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第34話【魔族襲来】

 魔族と裏ギルドが何故あんな所で戦っていたのかは知らないが、その戦いに巻き込まれて裏ギルドのレッパとリリアの2人と戦う事になったのだが、リリアは逃げてレッパはなんとか気絶させて宿に放り込んだ。

 レッパが目を覚まして俺を見つけると厄介なので、スキル調べは皆んなに任せ俺は1人、町へと戻る事にした。


「しかし、裏ギルドの連中は1人1人があんなに強いのか? 魔族と戦っていたし……勇者って必要無かっただろ……いや……()()()では必要だっただけか……」


 山を迂回している途中、岩に座りながら考えていた。


「さてと、休憩もしたし町に戻るか」


 町まで転移すると町の入口でムーンさんが待っていてくれた。 やっぱり気配で気がつくんだな。


「あら? 皆さんはどうしました?」


 戻って来る気配が一つだけだったので気になったようだから宿で説明でもしよう。


「そうでしたか……」

「ああ、でもこれで裏ギルドって言う組織の存在と実力はある程度の把握出来たからな」


 前に戦いを見た裏ギルドのラフィーレもかなりの強さだ。 剣技もさることながらあの空間を切り裂く剣も気になる。


「あの、マシオさん」

「なんですか?」

「皆さんが戻って来るまで一緒に寝てもよろしいでしょうか?」

「え!?」

「皆さんが出かけてから寂しかったもので……」


 あー、なるほど……確かに1人だけお留守番だったしな……そのくらいは……まあ、いいか……。


 翌日、馬車の様子を見に向かうと外装は出来上がっていた。

 内装も確認しながらいくつかお願いしてルヴァクとルスヴィズの様子を見に来たが元気そうだな。


『主、ずっとここでは退屈です。 少しは走り回りたいのですが』

『我も同じ意見です』


 ルヴァクとルスヴィズはウズウズしているようだし……。


「ムーンさん、ルヴァクとルスヴィズに乗って少し走りませんか?」

「いいですわね。 私も聖獣の1人として一緒に走ってみたかったのです」


 ムーンさんは競争でもするかのようにポーズをとった。


「違います違います! 俺がルヴァクに乗ってムーンさんがルスヴィズに乗るって事ですよ」

「あら、私ったら……」


 勘違いしたムーンさんは頬を赤らめていた。


「行き先はここから東に広い荒野があるそうなので、そこを目指して行きましょう!」

「はい!」


 ルヴァクとルスヴィズはおもいっきり走った。

 それは全ての景色を置いてただただ風の中を走っていた。

 広い荒野を半分まで走ると、さすがに少し休憩がしたい。

 ルヴァクとルスヴィズ、ムーンさんは平気そうだが、俺はお尻が痛い……。


「少し休憩しませんか?」

「そうですか? ……それならあの辺りはいかがかしら?」


 ルヴァクとルスヴィズは岩場に入り、俺はムーンさんと岩場に腰を下ろし一息入れている。

 

「ここまで楽しかったですね」

「はい、こんなに気持ちいいのは久しぶりです」

「まだ時間もあるし、ここで少し体を動かしません?」

「ここでですか? 私はかまいませんよ」

「なら決まりですね」


 ムーンさんと手合わせは久しぶりだが、気を抜かないようにしないとやられそうだ。


「私は準備出来てますよ〜」

「それじゃ……いきます!」


 構えているムーンさんに走って一直線に向かう。

 すると突然ムーンさんが手を差し出した。


「待ってください!!」

「わわっと! ……どうしました?」

「何か来ます……」


 俺のサーチには何も引っかかっていない。


『主、上です!』


 ルヴァクの言葉で上を向くと……あれは……魔族か!


「お初にお目にかかりますね、勇者殿」

「誰だきさまは!?」

「私は十二闘魔神の【ヘナス】と申します」

「性懲りも無く挑みに来たか!?」

「当然ですよ。 我々は勇者を倒す使命があるのですから」

「それなら……先手必勝!」


 俺は手の中に圧縮した魔法を準備していた。

 それを空中にすかさず飛ばす!


