第47話【みんなの強さ】
ディーンが俺の元へやって来た時にはリアンの水や風魔法でボコボコにやられていた。
「先生どうかしら? 先生に教わった魔法で自分が痛めつけられるのは?」
「ハハ……さすが俺が教えただけの事はあるよ……」
「そうでしょ? でもね……」
リアンは俺を蹴飛ばすと馬乗りになり杖で殴り始めた。
「足りない……まだ足りない まだ足りない まだ足りない まだ足りない まだ足りない まだまだまだまだ! 湧き上がるこの気持ちが抑えられない!」
リアンの力は弱い……だが心に響く一撃は重い。
その力に逆らえず殴られ続けていた時にディーンがリアンを突き飛ばす。
「師匠、大丈夫ですか?」
「ああ……助かった……」
「いた〜、兄さん酷いじゃない……また邪魔するなんて」
「リアン! もう十分だろ! これ以上師匠に当たっても俺達の両親は帰ってこないんだぞ!」
「だからじゃない! その元凶を作ったのはその人よ!?」
「俺達を助けてくれたのもこの師匠だ!」
「…………」
「忘れるなリアン! 師匠が助けてくれなければ俺達はあそこで死んでいたかも知れない! こんな綺麗な服や美味い食事、ここまでの旅を思い出せ!」
「…………、…………、…………うっ……」
リアンがふらつき始めた。
「うう……せ……せんせ……うああああああああああああああああ!!!」
リアンが頭を抱えじめんを転がるように悶え苦しみ始めた。
「リアン! しっかりしろ!」
ディーンはリアンを押さえるも、リアンは変わらず頭を押さえて苦しみ気絶してしまった。
「よかった、リアンさんを救えましたね……」
「みんなの協力があったからですよ」
ムーンさんの肩を借りてライラ、そしてルナが戻って来た。
動けない俺をルナがかつぎ、リアンをディーンが抱えて馬車へ戻る事になる。
かなり厳しい戦いだったが、リアンを取り戻す事には成功した。
「おやおや、やはり人間は役には立ちませんね……ん? いや、少しは役に立ったようですね……」
俺達が馬車へと戻る後ろ姿を上空から見ていた鳥顔の魔族はポツリと呟き消えていった……。
「……ん……うン……、……あれ?」
「あ! リアン目を覚ましたのか?」
「ルナさん……ここは……それに私は……」
「おーい! リアンが目を覚ましたぞーー!!」
リアンが眠っているベッドの側で見守っていたルナが馬車の外にいる俺達に向かって叫ぶ。
「リアン! 痛い所は無いか?」
「もう大丈夫ですか?」
「リアンさんよかった……」
「ムーンさんありがとうございます……あの……私……」
「まだ無理は良く無いですからね、もう少し寝ててください」
「あの……先生は……?」
「師匠は薬を取りに出かけてる。 戻ってきたら一緒に謝ろうな」
「兄さん……」
「ほらみんな、マシオさんが戻ってくるまでもう少し休ませてあげましょう。 ルナ、見守りよろしくね」「もっちろん!」
リアンはまた少し眠り、日が暮れた頃俺は戻ってリアンが目を覚ました事を聞いた。
「……ン……(あれ? 先生……なんで先生が?)」
「目を覚ましたか……大丈夫か?」
「……は……はい……」
「横になったままでいいから聞いてくれ」
起き上がりそうになったリアンを止め、俺は自分が行った事をリアンと聞き耳を立てているディーンに謝罪した。
「いいんです……先生も勝手にこちらの世界に連れて来られていいように扱われたんですから、怒るのも無理はありません……」
「だがもう少し人々の事も考えるべきだった……リアンやディーンのような子が他にもいるかも知れないから……」
「そうかも知れません……ですが先生が前に言ったように世界中の全ての人を助ける事は出来ない、だから自分の手の届く範囲位は助けたいと言ってた事を私はわかったつもりです」
「そうか……ありがとう」
「いえ、そんな事は……それより先生……」
「なんだい?」
「私の事……怒ってませんか? 嫌いになったりしてませんか?」
リアンはガバッと起き上がり俺に目を合わせて真剣に問いかけて来る。
「怒るわけないし嫌いになるわけないじゃないか」
「本当!? 本当に本当ですか? 私先生に向かって酷い事を……」
「リアンの実力が知れていい機会だったじゃないか。 強くなったなリアン」
「先生……先生!!」
リアンは俺の胸に飛び込んで来ると泣き出してしまった……。
俺は優しく頭を撫でてやり、泣き止んだらもう一度寝かせてやる。
「もう少し休んでな、食事が出来たら運んで来てやるから」
「ありがとうございます」
食事が出来るまでリアンを休ませ、リアン用にお粥を作ってあげて持って行ってあげる。
お粥を渡すと、リアンはあーんと口を開けてくる……食べさせて欲しいようだが……。
「……しょうがない……」
お粥を冷ましてから食べさせてやると、リアンは喜んで食べていた。
「それだけ食べられれば大丈夫そうだな」
「はい! ……先生」
「どうした?」
「今日は昔のように一緒に寝てくれませんか?」
「う〜ん……そうだな、いいよ」
「ああ! ずっる〜い!」
ルナが急に出て来て文句を言うので、今日はベッドでは無く床にみんなで眠る事にした。
ディーンは「俺は見張りしてるから」 と外に行ってしまった。
いつの間にかディーンの一人称も僕では無くて俺になっている……成長したな……。
この戦いから魔族は一切俺達の前に現れる事は無くなった。
魔族が現れなければ裏ギルドのメンバーにも会う事は無く、馬車での旅は続き気がつけば別れの年月である5年が経っていた……。
読んで頂きありがとうございます。
頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。




