恐るべきステータス
ミラクルスペシャルウルトラスーパーメガトン美少女、楓ちゃんこと支ノ倉(命名は有馬。サタンかよっ⁉︎って突っ込んどいた)は話してみれば案外フツーの子だった。
『顔がいい奴は周りを見下している』という僕の仮説は自信満々に東大へと提出する前に(東大じゃ分からないって?じゃあハーバード大学に送るから問題ない)砕け散ってしまった。
なにしてくれとんじゃ、われぇ?
だが、本当に性格のいい人だった。
僕が有馬だったら間違いなく惚れてる・・・
鼻のびてますよ、じゃなくて鼻の下伸びてますよ、有馬さん(支ノ倉は性格がいい→嘘をつかない→正直者→ピノキオってことでかけてみました。えっ?下手くそ?ほっとけ)。
なにがいいかと言うとノリが良かった。
こちらの話題にしっかりついてきてくれて、こっちの言った冗談をしっかりと返してくれるのだ。
『顔がいい奴は性格もいい』という仮説ができてしまった。
僕の掌返し。なんかのアニメのモブみたい。モブて悪かったな!
勿論だがこれは『性格がいい奴は顔もいい』とイコールではないということをお伝えしたい。残念だったな!世の中の鼻の低いブサメン共!(これもピノキオね。あと鼻が高くないってこともかけてる。これは上手い?えっ?普通?ほっとけ)
「いや〜、転校生美人とか本当にいいわ〜」
休み時間、有馬はそう僕に話しかけてきた。
「そうだな。確かにあれは美人だ。顔もよければ性格までいい。有馬。惚れただろ?」
「あぁ、惚れた。超可愛いもん。あんな可愛い子そうそういないからね。明日告るわ」
「ほう、そうか。どこが特にいい?」
「・・・そうだな、全部」
んんん?有馬、お前は何から話をズラしたい?
僕の目は誤魔化せんよ。自分から話を振っておいてそれはないだろ?
有馬は基本嘘を付かない。でもこういうことについては自分の思い通りに話を進めたがる。つまり自分の好きな人に話題がそれないようにしているのだ。
「でも僕のお隣さんの結花もなかなかだよな?」
「ハギゃみゃ⁉︎」
「分かりやすっ⁉︎」
そうだったのか。知らなかった。
「だぁー、どこで聞いた?誰から聞いた?絶対言うなぁぁ!」
パニックに陥る有馬。
今朝、亮にやられたこともあって僕のそれは八つ当たりに近くなってる。
だって面白い。亮がやるのも少しわかるってもんよ。肯定はしないけど。
「ヘェ〜結花が好きなんだぁ?どこが好きなの?教えてよぉ〜」
「はぁ?やだ!絶対言わない!」
「そこをなんとか!」
「ぬぐぐぐ」
「僕ら友達だろ?」
ここで秘技、『僕ら友達だろ?』を使用!これは切り札級の攻撃だ。デメリットも存在しない、正に最強の技。ふふふ、有馬よどう出る⁉︎
「・・・優しいところ」
有馬は散々迷いながらも、超恥ずかしそうにそう呟いた。
この動作の所為で、僕の罪悪感が一気に湧き上がる。
この秘技は諸刃の剣だったようだ。奥義使えねぇ!
「前、俺が怪我したときに絆創膏出しながら笑顔で『大丈夫?有馬君?』ってそんなこと言われたらもぅ・・・」
「ぐわぁぁぁぁ!」
そんなに語らないで!
恥ずかしそうに下向かないで!
罪悪感がっ!精神が不安定に〜!
もうこの奥義は使わないぞぉ!
持たない 作らない 持ち込ませない
使ってる奴いたら怒ってやる!
よし、まずは亮からぶっ潰してやる!
