第41話【湖城の主】
逃げた山賊のボスを追って湖に出たが突然ボートを謎の火球が襲い、ボートは破壊され湖に沈んだ。
山賊のボスも連れ湖城まで転移したが、山賊のボスは酷く怯えてしまっている。
「今のは……なあ、あれはなんだ?」
「あ……ああ……すまねえ! だから助けてくれ!」
「お、おい! 何を言ってる?」
「ああ……もうだめだ……おしまいだ……ブツブツ……」
恐怖で壊れちまったようだな……仕方ない、こいつはここに置いてこの中でも探索してみるか……」
湖賊がいるとされている岩で出来た湖城だが、サーチするとそれなりに広い。
だがおかしな事に湖賊がいない。
結構広いからそれなりの人数はいると踏んでいたんだが……。
サーチには全く反応が無い……いや……一部、反応が消されているな……。
「行ってみるか……」
反応がおかしい場所に転移すると、この城の玉座の様な場所に出た。
その一つだけある玉座には人が力なく座っている。
「おい! 大丈夫か!?」
眠るように座っていたのは1人の幼い少女。
緑の長い髪に黒いワンピースを着ている。
俺は少女の細い腕をゆすって声をかけたが反応は無い。
「死んでるのか?」
首元の脈拍をはかそうと手を伸ばした瞬間、少女の目がカッと開き、口を大きく開けて俺の腕に噛みついて来た。
カプ……。
痛くは無い……甘噛みのような感じだ……。
「……おい……」
声をかけてもその幼女は離さない。
腕を振っても食いついて離そうとしない……。
俺は幼女の頭にチョップをかましてやる。
「何をする! 痛いではないか!」
「それはこっちのセリフだ! なんなんだお前は!?」
「妾か? ふふ〜ん、聞いて驚け! 妾はあの伝説の聖獣の1人【ポルリミアン】じゃ!」
「聖獣? お前が?」
「そうじゃ! そしてお主じゃな、妾の手下をやっつけてこの城まで乗り込んできた愚か者は!?」
聖獣の1人と名乗るポルリミアンはビシッと俺を指差し生意気に応える。
「愚か者ってなあ……攻撃されたんだから仕方ないだろ?」
「仕方ないとかなんじゃ! 妾の攻撃をいとも容易く躱しおって!」
「……ふむ、それじゃボートに攻撃して来たのはお前なのか?」
「そうじゃ! 妾の住処を脅かす不埒物め! ここで成敗してやるのじゃ!」
ポルリミアンは口を開いてまた噛みついてこようとする。
「まてまて! さっきのがお前の攻撃ならなんで今やらない?」
「妾はそこまで愚かでは無い! ここで変身してみろ、城が壊れてしまうでは無いか!」
「変身ね……なるほど……それなら外でやってみるか?」
「……それはなかなか良い心がけじゃ。 妾の勇姿をとくと見せてやろう!」
湖城のテラスに出ると、ポルリミアンが隠していた魔力を放出した。
その魔力はどんどん膨れていき……。
「さあ! 妾の真の姿を見るのじゃ!」
緑の髪からは2本のツノが生え、鱗のある尻尾、そして竜の翼が背中に現れた……。
「どうじゃ! 驚いて声も出ぬか?」
「……いや……ほとんど変わって無いじゃん……」
「なにおう! 妾の力を甘く見るでないぞ!」
空に飛び上がると、口からあのボートを破壊した火球が飛んでくるが、俺は蛇腹剣を自分の周りに張り巡らし火球を蹴散らした。
「な! ずるいぞ! そんな武器を使い追って! それならこれならどうじゃ!」
ポルリミアンは指先に雷を発生させ飛ばして来るが、俺は既に結界を張って雷の攻撃を防いだ。
「くっ……やるではないか! なら次はこれじゃ!」
今度は口から火球では無く、炎のブレスを吐いて結界を包み込んだ。
しばらく炎を吐き続けぜぇぜぇと息を切らしている。
「おや? もう終わりか?」
結界の中でくつろいでいた俺は空中で息を切らしているポルリミアンを少し煽ってみた。
「くぅ〜! なんなんじゃお前は!? 妾の最大火力のブレスも効かぬとは!?」
「俺か? 俺はただの旅人さ……それじゃこっちからも攻撃させてもらうぞ」
「空中の妾に地上の攻撃なぞ当たるものか!」
「それじゃ……」
俺は転移してポルリミアンの背後を取って剣の柄で軽く頭を叩く。
「いた! 背後からとは卑怯な! だが妾のスピードについて来れるか?」
