・」
有馬「最悪だぁ!」
登「・・・・・・」
有馬「こんなの世紀末だぁ!」
登「せ、世紀末って・・・」
有馬「世紀末ぅぅ!(毛根的な意味で)」
田中「誰の頭が世紀末だゴラァ⁉︎」
有馬「蝋人形にしてやろうか?(主に頭皮)」
登「いや、それはちょっと違うだろ・・・?」
田中「誰の頭が蝋人形だ・・・?」
有馬「お前は毛、死んでいる(意味深)」
田中「"毛"はひらがなだろうがぁ!」
登「・・・・・・はぁ」
有馬と田中の不毛な言い争いが始まる。不毛な。重要なので2回言いました。兎に角このままでは話が収まりそうにないので、止めに入る。
「はぁ、あのな?お前ら、転校生が来ないからってそこまで騒ぐことじゃ「登は黙ってろ!」はいごめんなさい」
「だいたい登は恵まれんだろ⁉︎」
「そうだクソが!昨日如月さんと2人で飯食ったことに関する恨みは一生忘れねぇ!」
「本当だ!恨んで怨んで殺してヤルゥ!」
「お前、ルックスだってたいしたことないじゃねえか!」
「しかも、頭だってよくねぇし!」
「加えて、運動神経は・・・いいし!!!!」
「とにかくお前はダメダメなんだよ!」
「そこまで言われることを僕はしたのか・・・」
明智の悪口を言っていたはずなのに、いつの間にか僕の悪口に変わっている。
まさか幼馴染と飯を食っただけでここまで叩かれることになろうとは、全く世の中わからない。
「と・に・か・く!支ノ倉は今日休みだ!それ以外の何物でもないんだから大人しくしろ、このクソガキが!」
「・・・・・・」
明智が最近口癖になりかけている"クソガキ"を使って、場を収めた。チッ、いつもいつも僕たちのことをクソガキ呼ばわりしやがって。
クソガキなのは有馬とか有馬とか、あと有馬くらいだろうに。たまったもんじゃねえぜ。
しかし、クソガ・・・有馬もそこまで言われて黙ってはいられない。明智に対して、反撃を開始した。
「・・・そういえば俺、昨日明智がモンキホーテで買い物してるの見かけたわ」
「?」
「それでよ、あいつ何買いに来たのかなぁ?って思ってたらよ、レジに持っていったのがまさかのカツラだったわけね」
「!!」
「しかもそれ、ただのカツラじゃなくてなんかのアニメのコスプレ用のやつだったんだよなぁ」
「!!?」
「ったくよ、本当は自分にも趣味があるのに、俺らの前で教師するために、それを隠さなきゃいけないなんて、ホント大変な職業ですねぇ、センセー」
「有馬"君"。ちょっとだけ話があるから私のところに3秒で来てくれるかな?」
「いいっすよ、センセー」
「・・・・・・」
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「あのカツラは今言ったように、親戚のお子さんの為に買ったモンだ。俺がつけるモンではないし、そもそも俺はアニメに興味はない。分かったか?クソガキ共」
あの後、有馬は『河童流 お皿割りチョップ!』を喰らい、5分ほど悶えていた。僕たちは河童の恐ろしさを改めて実感した。
「ぐぁ・・・クソ、無駄に知能だけ進化しやがって。䋝田館の教師の性能は化け物か!」
「いや有馬、それ言っちゃいけないんじゃないか?」
なんか後ろで真っ赤な軍人が敬礼してきた気がしたが・・・気の所為だろう。
「ったくよぉ、生徒が1人休むことを伝えるだけだなんでここまで時間がかかるんだ?てめぇらはもうちょっとおとなしくする癖を付けておくんだな」
「チッ・・・ここは退いてやる。だが、貴様の力で勝ったのではないぞ、その河童の力だということを忘れるな!」
「まだそれを引きずるのか・・・なんか後ろに青いおじさんが見えるんだけど・・・」
どうやら、普通に退くことは有馬のプライドが許さないらしい。
「貴様、確か明智とか言ったな。その名、二度と忘れぬ!」
「おーい、有馬。そろそろこっちに帰ってこーい」
「私が粛清しようと言うのだよ!」
「エゴだよそれは!」
「それを分かるのだよ、アムロ!」
「誰がアムロじゃ⁉︎」
この後暫くの間、僕と有馬の間で某ロボットアニメのコアな話が繰り広げられることとなった。
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授業は終わり、下校の時間。
「ふぅ、疲れたな。やっと帰れるぜ」
「ねぇ。まぁ実際は7行しか経ってないんだけどな」
「・・・そうゆう事を言うんじゃないよ、亮」
本当は朝から9時間ほどが経過している。本当はってよく分からんけど。
「まぁいいじゃないの。帰ろぉ」
「相変わらず力の抜ける喋り方をするな、お前は」
