転生者たちの神話遊戯
てことで新年企画第一弾始動だ
〈魔女の子〉
呆気なく死んだ。
いや何が起きた?
なんか、呆気なく死んだということしか覚えていない。
てかここどこだ?
一面の白い空間。
どこもかしこも、白くて足場がどこか分からない。
「お、目が覚めたようだね」
不意に後ろから声をかけられた。
「誰だテメエ」
振り向いた先には、黒髪の美女と呼んで差し支えない女がいた。
少し幼なげな風貌だが、いかにも何か企んでいますよというのを隠しもしない笑顔でこちらを見ていれば、警戒もする。
「おっと説明するから警戒しないで欲しいね。まず君って自分が死んだことは覚えてる?詳細必要?」
「まあ覚えているさ。流石に詳細は」
「ちなみに君は君の仕事先であるアルミラージ牧場に踏み入った盗賊を確認したアルミラージが興奮して突っ込んだ先にいる君を突き殺したため死亡という感じだよ」
いや詳細は要らんのだけど。
「すると何か?お前は神とかそういうやつか?」
「うんそうだよ」
あっさりと答える彼女に、半信半疑ではあるが、一旦納得しておく。でないと余計な茶々を入れられそうだ。
「まあそんなことは置いといて、こうやっているんだから君を転生させようと思っているんだよね」
「ん?転生?それって昔母さんが言ってた読み物に出てくるなんかすごいパワーもらって別の世界に送るっていうあれか?」
「そうそうそれそれ!でもすごいパワーとかは上げないぜ。君は既に十分なものを持っているからね」
確かに持ってはいるけど、正直不恰好というかなぁ。
「その代わりと言っちゃあなんだけど、向こうの世界に関する情報の幾つかは教えてあげるから」
ということで、数分ほど解説を受けた。
「まあガンバレガンバレ!それに君の探し物も見つかるかもよ」
「はあ?それっt」
言い切る前に女に蹴飛ばされる。
瞬間床がなくなり、浮遊感を感じる暇もなく落ちていく。
「ああそれと、これだけは落ちても大丈夫なのと、他にも同じ感じで送られた奴がいるから合流すると良いかもよ〜」
それ落とす前に言えよ!
〈紫電の人斬り〉
「血も硝煙も、鉄も焼けた肉も、酒もヤニの臭いもしないなんて初めてだ」
澄んだ香りがする。
「おまけに空が明るい。木々で暗くなっているはずなのに」
木漏れ日の中から見える青空は、いつも見えていた濁った空とは違い、とても澄んでいた。
「ハァーッ…コレが森か。死ぬ前に来れるとは思わなかった。いや死にはしたんだったな」
そんな一人言をする彼女に、獣の爪が差し迫っていた。
「あーでも、食いもんがな〜。誰かから奪うのはアレだし、お金もないし」
そんなことを考えていると、倒した獣が光の粒子となり、自身に吸い込まれる。
「ああコレがアイテムか。たしかメニューから調べるんだったな」
そうして神と名乗る女から教えられた方法でメニュー画面を開き、アイテムを確認する。
「コレって売り物になるのか?まあ手に入るならもう少し手に入れておくか」
紫色の雷を走らせながらそう言い、楽しそうに寄ってきた獣を見据える。
「やっぱりピザにしようか。あといい酒も欲しいな」
最早、獲物でしか見られなくなった獣『ライト・ボア』は、自身が間違った相手に突撃したことを後悔し紫電に引き裂かれた。
〈霊憑きのヒーロー〉
「これは夢だ〜そうに違いない」
『も〜ヨウ君焦りすぎだよ〜』
どこかの森で1人の少年が頭を抱えている。
その傍には、誰もいない筈だが、話し返すように喋り出す。
「いやいや怪人も幻獣も宇宙人とも戦ったけどさぁ、なんか違うじゃん」
『仕方ないよ。あの神が言うには異世界に転生させるって言ってたし』
「まあ流石に死んだ筈の人間が元の世界にってのは色々と面倒だろうしな。まだこっちの方が良いのかもしれねえけどさ」
倒した瞬間、光となって素材だけが残るとかゲームの世界かよ!
