理解者の足跡
2つの世界は隣り合わせとなり、空が見えなくなった時代。
生きとし生ける者たちの間で行われた交流の中で同じ顔を持つ者と出会うと混ざり合うという現象が起きた。
そして、混ざり合った者は特異性能力『二面性』を得た者となる。
彼らの存在、それそのものが争いの火蓋となり、2つの世界を巻き込みどうなっていくのか。
「フウ、実際にダンジョンに潜ってみたけど、案外どうにかはなっているな」
二つの世界の1つ。
魔術の蔓延る世界アストレムスにあるダンジョンの側で、旅人のような青年が、一服している。
『ちょっとカイリ!今どこにいるの?帰りの便あと1時間切ってるわよ!』
不意に、青年の付けているヘッドホンから声が聞こえる。
「今はカムディア近くの未開のダンジョンだよ。界港まで数十分とかかんねえよ」
『なら良いけど、今回は何か見つけたの?』
「確認できている範囲内だが、全体の8割がたは他と変わりなかったよ。難易度は3ぐらいか」
『なら出稼ぎ程度になるくらいだね』
簡単に報告しつつ、ダンジョンを出ていく。
ついでに、もう一つ
「ああそれと、あの大会だけどヤッパ俺のとこにあるやつが参加チケットっぽい」
『嘘でしょ!?いかないよね?』
大会とは『トゥワイス・タワー・トーナメント』という。
二面性持ちの可能性の証明という名目のために開催される、バトルトーナメントである。
「確かに、マキア教授が陰謀を表に出すためとか、見せびらかすためだとか考えているようだけど、俺としても結構気になることがあるから参加できなくても見に行くつもりだったけどね」
『そう。なら気をつけてね』
「まあその前に君とのディ…っとまだ少しやり残しがあったか」
そのまま街へ帰ろうとすると、身の丈を遥かに超えるクマがこちらを狙っている。
「レッドベアか。街の近くにいるのは珍しいな」
『人間食おうとして手負にってところかな?サッサと終わらせないと今日中に帰れないかもよ』
連絡を取りつつ、ナイフを取り出す。
「お前はもう理解しきっているんだよ!」
大振りの右前脚を振り下ろし、地響きと共に追撃の左前脚が出る。
だが、追撃の先に青年はいない。
「初めの右足のそばに潜り込めば、首元に入れやすいんだよね」
その言葉を、熊が耳元で聞く頃には全てが終わっている。
熊が、首の切れ目から鮮血を吹き出し、倒れた。
「ハアッ、流石にこのまま界港は無理だな」
『界港の近くにそういう施設あるでしょ?早く急ぎな』
「ハイハイ」
そうして、青年はかけて行く。
「さーて、二面性がどんなふうに世界を変えて行くんだろうね」
その背中を誰かに見られながら。
ということで新年企画最終弾投稿
因みに、新たに連載するとしたら
神話食材と探偵たち>理解者の足跡>転生者たちの神話遊戯
です。
理由は
神話食材と探偵たち→読み切りとしての、自分に用意したルールをミスってある程度書き進めていた
理解者の足跡→なんやかんやで掘り起こせたネタ。幾つかのネタ要因があるため、ある程度作れそうではある。
転生者たちの神話遊戯→メインシリーズ現代の武人は仮想世界を無双するに関わるシリーズなので、ある程度そっちが進んでくれないと、出せないネタがある。