「えぇぇ?そぉかなぁぁ?」
「だぁるぅいよぉ?」
バカな会話をしながら帰る僕達。
とここで、ふと亮の顔の方を向いた僕は思わず目を見開く。
「? なんだい、登?俺の顔に何かついてるかい?それとも俺の顔に思わず釘付けになったとか・・・」
「違ぇわ馬鹿・・・あそこ見ろ」
「んんん?どれどれ・・・」
僕が指を指した方向には40代程だろうか、男性が壁に寄りかかっていた。
それだけならば気に留めることは無いだろう。
だが彼の姿は凄く酷いものだった。
左手はぶらんとし、それを右手で抑えている。その手も血だらけだ。更に顔からも出血しており、その姿はまさに悲惨そのものだった。
「ひでぇ・・・」
亮市も思わず声を漏らす。
すると、物陰からアメリカ人と思われる大柄な男が出てきた。
男は怪我をしている男性に近づくと、その襟首を掴んで持ち上げ、彼の顔面を思いっきりぶん殴った。
ドス!っと鈍い音がして「がはっ!」という声が聞こえてくる。とてもじゃないが見ていられない。考える前に行動していた。
「クソ!行くぞ亮!」
「はぁーい」
「なんでそんな軽いノリでいられるんだよ!」
僕達はアメリカ人の前に立った。
「・・・?なんだ坊主達。悪いがお取り込み中なんだ。Can you come back?(帰ってくれるかい?)」
その男は英語を使い、「意味わかる?」とでも言わんばかりに舐めきった笑顔を浮かべている。
「・・・・・・」
「Just kidding it was abysmal. English with you guys I was wrong I'm sorry. Oh, and this was the English.(はっはっは、これは酷い事をしたね。君たちに英語を使った僕が悪かったよ、申し訳ない。おっと、これも英語だったな。)」
僕の怒りが徐々に募っていく。
「Anyway, you guys are out of the way? Kids are home early, that drinking milk but I.(とにかく、君たちは邪魔だよ?ガキは早く帰ってミルクでも飲んでいるんだな。)」
「... Give me a break, the brain muscle dudes.(・・・いい加減にしろ、脳筋野郎。)」
「And now what once was?(今なんと言ったんだ?)」
「Whatever you said let me remark. Leave the man right now. Or else we have!(言わせておけば好き勝手言いやがって。今すぐその男性から離れろ。さもないとぶっ飛ばすぞ?)」
「…Way of joking too doughnuts.(・・・冗談すぎるぞクソガキ。)」
「I hear this joke really brain muscles I'm with you.(これも冗談に聞こえるなんて、本当に脳筋なんだな、あんたは。)」
ここで、男はブチ切れた。
「Fack you!(このクソ野郎!)」
と僕に対して襲いかかってきた。
「亮市!あのおっさんを頼む!」
「りょ〜かい」
「こんな時でもホンワカしやがって!」
僕は後で亮市を殺す事を決めながら、男の対処にかかる。
取り敢えず単調に飛びかかってきたので、避ける。そしてそのまま締めにかかる。
「よっと、んでもってここをこうしてこっちをこうしてと・・・」
「Ouch!(いたタタタタ!)」
「今更騒いでんじゃねえよ、大の大人が」
僕に締められた痛みで騒ぎ出す男。悪いけど、親が軍人な為、小さい頃から散々護身術を習ってた僕は、ある程度のレベルなら倒せてしまう。まぁ天性の運動神経もあるけど。
余裕が出来たので、亮市の様子を尋ねる。
「おーい、亮市。その人大丈夫そう?」
「うーん。今救急車呼んだし、多分大丈夫だと思うよ〜。一応応急処置はしたし」
「応急処置・・・お前そんなことできたのかよ?」
「まぁそれなりにはねぇ〜」
「・・・お前のことちょっと舐めてたわ」
「はぁ⁉︎それはこっちのセリフだよ、登。英語話せるとは聞いていたけどあんなにペラッペラだとは思わなかったし、お前、あんな大柄な男に勝っちゃうし」
「あー。それに関しては学校では言うなよ?」
「御意」
「キャラがブレすぎだろ・・・」
とここで、男が話し出す。
「Hey, you. You think I'm a good thing?(おい、お前。俺にこんなことして良いと思っているのか?)」
