14 重要参考人
「剣崎 京子さん、クラスメイト、キツイ目つきだけど可愛い女の子、私のことを悪魔属性と宣告した悪魔属性女子です」
神代 七が変なことを言うのは日常である。
特に彼氏の玖来 烈火が学校で隣の席にいる時は、授業の合い間にある短い休み時間ごとに言ってくる。
今回は授業の終了とともに立ち上がって去っていったので、少し烈火もいぶかしんでいた。
するとすぐにとって返して、ひとりの女子を連れて来た。それが説明にあった通りの剣崎 京子である。
手で示して紹介する七に、烈火はやや残酷なことを言う。
「いや、京子はおれも知ってるよ」
「烈火とは小中同じだったよ、神代」
追随して剣崎も述べた。
ひとり吃驚、七ちゃん。
「え、マジですか」
つまり説明した文言がまるっと無意味かつ恥ずかしい行為となる。
両手で顔を覆い、七はその羞恥心から逃れんとする。
烈火としてはそこを突く気もない。あっさり進行。
「というか今年転校してきたお前がおれ以外に友達いたのに驚きなんだが」
「ぅぅ、私だって友達のひとりやふたりいますよぉ」
七の言い分に、烈火はちらと剣崎へと視線を向ける。口を開く。
「……京子」
「なんだ、烈火」
剣崎は凛然とした佇まいで烈火と視線を交わす。その口調は無骨でぶっきらぼう。可愛いというより綺麗系なお姉さんなのだ。
烈火はその口調も眼光も綺麗な顔立ちも見慣れている。特に怖気つくこともなく喋る。
「お前、ほんとに七の友達なの?」
「そうだな、友達だ」
「ふぅん」
「なんですかその確認は」
「念のためだ」
まあ剣崎は整った顔立ちに鋭い目つきで、ちょっと怖いところもあるが、基本は善人。友達になるなら上々の相手だろう。
烈火は母親のような心境で、七に友人がいたことになんだか酷く安心していた。
「で、ええと、悪魔属性だっけ。なんか半端に決闘モンスターズ思いだすな」
「はい、悪魔属性です。言いましたよね剣崎さん」
水を向ければ首肯が返る。
「あぁ。神代は外見的にはお人形さんみたいに可愛らしいけど、内面は小悪魔的だよね、とは言った」
「で、その発言を律儀に受け止めて、おれのストライクゾーンに悪魔っ娘が存在するのか確かめたかったと」
「です」
「なんか面倒だわ!」
なんて素直で遠回りなお話だろうね。
剣崎も自分の発言からこう飛躍するとは思いもよらなかっただろうな。烈火も事のあらまし聞いても吃驚だよ
いや、もう言うまい。この話題については触れない。
ただ七ちゃんの友人を紹介されたのはよかった。そう思っておくことにした烈火でした。
「てーか京子も悪魔側なのか?」
「わたしに天使は噛み合わないだろう。こんな目つきの悪い天使はわたしが嫌だ」
「そうか……」
コンプレックスらしいです。
それはそれで美観に益して似合ってると思うけどな。
なんて、女たらしな発言は彼女持ちには許されないのだ。