「ごめん、遊び心だったんだよ!そんなに胸の内を語らないで!ご自分の心の内に秘めといてくださぁい!」
マジで好きな女子のことを語る男とそれに対して発狂レベルで謝る男。
後で先生から事情聴取を受ける羽目になりましたとさ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
支ノ倉はあろうことか、勉強までできた。
事情聴取をなんとか終えた僕たちが教室に戻ると、既に僕たちの机にはプリントが配られていた。
1学期初めの授業、『明智の謀反』こと定番の抜き打ちテストが始まったのだ。(ちなみに明智は社会担当。本能寺の変の授業が楽しみだ。もう一つちなみに、明智の謀反の名前の由来は抜きうちってことで急襲したってのがかかっている。)
みんなが80点台で停滞している中、支ノ倉ただ一人が100点をとったのだ。
・・・明智の授業受けてないくせに。
受けてる僕は40点。これではいけないな。つーかマジでどうしよっ!
「マジですか、楓ちゃん・・・」
有馬が思わず口に出す。僕も同じ気分よ。でも有馬くんさ、ちゃっかり75点よね。裏切りやがって。
「いや、チョット簡単だったかしら?」
「そんな、信じられん・・・」
明智が一言。信長に情報が漏れてたみたいね。
つーか支ノ倉ステータス高ぇ。
お前は出木杉君かよ。この場合出木杉ちゃんになるけど。
出木杉の奴、お姉ちゃんいたのか。
家族全員スペック高いとかどんな家族だ。ぱねぇ。まじぱねぇ。
そして更に更に、運動までできた。
体育の時間。
僕達の体育担当は小泉先生。
去年の夏頃、転んで(転んだ理由は階段から滑って落ちて、奇跡的に着地したところで家族からラリアットをくらって転倒したから、と説明していた。どんな家庭環境だ。)腰を痛めながらも僕達の体育の指導をしてくれている。
今学期の体育、一回目の授業は50m走。
いやもうね、朝からこれだけが楽しみで楽しみで、もうこのためだけに今日という日を過ごしてきたと言っても過言ではないよね!
ふっふっふっ。さぁ、僕の実力を見るがいい!
ヒューん!
「フゥ〜、ちょっとスタート滑ったけど、タイムはどうだ?」
「いやぁ流石だね、石森君!タイム、5.9秒!」
おぉ〜。
歓声が上がる。 そこに女子の声は混じっていない(別に気にしていったわけじゃないからな。いつもはそんなの思わないし・・・)
そう。何を隠そう、僕は運動神経がとてつもなくいいのだ!このタイムも全国レベル!
基本的にスポーツならなんでもできる。
球技だろうが、体操だろうが、まさにかかってこいや状態。
そんな僕はチームプレイの授業のときは引っ張りだこ。
僕はクラスの人気者(女子を除く)になれるのだ!はっはっは!
みーんな僕を欲しがるのだから(女子は例外)全く人気者は(女子以外)大変だぜ!
あれ?おかしいな。目から汗が・・・
とまぁ体育は僕の独壇場だったのだが。
「支ノ倉ちゃんが走るよ〜」
「運動神経はどうなんだろうね?」
「勉強ができるからなぁ。案外運動音痴?」
そして出た記録は5.8秒。
・・・・・おいこら。
もはや、何も言うまい。なんかこう、ね?なんつーのかなぁ?あれ?また目から汗が・・・
というわけで、僕の独壇場は消えた。
しかも相手女子だし。美人だし。
聞けば男子も合わせた歴代最速タイムだそうで。
これを見てわかるように今までの記録保持者は僕だったらしい。(今まで僕はそんな話一回も聞いたこと無かった。男女差別が発生している。)
・・・なんか僕の持っているものがどんどん壊されて行く。
この破壊神め。
許さぬ。許さぬ。許さぬ。許し・・・(一瞬支ノ倉の顔をみて決意が緩みかけて)
・・・許します。
1学期最初の授業は、僕の誇りを壊すと同時に、支ノ倉の恐るべきステータスが明らかになった日なのでした。
『君がいいねといったから今日は悲しい記念日』
登 心の俳句
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ほら、そんなに気にしなくていいんじゃない?元気だしなよ登君」
そう結花は励ましてくれたが、傷心の僕は小心者で危うく焼身しそうだった。(本当にしてたらただの馬鹿だ。)
時は昼休み、支ノ倉の驚異的なステータスが公になり、ますます支ノ倉人気は大きくなった。
・・・転校初日とは思えない。
僕は1人でお弁当を頂いていた。いつもは亮と一緒に食うのだが、
「おぉ?登〜。悪いんだけど、今日彼女がお弁当を作ってきてくれたからそっちで食うわ。そんじゃ、バイビー!」
とか言ってどっか行きやがった。
(お前如きに彼女がいるのかよぉぉぉぉぉ!)