「Ah?(あ?)」
「I's Army Member of the United States Army. Japanese people would do such a thing, I just suffer?(俺は、アメリカ軍の陸軍所属だ。日本人がこんな事したら、ただじゃすまないぞ?)」
「・・・・・・」
「Now if you apologize?! And even I prostrate you'll get!(謝るなら今のうちだぞ?さぁ土下座でもしてもらおうか!)」
この男がここまで高圧的な態度で僕たちに話しかけられているのは、今の日本の立場の弱さが理由だ。
現在、日本は『領事裁判権』を許してしまっている。
一昔前もこのような状態に陥ったことがあるそうだが、今の日本はその時と全く同じ状況、もしくはそれよりも酷いものになっている。
アメリカ人が日本国内で"どんな犯罪"を犯したとしても、日本側がそれを裁くことはできない。アメリカにより、不平等な判決が出されてしまう。
今回のことも例外ではない。
恐らく、この外人にフルボッコにされていた男性も「肩がぶつかった」とかそんな理由であそこまで暴力を振られたのだろう。
さらに言えばアメリカ人に対して、日本人が(正確には日本国籍の者が)暴力を働くことは大きな罪となっている。
つまり普通なら僕たちは法に裁かれかねない、とても危険な状況に陥っているのだ。
そう"普通なら"。
「Yeah, it was disappointing.(そうか、それは残念だった。)」
「… What's that?(・・・何のことだ?)」
「It's a thing that you kneel on the ground. However, to me, not “my father” but I a.(土下座するのはお前の方だという事だ。ただし、僕にではなく"僕の父に"だけどな。)」
「Your father? … What you're saying?(お前の父親?…何を言っている?)」
「It is so. It's my father, “ishimori-J Merton”.(そうだ。僕の父親、『石森・J・マートン』にだ。)」
「Ishimori, J, Merton. …Believe it or not, that of Colonel Merton?(石森・J・マートン…まさか、マートン大佐のことか!)」
「Good job, Colonel Palace. Now, what to do? Contact now even better! Soldiers here worked, violence to the general public know that.(ご名答、その大佐殿だ。さて、どうする?今連絡しても良いんだぜ?「ここに、一般市民に暴力を働いた兵士がいる」ってな。)」
「Stop! It'll give me a break!(やめろ!それだけは勘弁してくれ!)」
「Better. If you do I know that?(ほう。ならやる事は分かっているよな?)」
と言うとそのアメリカ人は地面に座り土下座の体勢になった。
「… I'm sorry.(・・・申し訳ございませんでした。)」
「If you understand and come back.(分かったならさっさと帰れ。)」
ここまですれば十分だろう。男は走って逃げていった。なんか「ヒィ〜」って言ってそう。多分言わないけど。
「・・・登って実は最強?」
「いや。そうでもないと思うぞ?」
「自覚なしか・・・」
とここで目を白黒させた男性がこちらに尋ねてきた。
「な、何があったんだ?き、君たちは一体何者なんだ・・・?」
「えどが・・・石森 登。普通の高校生ですよ」
「俺も普通の高校生でーす」
「・・・普通の高校生がアメリカ人を倒せるのか?」
「まぁ・・・そこは企業秘密ってことで」
「・・・そうか。だが助けてもらったことに変わりはない。本当にありがとう。恩にきるよ」
「いえいえ、早く怪我が治ると良いですね」
さっき思わず嘘の名前を語ろうとしたことは秘密だ。別になんかの漫画が頭に思い浮かんだからではない。決して。うん決して。
この後、救急車が到着し、僕たちは事情を説明して家に帰った。
オマケ
とある日の朝。
「あ、結花ちゃんオッハー!」
「ん?亮市くんおはよー!」
2人は登の家へ向かう。
