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第38話【路銀稼ぎ】

 馬車を購入して、不足しているお金を各自で稼ぐ事にする。 これも将来を考えての事だ。

 みんな起きてから自分のやれる事をそれぞれ考えている様子。

 朝食を食べ終えて各自解散して今日からお仕事の始まりだ。


「さて……俺はもちろん山賊退治と行きますか」


 山賊は大体溜め込んでいる事が多いし、町の重要な物でも返せば謝礼金も多く結構稼げる。

 アジトがそう滅多に無いだろうが、転移を繰り返しサーチで確認して行けばいいだろう。


「早速山賊がいそうな古い古城とかを探してみるかな」


 俺は山の向こうまで転移を繰り返し向かった。


「確かこの辺りに……」


 ライラはルヴァク達がいた山のふもとの森に来ていた。


「あった!」


 森の中で見つけた薬草や木の実を採取していた。


「兄さんは何をするの?」

「そうだな〜……荷物運びとかかな〜……リアンはどうするんだ?」

「私はお店のお手伝いかな」

「そっか、それじゃお互い頑張って師匠をびっくりさせてやろうぜ!」

「うん!」


 ディーンとリアンもやる事を決めたようだ。


「ママ、私どうしよ」

「そうねぇ……私は編み物や料理出来るからその辺りを探そうと思うけど、ルナはまだ上手く無いものねぇ……」

「そうなんだよ〜……ママと一緒って事にしちゃダメかな?」

「ダメよ。 ちゃんと働いてごらんなさい」

「ちぇ〜……それじゃその辺に行ってみる」

「あ! ルナ! ……まったくあの子は……」


 ムーンは決まったようだけどルナはどっかに突っ走って行ってしまった。


 3日後まで各々でお金を稼ぐように働き始めた。

 俺は1日目では見つからず、2日目に転移した湖畔の町【アルザランス】に到着した。


「大きな町だな。 ここで情報でも聞いてみるか」


 大きな湖がある大きな町だが静かな町なのか人通りがない。

 木造とレンガ造りの家々が立ち並び、陸と湖の幸が獲れるようで料理屋が多く少し歩けば別の料理屋がある。


「なかなか良い景観だな……馬車が完成したらみんなを連れて来るのもいいかも知れない」


 少し腹も減ったので近くの料理屋に入る。


「いらっしゃい」


 店内に俺以外のお客はいない。

 これだけ料理屋があればお客も分散してお客がいない店も出てくるか……。


「あんた旅の者かい?」

「ええ、そうですが?」

「どうやってこの町にやって来たんだい!?」


 おばちゃんの店員さんは驚いたように急に大きな声で聞いて来た。


「えと……何かあったんですか?」


 こう言う時は大体何かある……感と言うか経験でなんとなくね。


「それが……今この町は陸の孤島なのさ」

「陸の孤島?」

「あんたがどうやって来たか知らないけどさ、街道に山賊、湖には湖賊が出てね……、陸は山賊に襲われるし湖で漁をすれば湖賊に襲われて……今この町は大変な事になってんだよ」

「そうだったんですか……」

「だから今はお客さんに出せる食事は無くてね……」

「それは残念」

「あんたも早く町から出て行くんだね。 その方がいいよ」

「わかりました……それで山賊と湖賊は何処にいるんですか?」

「山賊は馬車が街道に通った時に襲ってくるって話しだよ……湖賊は湖の真ん中ほどにある湖城に住み着いてるって話しさ」

「なるほど……ありがとうございます」


 良い情報が聞けたな。

 場所がわかってる湖賊の方を先にやるか……まずは船を探さないとな。

 船頭さんが船を出してくれればいいが……無理だろうなぁ……。

 湖賊が潜んでいるとされる湖城までは俺のサーチが届かない……つまり転移は出来ないって事だ。

 そうだ! 川で使ったボロ船があったな。


 俺は湖に向かって空間から船を出して浮かべた。


 しかしこの船を1人で操作するのは無理だな……仕方ない一度戻るか……。


 タンガルの町にゆっくりと時間をかけて戻ると、宿にはみんなが待っていた。


「先生! おかえりなさい」

「師匠! 僕これだけ稼ぎました!」

「マシオ殿、私もこれだけ稼いでいます」


 次々と自分の成果を見せてくる。


「まてまて慌てるな。 それじゃ各々テーブルに出して話してくれ……リアンから頼む」

「はい! 先生私は領主さんの所でお手伝いをして稼いできました」


 リアンはそこそこのお金が入った袋をテーブルに置いた。


「次は僕だね。 師匠見てください!」


 ディーンはリアンより少し多めの袋をテーブルに置く。


「ディーンは何をしたんだ?」

「僕は荷物運びの仕事です。 体も作れていい仕事でした」

「そうか、なかなかいいぞ」

「次は私です」


 ライラは2人より大きな袋をドサっとテーブルに置く。


「私は魔物退治や薬草などの採取で稼ぎました」

「ふむ、町にはまだ怪我人も多いからな、いい稼ぎだ」

「私は少ないですが……」


 ムーンさんは小さな袋を出して来た。


「ムーンさんは何を?」

「私は魔物に襲われ両親を亡くした子供がいる孤児院でお手伝いをさせていただきました」

「そうか……それならこのお金はその子達に使ってくれ」

「はい、ありがとうございます」


 小さな袋のお金をムーンさんに返し、次のルナの方を見ると吹けない口笛でそっぽを向いてしまう。


「ルナは稼げなかったのか?」

「……うん……、……でも私も頑張ったんだよ! 荷物運びの仕事だってやったし、薬草採取だってして来たし……」

「それでどうして稼げなかったんだ?」

「荷物は……壊しちゃって……採取した薬草もライラみたいに綺麗に採取出来なくて使えないから買い取ってもらえなかった……」

「そうか良く頑張ったな。 ルナはやれる事が他にあるんだろう、じっくり探せばいいさ。 それにみんなこの短い期間で良く稼いだな」

「「はい!」」

「それでマシオ殿は何をして来たんでしょうか?」

「師匠なら沢山稼いで来てるんだろな〜」


 ディーンは嫌味なくキラキラした目で見て来るが……。


「俺はゼロだ」

「ゼロ?」

「全く稼げていないって事ですか?」

「そうだ。 だからみんなが凄いと思うぞ」

「そんな……先生が稼げないなんて……」

「マシオ私と同じか! やったー!」

「なにか理由があるんでしょうか?」

「ふむ……あると言えばあるが、無いと言えば無い」

「んん? どう言うこと?」

「その内わかる。 それじゃみんなは自分のお金をきちんと管理するんだぞ。 明日は馬車を取りに行く」

「このお金はマシオ殿のために稼いだのですが?」

「ありがとう、だがお金の管理を自分達でする事も大切だからな。 このお金は個人で管理してくれ」

「……わかりました」


 翌日、完成した馬車を取りに向かった。

 読んで頂きありがとうございます。

 頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

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