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アシュレイの本気(軽く番外編)

毎度の事ながらかなり期間が空いてしまったので、短いですが投稿出来る分だけでも投稿します。あの、あくまで番外編の気分でお楽しみ下さい。すみません。

 僕に任せろ、とアシュレイの目が言っていたので、小さく頷き返し、ダイアナはいつでも動ける様に気負いない風を装いながら神経を張りつめた。


「そう言えばライラ。ハミエルなんだけど」

「なによ」

「僕の家は妖魔の気で溢れてるんだ。悪い物じゃ無いんだけど、動物の本能って敏感でさ、恐怖やストレスで弱ってしまうんだ」

「え……」


 ライラは傍らに控えているハミエルを見た。ハミエルは『ないない』と首を振って見せた。生憎、ライラには耳の中が痒い時に頭を振る仕草や、クシャミの後のサッパリしたい時にプルプルする仕草にしか見えなかった。


「ほら、そうやって頭を振るのは『前兆』なんだよライラ!」

「やだ……! そうなの? ハミエル大丈夫!?」


 ハミエルはキュンキュン鳴いて「そいつうそついてる!」と訴えたが、「弱ってる!」とアシュレイが深刻そうに叫んだ。


「大変だ、一刻も早く屋敷の外へ! 馬舎の傍ならまだマシだろうからさ! この首輪と鎖を!!」


 アシュレイは懐から犬用っぽい首輪と鎖を取り出すと、牙を剥くハミエルを恐れてライラの方へポイと投げた。


「な、なんでこんなの持って……? それに、ハミエルにこんなのさせた事ない!」

「カインの家に行く途中で用意したんだ。ハミエルは身体を弱らせてでも君の傍にいるだろうからね、こうでもしなくちゃ……ライラ、心苦しいかも知れないけど、ハミエルの為だよ!」


 ギャルルァアーーー!! と、妖魔確定の唸り声を上げるハミエルの首にライラは「ゴメンねっハミエル!」と言って、サッと首輪を回した。

 途端、ハミエルは身体の力が抜けて、クタリとその場にへしゃげてしまった。


「ハミエル!」

「やはり……相当負荷がかかっていたようだ……可哀想に」

『く……なんだこのくびわは……ちからがぬける……きさま、はかったな(注※アシュレイ以外には聴こえません)』


 ハミエルに女の子達が駆け寄って心配するのを遠巻きに眺めて、アシュレイはニヤリと薄暗く笑った。


(そうさハミエル。君は僕の今後の計画の邪魔だ! その犬用首輪には妖魔の力を抑える聖水がかけてあるのさ。無論、鎖にもだ! ざまあみろ! 僕はライラとバスタイムナイトを、君はバカ馬と馬糞タイムナイトだ!)


『ぬわー、ひれつ! ひれつ!!』


 ハミエルはアシュレイの表情から自分が一服盛られた事を確信し、力を振り絞ってぐたんぐたんと絨毯の上を転がった。


「ハミエル!!」


 ライラが泣きそうな声を上げる。ダイアナもレイリンも、ハミエルのくたりとした小さな身体を撫でたり擦ったりして心配顔だ。

 レイリンは同じ理由で飼った動物を失っているから、涙すら浮かべていた。

 アシュレイは皆に近寄り、


「大丈夫。お清めの聖水をかけておこうね」


 と、首輪についているものと同じ聖水とやらをハミエルにドバドバかけて、ハミエルにとどめを刺した。

 ハミエルはキュン……と鳴いて、ライラを見た。


『らいら、ごめん……まもれな……』


「ハミエルーーー!!」

「大丈夫だってば。屋敷から離れて一晩経てば良くなるから。ね?」


 ハミエルは、取り乱すライラの肩に手を置いて励ますアシュレイを『おぼえてろ……』と思いながら、意識を失った。

 クッ、とアシュレイは嗤った。

 

 よし、さすがリリスのとこの聖水だ。無茶苦茶高かったんだよなぁ。万が一の、命が危ない時に使おうと思っていたけれど、良い買い物だった!


 彼はそう思うと、泣きじゃくるレイリンの頭を撫でて、「次は君だ。可愛い妹よ」と思った。


「レイリン、悪いんだけど、ハミエルを馬舎へ連れて行ってくれるかい? それから柔らかい毛布や食べ物を傍に置いてやって、ハミエルが居心地良く出来る場所を作ってやってくれ。馬に踏みつぶされ……ない場所にね」

「はい! 分かりました」


 レイリンは自分も一晩付き添うくらいの勢いで頷いた。


「あたしも」


 とライラがハミエルを抱きかかえると、アシュレイは止めない。それどころか、ダイアナに向かい親し気に言った。


「じゃあ、ダイアナ。二人でお風呂だね」

「!?」


 ライラがパッとハミエルから顔を上げる。


「あんた、こんな時に何言ってるの」

「僕は封魔師だよ、ハミエルが大丈夫か大丈夫じゃないか位、判る。明日にはピンピンしてるから、そんなに心配しなくていい。さ、行こうダイアナ。うわ~、踊り子に背中流してもらえるなんて最高だなぁ……。えへへ……しかも僕の好みなんだ~(どうだ、ライラ。最愛の親友が気持ち悪い(泣)男と二人っきりで風呂なんて、正義感の強い君に耐えられるのかい?)」

「ほ、本当? ウレシイナ……ははは……」


 ダイアナは若干ハミエルを心配しつつ、アシュレイと自分の志を思い出してアシュレイに答えた。


「じゃ、楽しみましょうか、アシュレイ(やだ、この人(アシュレイ)意外と自分に自信があんのね、ヤキモチを焼かせようなんて! でもライラの事良く解ってるかも。さぁヤキモチ焼きなさい! ライラ!!)」


 ライラは迷った。二つの命を天秤に掛けるのはとても辛い。


「待って!(アシュレイめ……また「好み」とか言って!! 女好きじゃないって言ってたのに! でも、ダイアナは美人だもんね。鞍替えするのは構わないけど、あからさまに「お礼に」を期待しているのがミエミエなんだから!! ダイアナを護らなきゃ!!)」


『キタ!』とアシュレイとダイアナはピクッと身じろぎした。


「なんだよ、ライラ。邪魔しないでよ(来い!ライラ!)」

「ほ、本当にハミエルは大丈夫なの?(コイツ最低!)」

「何度も言わせないでよ。大丈夫だってば。あ、誰かにうっす~い浴衣を用意させなくては……(着るのは君だけどね!)」

「分厚い浴衣にしなさい。あたしも行く(ダイアナはあたしが守る!)」


 ライラからレイリンに託されたハミエルが、『だまされるな、らいら』とうんうん唸っている。



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