「ところで昨日の昼飯は楽しそうだったねぇ?」
「へ?あ・・まぁ楽しかったけど・・・」
「ようやく2人きりでご飯食べれたんだもんねぇ」
「⁉︎ べ、別に2人きりで食べる為とかじゃなくて・・・」
「はぁ?(笑)2人きりで食べる為の理由以外で屋上に行く理由ある?」
「!! なんで知って・・・じゃなくて別にそうゆうことじゃないの!」
「もぅ何を言っているのさぁ?登も喜んでたのになぁ」
「!!!! よ、喜んでた・・・?」
「そうだよぉ。『結花と2人で食えて楽しかったわ』って言ってたよぉ?」
「ふ、2人で食えて・・た・たた・・楽しかった・・・」
「うん。『今度は結花にあーんしてほしい』とも言ってたかなぁ?」
「あ・・あーんをして・・・」
「そうそう。してあげれば?」
「してあげ・・・ないよっ!なんで私がのの、登くんにあーんしなきゃいけないのよ!」
「だって、登がしてほしいって言ってたし」
「そ、それならし・仕方ない・・・かな?」
「そうだよぉ。登が楽しみにしてるよぉ?」
「じ、じゃあ・・してみようかな・・・」
「その後『結花も食べてみたい』って言ってたなぁ」
「私を食べるっ!??そ、それってどういう意味で・・・」
「そりゃそのままの意味じゃん?」
「そ、そのまま・・・それって私にあんな事やこんな事したりすることじゃ・・・」
「うーん、そういうことかなぁ?」
「じゃあ、登くんは私のことをそんな目で見てるってこと・・・」
「間違いないね!」
「イヤァァ!」
「別にそんな反応することないじゃないの、結花ちゃん?」
「え?な、何のこと・・・?」
「だって結花ちゃん、登のこと好きでしょ?」
「!!? そ、そんな事はゴニョゴニョ・・・」
「登の事好きなら、むしろそれを望んだりしてるんじゃないの?」
「そそそっ⁉︎そんなことないよっ!」
「ふーん。じゃあ登には『結花ちゃんは嫌がってた』って伝えとこうかなぁ」
「それはダメッ!」
「・・・じゃあどっちなの?」
「全然嬉し・・・って訳でもないけどその、普段からそういう目で見るのはやめてほしいというか、や、別に良いんだけど・・やっぱりダメだけど・・・」
「とにかく、登のことは普段からちゃーんと見ておけば?」
「うぅぅ。亮市くんがセクハラしてきたよぉ」
「そんなことないってぇ〜。全くそんなことしてないよぉ〜」
「ひどい・・・」
「んじゃバイビー!」
「えっ⁉︎このまま登くんの家に行くんじゃないの?」
「今日は1人で登校したい気分だったりそうじゃなかったりぃ〜」
「えー・・・」
(ていうか、いつも亮市くんは登君の家に行った後に合流していた気が・・・まさか、これを言うためだけにここまで来たとか・・・流石にそれは考えすぎかな?)
「やっぱり亮市くんは性格悪いよ・・・」
(ていうか待って!今更気付きいたけど、登くんが私のことをそんな目で見ていたなんて考えたら、いつもみたいに話せないよぉ〜。なんか妙に恥ずかしいなぁ。あ、でもそんな反応だと逆におかしいかなぁ?一体私はどんな顔で登くんと会えば良いのだろう。考えただけで顔から火が出そう・・・)
「・・・亮市よ。本当にこんな事を結花に話したのか?」
「え?なんのこと?」
「いや、なんでこの後に及んでしらばっくれようと出来るんだよ!おまえはどんな精神力してんだ!」
「精○と時の○○で修行を」
「んな訳あるかい!だから結花は朝あんなにおかしかったのかよ!あからさまに反応が違かったから心配してたんだぞこっちは⁉︎」
「いやぁ。ちょっと嘘ついたかな?」
「ちょっとどころじゃねぇだろうがよ!」
「どこが違うかしら・・・」
「なに真顔でそんな事言ってんだテメェは!『次は結花を食べたい』なんて台詞言う訳ないだろうが!」
「なんていうの?そこはほら、記憶の美化というか・・・」
「まずはてめぇのその腐った脳みそを美化してやんよ・・・」
「ヒイッ!ゴメンナサイ、許して!もう二度といたしまギャァァァ!!」
その日「朝、2年校舎の階段付近では男の悲鳴が聞こえる」という、織田館七不思議がまた1つ誕生したりしなかったり・・・
はい、ミサトです。
現在書き直し中。内容がかぶっていますがご了承を。
というかなんで皆さんあんな早く書けるんですか?
ほんとすごいと思います。
私はあんなに早く書けないので、1週間に1更新ペースでやっていきたいと思います。
あとですね、英語ですよ英語。
多分、というか確実に間違えていると思うので
「意味違う」や「こんな言い回しの方がいい」などありましたら是非、コメント欄に言ってくださると助かります。