という僕の悲しい心の突っ込みも虚しく、只今ソロ弁中である。
なんで亮に彼女がいることを知らなかったのかというと勿論、クラスが違うからというのもあるのだが、やつがそんな事に興味を持つとは思えなかったからというのも理由の1つになる。
これを機会に人との関わり方を見直してくれないかなぁ?ねぇ、亮市君?
「ねぇ、登君?」
「わっはひゃぁぁっ⁉︎」
「わっ!・・・いきなりひっくり返るからびっくりしたよもう・・・」
「お、おう。なんだ、結花か・・・」
「なんだって何よ。ちょっとひどい・・・」
「えっ!・・・なんだ、その、ごめん・・・」
「うそうそ、冗談だってば!そんなに謝らないでよ!」
「で?この時間みんなから引っ張りだこな結花が何の用だ?」
『この時間みんなから引っ張りだこ』というのは結花に対して『お昼ご飯一緒に食べよ?』というお誘いが非常に多いということを表しています。
何を隠そう、結花は『䋝田館の女神』と言われるくらいの美人である。
それは僕も認めてるし『幼馴染が可愛い』というのはやはり、嫌な気分は全くしない。
その為、結花がこの時間帯にこうして僕に話しかけていることは少しおかしなことなのだ。
現に、近くには食事のお誘いをしようと男女関係なく、人の渦が出来ている。
それと男子からはなんとなく冷たい目で見られてる。
・・・居心地悪りぃ。
「うん、用って程じゃないんだけどね・・・?」
「なんだ?ハッキリしないな」
「えと・・そのね?要はですね・・あの〜・・」
「ええい、焦れったいわ!何も用がないなら僕は飯を食いに行っちまうぞ!」
「それはダメっ!」
「・・・ふぁ?」
結花は顔を赤くして立っている。
小さな声で「あぁ、恥ずかしい恥ずかしい」と呟いている。
みんなの前で大声を出したのが恥ずかしかったのかな?
だが結花は顔を真っ赤にしながらも話を続けた。
「あの、だから・・・お昼・・一緒に食べたいな・・なんて・・・」
「・・・・・・」
僕は思わず言葉を失う。
やべぇ、なんか結花がめっちゃかわい・・・じゃなくて、えーとその、なんだ?
アレだよアレ、なんか新鮮だなぁ!あはは。
「えっ、その、迷惑だった・・・かな?」
僕が話さなくなったことを、拒否と捉えたのか、結花が残念そうな表情を浮かべる。
それを見ていた男子共からは「おい、死にてぇのか?断ったら殺すからな?断らなくても殺すからな?」という視線が、バンバン送られて来る。それはもう、億千万の胸騒ぎがしました。
やば・・・断っても殺されて、一緒に食べても殺されるのかよ?
だったら・・・
「お、おう。じゃあ一緒に食べようぜ」
と、できるだけ声が震えないように答えた。
結花が「ホント?やったぁぁ!」と大喜びしていたから、まぁ許そう。
後ろから、殺気の混ざった視線を受けながら(全てが僕に向いたもの)僕と結花は2人で教室から出る。
・・・んっ?"2人"で?
「なぁ、結花?まさかと思うけどこれ、2人きりで食べるとかじゃないよな?」
「え?そうだよ?」
「・・・・・・」
もしかしたら、結花には自分に人気があることに未だに気づいていないのかもしれない。
今の声もめっちゃ大きかったしね?
当然、クラスの奴らの耳にも届いて、もうその表情と言ったらまるで1週間ぶりに獲物を見つけた熊みたいな。殺気の塊みたいな顔してた。
・・・しばらく教室での居場所はなくなるかなぁ?
