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10 ヒロイン属性2






「ツンデレヒロインって、どう思いますか玖来さん」


 神代 七が変なことを言うのは日常である。

 特に彼氏の玖来 烈火が学校で隣の席にいる時は、授業の合い間にある短い休み時間ごとに言ってくる。

 烈火は眉を跳ね上げて違和感を覚える。デジャブを感じる。


「前も似たような話したよな」

「それは暴力ヒロインです、ツンデレと非常に似ていますが異なる存在です」

「そうか? おれには違いがわからんぞ」

「まあ重なっている点も多いですからね、一見すると差異がわかりづらいのは否めません」


 やれやれと首を振って、七は懇切丁寧に解説しだす。


「ですがツンデレは必ずしも暴力は振るいません。口先だけのツンであってもツンデレです。暴力ヒロインは、だからおそらくツンデレの一段階上……もしくは下の存在なんじゃないですかね」


 暴力振るうのを上と言うのもなんだが、どっちが萌えるかで上下を決めるべきなので曖昧に濁した。


「といっても暴力ヒロインが暴力的だからって、それで嫌うのはよろしくありません。彼女の暴力は照れ隠しなんです、わかってくれない主人公が悪いという場合もままあります」

「勘違いするな、カ○ロット」

「それはツンデレではないと切に叫びたい少年漫画愛好家です」

「おれもそう思う」


 じゃあなんで今の流れで捻じ込んだんだよ、この人は。

 気分なんだろうな。七は問わずとも理解できてしまうことに嬉しいやら寂しいやら。

 方向修正。


「まあでも悪びれもせずにボコボコにして終わり、というのもあれですけどね。せめて悪いことした、みたいな表情なり態度なり見せて欲しいものです」

「なんでお前は女子なのにそんなにこだわってんだよ」

「研究対象として調べていたら楽しくなってきまして」

「なるほどな」


 研究対象って、それは微妙に気にかかる単語である。七ちゃんが研究成果に烈火の好みにそった属性を身に着けてデレてくれるってこと?


「まあ、それを考えたんですけど、私にツンデレはちょっと難しいって結論に落ち着きました」

「なんで?」

「そりゃあ……その」


 もじもじと指を合わせて、七は言いづらそうにする。照れていますと全身で訴えてくる。

 烈火が沈黙で待ち続けていると、やがて囁くように告白する。


「ツンツンしてるより、甘えたいですしね。デレデレですよ、私は」

「……うん、今の一言だけでおれも萌え死にそうになったわ」


 属性なんか追加しないでも元から可愛い七ちゃんでありました。





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