「とりあえず目下の問題は、1つ目が変身ができないってことだ」
彼の左腕には3本の爪のようなものがちらついている、獣の手を模したメタリックなブレスレットがついている。
それをまじまじ眺めてため息を吐く。
「長らく変身に頼っていたから焦ったぜ全く」
『良い顔戴いたよ♡』
「うっせえ。てか問題の2つ目はお前もここにいるってことだ」
『えー』
そう空に指を指す少年の先には、本当に少女が見えているのだ。
あくまで幽霊としてだが。
『仕方ないでしょ、君を生かそうとして全魔力を込めたらこうなったんだから』
「いや、せめて未知の領域にお前を巻き込みたくないと思っているだけだ」
あらあら私も戦えますことよw』
ハイハイと少年は受け流す。
「とりあえず街を探さねえとな。グレンデバイスを治せなきゃ本当にどうしようもねえぞ」
『私がいることをお忘れなく!』
「ハイハイ」
苦笑しながらも、これからのことを考えて、少年はとりあえず森を抜けることにした。
〈心臓だけになった人形〉
「困りました。全体が博士くらいの人々が移動するのに最適すぎて動きにくいです」
誰の足元か、2頭身で手のひらサイズの人形が歩いている。
「コレではメインボディーの再設計もままなりません。このニーシャ・ハート屈辱でしかありませんよ」
まるで、誰かの口癖とポーズを真似たようにくるりと回転するが、すぐさま転んでしまう。
「うぅ…やはりレンガは嫌いです。博士曰く人がレンガは均等な形を組み合わせて平らな道を作っていると言っていましたが、繋ぎのあたりとか今のワタシには十分な段差ですよコレ。いやまあいうほどのものでもないですけど」
悪態を吐きながらも、進んで行く。
「とりあえずはパーツになりそうなものや金策ですね。この身体でどれほどできるのか、博士はいませんけど検証の時間ですってね」
道はあるなら歩いていける。
自信を生み出した博士の言葉を胸に、歩み出していく。
「まずは………ここが何処か調べるべきですね。博士曰く、バカと煙は高いとこへとかいうのはよく見えるから理解できるようにしているんだとか。ここいらで1番高いところと言えば」
周囲を見渡すと、明らかにテッペンの見えないタワーが見える。
「は、博士曰く高いところへ行くならより高いところが良いと言ってましたけど、コレは高すぎですよ博士ぇ〜。絶対お金かかるじゃん!」
〈神と弟〉
「なんでだ?」
「なんでとは?」
どこかのリビングで、似た顔の女と男が話し合う。
「なんで異世界転生とかやっているんだ?」
「あーまあ簡単に言えば、神話として勢いが足りないというか…まあ戦いのやり方を現代に合わせるならってことで、神々間で異世界転生した者たちの英雄譚で優劣つけようぜってなったわけよ」
「いや傍迷惑な」
「まああんまり他の世界に迷惑をかけるわけにも行かないからね〜。直近で死んだ人間から良さげなのを選別したんだぜ」
フフンとドヤ顔をする女を見て、男はため息を吐く。
「そもそも異世界転生ってあれだろ?なんの力もない主人公が力を得てドンドン強くなっていくっていうやつだろ?あんたが選別したやつ最初から強そうなんだが」
「ああそれに気付いたのに質問としてしまうだなんて…さてはお前異世界転生モノよく読んでないなw」
「ハイハイ最近読み始めたばかりですよー」
男が気づけていない内容に笑う女は、よく分かっているようだ。
それもそのはず、彼女はそういった者たちを見極めるような旅をしてきたのだ。
「そういう能力を与えられる奴はな、元からそれを扱う才能がある連中だったってだけだ。初めから持っておくべき力と才能があるなら与える必要ねえんだよ。そんなことに気付けないなんて、国語のテストで0点になるよ」
「いや学校通ったことないし」
「………ごめん」
一旦沈黙するだけの間が広がった。
そこで実際に女が呼び込んだという英雄(仮)を確認した。
「あの魔女の子に、電撃を纏う賞金稼ぎ、コイツは…何か憑いているっぽいがちゃんと戦えるっぽいけど、この人形は戦えるのか?」
「あーその子ボディがなくてもある程度戦えるっぽいんだけどね…そのままだと大きさ的な不便さが際立つことを忘れていたよ」
「そいつくらいはなんか寄越しても良かったんじゃ」
フッフーンと、分かっていませんなあとでも言いたげな表情で女が続ける。
「私は現代に生まれた戦神だぜ。下手に与えず、ただ見出しただけで生み出せる英雄であるべきなんだよ」
「審美眼ってやつか?」
そう言いながらも、どんどん彼らの見る世界に、英雄になってもらうために送り込んだ者達が、降り立つ。
「さてさて弟くん、君にも頑張ってもらうよ」
「ヘイヘイ。じゃあ報酬もよろしく」
「OK!」
果たして、コレから始まるは転生者たちの英雄譚。
輝しきも穢らわしきも彼ら次第。
「さて、ゲームを始めようか諸君」
それは神々の遊び。 彼ら彼女らは、己の示すもののため、成したいこと、成すべきことの為、自らが選別した転生者たちに勝手気ままな希望を託す。
「神話を彩る遊戯。そのまま神話遊戯とでも呼ぼうか」
故に、まだ見ぬ未来の為に声を上げる。
「開幕だ!!!」
コレ感覚的には様々な世界観からキャラクターを導入しました見たいなネタ
魔女の子→ファンタジー世界
紫電の人斬り→サイバーパンク世界
霊憑きのヒーロー→ニチアサヒーロー世界
心臓だけになった人形→スーパーロボット世界
という感じ