「早いですね」


 魔族が手をかざすと飛ばした魔法をキューブ型の結界で包み込むと魔法が消えて行った。


「ふむ、それがお前の得意技か!」

「こんなのは序の口ですよ」

「そうかよっ!」


 ジャラララと音を立てて蛇腹の剣がヘナスに向かって飛ぶ。


「ふふふ……ホルド!」


 ヘナスに向かって伸びた剣先に指先を向け唱えると、キューブ型の結界が蛇腹剣を止めて空中に固定してしまった。


「くっ! 戻らないだと!」


 蛇腹剣を動かそうと固定されていて動かない……それどころか……魔力が吸われている……。

 魔力が吸われて蛇腹剣は元の剣に戻ろうと縮んでいってしまう。

 俺は急いで蛇腹剣を離し、もう一本の剣を取り出す。


「ムーンさんは離れてルヴァクの所にいてください」

「私も戦います!」

『主! 我々も戦いますぞ!!』

「ありがたいが、激しい戦いになりそうだ……巻き込まれないように隠れていてくれ」

「しかし!」

「大丈夫だ。 俺はこれでも元勇者だからな」


 このヘナスって魔族は何か嫌な感じがする……俺がなんとかしないと……。


「おや? まさかまさか聖獣までもいるとは驚きですね。 どうしました? 一緒にかかっては来ないのですか?」

「お前を倒すのは俺だけで十分だからな!」

「そうですか? そんな事を言っていると後で後悔しますよ」

「そうかよ!」


 魔力を刀身に流し魔力の刃を飛ばす。


「ホルド!」


 魔族はその一言だけで飛ばした魔力の刃もキューブ型の結界へ閉じ込めた。

 そして一瞬キューブ型結界が膨らむと縮んで消えた。

 どうやらあの結界は魔力を吸収するかしてしまうようだ。


「どうしました勇者殿、これで終わりでは無いでしょう?」

「当たり前だ……」


 とは言ったものの……相手は空中……魔法は効果無い……、……いや、もしかしたら……。


 俺は魔法を圧縮せずに火、風、土とバリエーション豊かに放つも、ほとんどキューブ型結界で阻まれ躱されてしまうが……、……あの結界を連続で出せるのは10個までのようだな。

 その一つが消えないと次が使えない様子……そこにチャンスがある。

 俺はルスヴィズの力を借り、風魔法で攻撃をしてもらい魔法の手数を増やす。


「勇者が聖獣の力を借りるとは思いませんでしたよ」

「これも勇者の力の一つだからな!」


 手数の多さでは完全にヘナスを押している。


「ここだ!」


 ヘナスの頭上へ転移して剣を振り下ろすが、結界で止められてしまうが、俺は剣から手を離し落下しながらヘナスの目の前に魔法をぶちかました……。


「……ふ〜……危ない危ない……」

「くそっ! 転移か!」

「当然です。 数少ないとは言え人間に使えて魔族が使えない訳ないでしょう」


 それはそうだ……ここに来たのも転移を使っただろうしな。


「さて、勇者の力も大体わかりましたよ……我々の脅威にはならない事がね」

「脅威にはならないだと! 思い知らせてやるよ!」


 そうは言ったが、転移が使える相手だと魔法を当てるのは厄介だ。

 その時、ヘナスの背後に大岩が飛んでいく。


「チッ! まだチョロチョロと虫がいたようですね」


 ムーンさんが岩を飛ばし加勢してくれているが……。


「邪魔ですね、先に潰しますか」


 ヘナスはムーンさんの背後に転移し、指先を向けた。


「間に合えー!!」


 俺は転移してムーンさんを突き飛ばし、ヘナスのキューブ型結界を受けてしまった。


「マシオさん!!」

「おやおや、これは儲けましたね」


 ヘナスのキューブ型結界は俺を飲み込みどんどん膨れ上がって行く。

 その中の俺は体を動かす事も出来ず、まるで時が止まったかのように固まってしまった。


『……ぐっ……ルヴァク……』

『主!』

『ムーン……さんを……連れて……逃げろ……』

『しかし! 主は!?』

『……俺は……どうにか……する……さ……』

『主! 今お助けします!』

『駄目だ……逃げ……ろ……これは……めいれ……い……だ……』

『主! あるじーー!!』

『ルヴァク、主は?』

『主の命令だ、あの魔族からムーン殿を連れて必ず逃す!』

『了解した』


 ルスヴィズは魔族に向かっているムーンさんの元へ走り、襟を咥え背に乗せる。


「な、なにを! こら! 止まりなさい! マシオさんを早く助けなければ!」


 その言葉にも止まらず走り、ルヴァクは魔法で濃霧を発生させ逃げ切る事に成功した。


「やれやれ……まさか逃げるとは……まぁいいでしょう」


 ヘナスは逃げているムーンに大声で聞こえるように叫んだ。


「このままなら勇者の死は時間の問題ですよ! 私の結界を解くには! 私を倒すしか無いですからね!!」


 ムーンの耳には聞こえていた……だが、1人では勝てない事もわかっていた。

 唇を噛み締めて町へと急いだ。


 読んで頂きありがとうございます。

 頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

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