ポルリミアンは空中を自在に飛び回るが、俺は転移を駆使してひたすら背後からモグラ叩きのように頭をポコポコ叩く。
「……も……もうやめるのじゃ! 降参! 降参じゃ!」
「なんだ、もうおしまいか?」
ポルリミアンは少し涙ぐんでいた。
地上に降りて話しを聞こうとする時に、他のみんなもボートでこの城までやってきた。
「師匠!」
「先生!」
「マシオ殿!」
「マシオさん!」
「マシオ〜!」
どうやら全員無事に山賊を倒して来たようだ。
「全員丁度よく集まったし、話しでも聞こうか?」
「わ、わかったのじゃ……」
ポルリミアンはこの湖城の事、山賊の事を話し始めた。
「妾は元々この湖城をナワバリとしておってな……だがある日山賊どもがこの城をアジトにするためにやって来たのじゃ……妾はその山賊をボコボコに懲らしめてな、手下にして食料を持って来させていたんじゃ」
「湖賊はもともといないって事か?」
「この城には妾1人じゃ」
つまりは山賊が手下にはなったが勝手に湖賊も名乗り、山と湖を占領して食料を奪うついでに金品も奪っていたと言うわけだ……。
さすが山賊、悪知恵が働く。
「それならこの城の中に奪った金品もあるのか?」
「さぁの? 妾は知らん」
山賊のボスを連れてくればよかったか? さっきの戦いの最中にどっかに逃げちゃったみたいだしな……。
「それなら少しこの城の中を調べさせてもらっていいか?」
「かまわん……それよりじゃ……そこの人間の女はそちの連れじゃろ?」
「リアンの事か? そうだが?」
「リアンと言うのか、妾はポルリミアンじゃ」
「え? は、はい……リアンです……」
「どうじゃリアン、妾と一緒にここで暮らさぬか?」
「それは……ご遠慮します。 私は先生の弟子ですから」
「そうか……残念じゃのう……」
リアンより小さく見えるポルリミアンがショボくれるとリアンは頭を撫でてあげていた。
どうやらポルリミアンは嬉しいみたいだが、これもリアンの慈愛のスキルが原因なのか? ……いや、リアンの純粋な優しさかもな……。
「それじゃ手分けして奪われた金品を探してくれ」
「「はい」」
「リアンは妾と一緒に行こう!」
「いいですよ」
手分けして探し始めた中、俺はムーンさんに声をかけた。
「ムーンさんちょっとお聞きしたい事が……」
「はい、なんですか?」
「あのポルリミアンなんですが、どうやら聖獣の1人らしいけど何か知ってますか?」
「う〜ん……強さは微かに感じますが、聖獣の力は感じませんね」
「そうですか……」
後で直接本人に聞いてみるしかないだろうな。
手分けして探した奪われた物は見つかり、俺は全部しまい込んで最後にポルリミアンに聖獣の話しを聞いてみた。
「ポルリミアンは本当に聖獣なのか?」
「そうじゃ! 妾は竜族の聖獣じゃ!」
あのツノと翼、炎を吐けばなんと無くわかるが……。
「こっちにはその聖獣のムーンさんとルナがいるんだが、ポルリミアンからは聖獣の力を感じないそうなんだが?」
「わ、妾はまだ成長しきっておらぬから……」
見た目は確かにリアンより小さい幼女そのものだしな……。
「マシオさん、その可能性はあります。 ルナも私から力を受け継がなければ立派な聖獣とは言えませんでしたから」
「なるほどな……成長してないからあのくらいの力しか無かったってわけだ」
「そうじゃ! 妾が成長すればお前なんて一捻りじゃ!」
「お前じゃ無くてマシオって名前があるからそっちで呼んでくれ……それじゃ、町に戻るか」
ボートまで向かっていると、ポルリミアンも何故か後ろからついて来ている。
「なんだ? 一緒に来たいのか?」
「そ、そうでは無い……そうでは無いのじゃが……知らなかったとは言え町の人に迷惑をかけたようじゃからな……一言謝りたいのじゃ」
「そうか……それなら一緒に来ればいい。 俺が町の人に話してやるよ」
「本当か! それは助かる!」
ポルリミアンはリアンと一緒にボートに乗り、3台のボートで町まで戻るのだった。
読んで頂きありがとうございます。
頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。




