表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異世界で無能扱いされた俺、現実に戻ったら最強すぎて人生逆転した

作者: マーボー
掲載日:2026/04/02

勇者として異世界に召喚された高校生・レイン。

しかし彼のステータスは“最低値”。魔法も発動せず、仲間からは「無能」と蔑まれ、ついにはパーティーから追放されてしまう。


絶望の中、元の世界へ帰りたいと願ったその瞬間――

彼の前に現れたのは、空間を裂く謎の亀裂だった。


気がつけば、そこは元の現実世界。


だが、帰還した彼の体には――

異世界で一度も発動しなかったはずの“魔法”が宿っていた。


さらに響く謎の声。

「制限解除――全能力解放」


その直後、空が割れ、異世界と現実が繋がる。


“無能”と呼ばれた少年は、今や世界を救う唯一の存在へ。


これは、異世界で全てを失った男が、現実世界で最強となり――

全てを覆す逆転の物語。


「……お前、本当に何もできないな」


 吐き捨てるようなその一言が、やけに鮮明に耳に残った。


 異世界アルディア。勇者召喚によって呼び出された俺――レインは、その日もまた“役立たず”の烙印を押されていた。


「なあガルド、本気でこいつ連れてくのか?」


 後ろから、仲間の一人が笑い混じりに言う。


「ステータス見ただろ? 一般人以下だぞ」


「……聞こえてるぞ」


 思わず口を挟むと、数人が肩をすくめた。


「お、無能くん喋った」


「無駄にプライドは高いんだな」


 くすくすと笑い声が広がる。


 悔しい。だが、否定できない自分がいるのが、余計に腹立たしかった。


「レイン」


 低い声で名前を呼ばれ、反射的に背筋が伸びる。


 パーティーリーダーのガルドが、冷めた目でこちらを見ていた。


「前に出るな。後方で待機してろ」


「……でも、俺も戦える」


「無理だ」


 間髪入れずに切り捨てられる。


「まだやってもいないのに――」


「やっただろ。何回も」


 ガルドはため息をついた。


「そのたびに、何も起きなかった。違うか?」


 言葉が詰まる。


 確かにそうだ。何度魔法を試しても、発動したことは一度もない。


 けれど――


「……今回は、いけるかもしれない」


 絞り出すように言うと、周囲から失笑が漏れた。


「“かもしれない”で戦場に出る気か?」


「命いくつあっても足りねえな」


 ガルドはしばらく俺を見つめ、それから小さく息を吐いた。


「……一回だけだ」


「え?」


「やってみろ。ダメならもう二度と前には出すな」


 その言葉に、胸が高鳴る。


 チャンスだ。


「わかった……!」


 俺は前に出て、魔物へと向き直った。


 深く息を吸い、魔力を意識する。


(いける……いけるはずだ)


 何度も繰り返したイメージをなぞる。


 力を、外へ。


「――っ!」


 だが――


 何も、起きない。


 風すら動かない、完全な静寂。


「……は?」


 仲間の一人が呆れた声を漏らす。


「おい、何も出てねえぞ」


「マジでゼロじゃん」


 背後で笑いが弾ける。


「違う……今、何か……」


 確かに、何かが引っかかった気がしたのに。


「もういい」


 ガルドの声が、冷たく響く。


「下がれ」


「待ってくれ、もう一回――」


「レイン」


 その一言で、体が硬直した。


「お前は“無能”だ」


 断言だった。


 疑いも、迷いもない声音。


 胸の奥が、鈍く痛む。


「……っ」


「これ以上、仲間の足を引っ張るな」


 何も言い返せなかった。


 言い返す資格すら、ない気がして。



 その日の夜。


 俺はギルドの中で、最後の宣告を受けた。


「決まったぞ、レイン」


 ガルドが腕を組んだまま言う。


「お前、今日でクビだ」


「……は?」


 一瞬、言葉の意味が理解できなかった。


「パーティーから正式に外すってことだ」


 横から仲間が補足する。


「待てよ……俺、まだ何も――」


「何もできてねえだろ」


 かぶせるように言われ、言葉が止まる。


「現実見ろよ」


 冷たい視線が突き刺さる。


「ここは遊びじゃねえ。命懸けなんだ」


「……」


「無能を連れてる余裕はない」


 静かな断罪だった。


「装備は置いていけ」


 ガルドが続ける。


「それ、パーティーの金で買ったもんだ」


「……それでも、俺が使ってきた」


「だから?」


 言葉に詰まる。


 何を言っても、覆らない。


 それがわかってしまったから。


「……わかった」


 俺は剣を置いた。


 外套を外し、机の上に置く。


「じゃあな、“元勇者”」


 誰かが笑った。


 俺は何も言わず、その場を後にした。



 外に出ると、冷たい風が頬を撫でた。


「……帰りたいな」


 ぽつりと、言葉がこぼれる。


 日本に。


 普通の生活に。


 こんな場所じゃなくて。


 その時だった。


 ――ピキッ


 空間に、ひびが入る。


「……え?」


 目の前の空気が裂け、黒い亀裂が現れた。


 吸い込まれるように、体が引き寄せられる。


「ちょ、待っ――」


 抵抗する間もなく、視界が暗転した。



 次に目を開けた時。


「……ここは」


 見慣れた天井があった。


 白い壁、机、スマホ。


「……俺の部屋、か?」


 日本だ。


 戻ってきた。


 安堵が胸に広がる。


 だが――


 ドクン、と心臓が強く鳴った。


「……なんだ、これ」


 手を見る。


 その瞬間――


 バチッ!


 青白い光が、指先から弾けた。


「……は?」


 思考が止まる。


 今のは、明らかに“魔法”だった。


 試しに意識を集中させる。


 すると、掌に炎が灯る。


「……使えるのかよ、俺」


 異世界では一度も発動しなかった力が。


 この世界では、当たり前のように。


 その時、頭の奥に声が響いた。


 ――制限解除。全能力解放。


「……は?」


 次の瞬間、世界が揺れた。



 外に飛び出す。


 空を見上げて、息を呑んだ。


「……空が、割れてる」


 巨大な裂け目が、そこにあった。


 異世界で見たものと、同じ。


 そして――


 その奥で、何かが蠢いている。


「……マジかよ」


 嫌な予感がする。


 いや、もう確信だ。


 あれは、こちらに来る。


 俺は自分の手を見つめた。


 炎も、雷も、使える。


 あの時とは違う。


「……なるほどな」


 小さく笑う。


「今度は俺が、守る側か」


 空の裂け目が、さらに広がる。


 ――戦いが、始まる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