表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

本日は曇天なり

作者: 山本 恒

 この憤りはいったいどこから来るのだろう?

夫に対してではない…それを友人達は羨ましいと言う。そうだろうか?


更年期手前の私の仲間は、半分以上、下手したら、そのほとんどが夫に不満を持っている。

理由は、様々…本当に色々なのだ。呆れるくらい。


女達が、カフェいやカフェなんて洒落たもんじゃない。たっぷりモーニングのおまけがついた喫茶店で、何故身を乗り出して語り合うか?

これから歩む人生を語るのではない。ましてや日本の政治経済を憂うのでは、もっとない。


夫の事、子供の事、姑舅の事、実家の事、友達の事を面白可笑しく…。

基本的には互いの不幸を語り合うのだ。時には脚色して大袈裟に、時には不幸を割り引いて。本当の不幸はそうそう語れるものじゃない。そんな井戸端会議に、自分の本当の悩みなんか打ち明けやしない。


女達は強かだ。少しの不幸を見せて、相手に大きな不幸を語らせる。それをさもわかったかのように、同情したり励ましたりして、結局は、自分の不幸の慰めをする。


本当の気持ちを聞いて貰ったわけでもない、互いの悩みを解決しあったわけでもない。でもレジをすませる時には、みな晴れ晴れと、またね!と手を振ってわかれる。

本心なんてどこにもないのに、空々しさも何故か無い。それでいいのだ。それが日常なのだ。


私だって、一番言いたかった事は姑の事なのだ。

私が出かける時間と帰宅する時間を、こっそりカレンダーの裏に書き記す。


この姑の事こそ、今の私の心の刺だ。


まぁいい。次の機会に聞いて貰おう。

この手の話はかなり誇張して話してもみな納得する。気の毒がられても、ちっとも不快じゃない。むしろ誇らしい。こんな仕打ちされてるのに、何も投げ出さず家庭を守っている。それは地球を守るウルトラマンより称賛に値するからだ。


秋晴れの気分とは違う。でも、ふんわり秋風が頬を心地よく撫でていった。心の刺も、いつの間にか抜けたような錯覚だ。さっきまでのイライラと憤っていた自分はいない。


これでいい…。さて、夕食の献立を考えるか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 守っているというより いつも守られているから些細な事でもイライラして おしゃべりでストレス発散できるんじゃないでしょうか? これが借金苦と介護生活に明け暮れ、息子も娘も反抗期で しかも夫は浮…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