「さ、行こ行こ!」
「えっ、ちょまっ!どこに行くんだよ?」
「? どこって、人のいない場所に・・・」
「僕達は今からなにをするの⁉︎」
「⁉︎ 登君はやっぱりエッチだよっ!」
「なぜにそうなったっ⁉︎」
「なにをするって・・あわ・あわわわわ・・・」
「そこだったか・・・」
「べつにそこまで嫌なわけじゃないけど・・・」
「んあっ?なんか言ったか?よく聞き取れなくてな」
「な、なんでもないの!さぁさ屋上行くよ!」
「人気のない場所の代表格だな・・・」
「"ご飯食べに"行くんだからね!」
「それ以外何するんだよ!」
「もう、うるさい!」
と言うわけで僕は屋上に連れて行かれた。
幸い(?)屋上に人はおらず、僕と結花の貸切状態だった。
「おぉ、美味そうな弁当だな。結花が作ったのか?」
「えっ?う、うん。料理するの得意だから・・・」
「ちょっとちょうだい」
「え!でもその箸、さっき口つけてなかったっけ・・・?」
「ん?今更そんなことどうでもいいだろ?」
「えっ、ええええ?そんな事されたら・・・!」
「? そんなことされたら?」
「・・・なんでもない!はいあげる!」
「うぉ!そんな急にやらなくても・・・どうも。・・・うん!メッチャうめぇぞ!お前の料理はふつーに美味い!」
「えっ?ほんとに?よかったぁ。口に合わなかったらどうしようかと思ったよ」
「うん、すごく美味い!毎日食べたいくらいには美味い!」
「毎日・・・えと・じゃあさ?明日からは私が登君のお弁当作ってきてあげようか?」
「おっ!まじか!と言いたいところだが、流石にそれは迷惑だろ?・・・そうだ!じゃあ、交代にしようぜ?」
「こ、交代?」
「あぁ。例えば明日は僕が結花のも作る。明後日は結花が僕のも作る。僕も自分の弁当は手作りだし、少しくらい料理の自信あるからさ!どう?」
「登君の手作り弁当・・・うん!そうしよ!」
「おっ!じゃあ決定だな!明日からは弁当は交代交代だな!」
「うん!楽しみだなぁ、登君のお弁当。きっと美味しいんだろうなぁ」
「おい、ハードルを上げるなよ」
「きっと、ミシュランに載るくらい美味しいんだろうなぁ。」
「だからハードルを上げるなよ!」
「星3つです!」
「ハードルたけぇ!」
「でも約束だよ?絶対作ってきてね?」
「お、おう」
「私、楽しみにしてるからネ?」
「・・・分かった、分かりましたから!」
なんか結花が可愛くみえる。やばい、結構いろいろやばい。
そう思った僕は全力で弁当を食う。
「あ!そんな早く食べちゃダメ!もっとゆっくり食べなきゃ体に悪いよ?」
「自分で作った料理がうめぇんだよ!」
「くっ!美味しかったから反論できない!」
「だろ?こんな美味いもんをゆっくり食えって方が無理なんだ!そもそも頭ではどう考えていても、手が勝手に動いちまうからな!」
「じゃあ私が"あーん"ってしてあげる」
「・・・へい?・・おい、まじ?本気?あっ、箸とるな!ま、マジでやんの?ねぇ、ホント?おい、話を聞け・・・」
「はい、あーん」
「あ、あ・・ってやるかバカ者!」
「痛い!何すんの、登君!」
「何すんの?はこっちのセリフじゃボケ!何いきなり"あーん"だよ!可愛くてびびったじゃねえかよ!」
「えっ?かわ、可愛くて・・・?」
「あ・・・いや、ちが・・・」
「そんな、私が可愛いなんて・・・」
急に顔を赤くさせて、俯く結花。くそ!これもなんか可愛い!悔しい!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
結局あの後は『可愛い』と、僕が口を滑らせてしまった為に、結花がずっと照れてしまって思うように会話が成立しなかった。
よほど恥ずかしかったのか、ホントに、後半は何も喋らなかった(一回、こっちから"あーん"しようとしたら『登君はやっぱりエッチ!』と言われてしまった)。
流石に気まずかったが、お弁当は美味しかったからまぁ、よしとしよう。
そして、放課後。
特に部活に所属していない僕は同じく帰宅部の亮と一緒に帰るのが当たり前になっていた(結花はバレー部に所属している。何気上手いらしい。)
「悪い、待たせたか?」
「いんや、今来たところよ」
「・・・デートなら完璧な答え方だな」
「そりゃまあ、何回かしてますし。あ、何回"も"の間違いだった」
「"も"を強調すんじゃねえよ」
「ふーん。まあそれは別としてさ。どうすんの?」
「は?何がよ?」
「またまたぁ!俺は知ってるんだヨォ?昼休みのこと!結花ちゃんとイチャイチャしてたのも知ってるんだヨォ?」
「⁉︎ てめぇ、なんで知ってやがる⁉︎・・・はぁお前には常識が通じないんだったな」
「はい!物分りがよろし!」
「ただ単に諦めているだけだよ・・・」
いつも通り、1日の中で起きた恥ずかしいことを再び僕の目の前に突きつけて楽しむ亮市。
こいつの性格はドス黒い。こんなのと付き合ってる彼女さんはどれだけいい人なのだろうか?
「あ、そうだ!彼女と言えばなんだが」
「うん、君の心は読んでたから"と言えば"で繋げられても文脈を理解できるよ!」
「・・・国語力が無くて悪かったな・・それでお前の彼女って誰なんだ?もし良ければ今度僕にも会わせてほしいんだけど?」
「うーん、どうしようかな?」
「ダメか?まぁそれは仕方ないけどよ」
「うーん、どうしよっかな?どうしよっかな?」
「いちいち焦らすな・・・」
「どうすっかなぁぁ!」
「早く決めろよ!」
「じゃあヤダ」
「っ・・・あんだけ焦らしといて『ヤダ』で終わりかよ。まぁそれに関してはお前の意見だけじゃ決められないだろうし、諦めるよ」
「そうそう。ところで今日は寄り道するかい?」
「寄り道ねぇ。どうしようかな」
「行くの?行かないの?」
「今日はやめとくか。」
「よし行くぞ!」
「話聞いてたっ⁉︎」
「吉幾三!」
「発音は似てるけどなっ⁉︎」
「おらこんな村いやだぁ〜」
「ここは村じゃねぇぞ?」
「東京で馬車引くだ!」
「勝手にやってろ!」
僕たちの言う寄り道とは、ゲーセンのことである。随分昔からある施設らしいが、色々と技術が発達した今でもその文化が廃れていないのは凄いことだろう。
「ゲーム!ゲーム!」
「ピュアか!」
「とりあえず『ドラムの達人』でもして遊ぼうぜ」
「・・・へいへい」
たくさんのアーケードゲームが並んでいる。中にはそれを極めた方々もいるので、つい足を止めて見てしまったりするものだ。
しかし、ここで僕たちはとんでもない人に出会う。
それは転校生、支ノ倉 楓。あろうことか、僕らのやりたい『ドラムの達人』をプレイ中であった。
そして、その周りには沢山の人。全員が支ノ倉のプレイに目を奪われていた。
「つーか上手いなおい!」
「ちゃっかりフルコンボだってよ、登・・・あれの後でやるのって結構くるものがあるよな?」
「・・・同感だ、キャプテン」
「んぉ?登がボケるなんて珍しい・・・」
「そんな気分なの!」
「じゃあ、音符をデストロイしますか!」
「無理やりガンダムに持ってこなくていいから・・・」
と、ここで一瞬交代した時に支ノ倉と目があう。
気の所為だろうか?
一瞬微笑まれた気がした。
・・・気の所為だなきっと。
「チッキショー!あの笑顔がなんか気になって集中できねぇじゃねえかよぉ!」
「ははは!登、負けたらビックリマックの奢りだぞ?」
「あんなに高ぇもん、簡単に奢りはしない!」
「ほらほら、負けちゃうよぉ?」
「ええい!この曲の音符は化け物か!」
「登、最近疲れてるだろ?お前がボケるなんておかしいからな・・・」
「なんも疲れてねぇよ!」
このあと僕のお財布が軽くなったことは言うまでもないことだろう。
まだまだ修正作業中・・・
今は1日に一本のペースであげていきたい・・・