第32話【2頭の馬】
馬車を引くための馬を仲間にしてタンガルの町へ向かう。
ルスヴィズもテイムをして2頭は俺の言う事を聞くようになった。
『主、これから町に向かうのであれば我らの力をみてくれないか?』
『そうだな、一丁実力を見せてもらおうか』
『御意』
『我は反対だ』
いきなりルスヴィズから反対意見が出てしまった。
『なぜだい?』
『我々の背に姫を乗せて力を発揮してしまうと怪我をさせてしまう』
『姫?』
『リアン様の事です』
リ、リアンが姫……、……まあ、いいか。
『それならルスヴィズはディーンとリアンを乗せてゆっくり町に来てくれ。 ルヴァクは俺とムーンさんを乗せてくれ』
『あとの2人はどうされますか?』
『走って着いてきてもらうさ』
ライラとルナは体力作りのために走ってもらうか。
「……と言うわけで二手に分かれる。 ライラとルナは体力作りのために頑張って走ってくれよ」
「僕も師匠と一緒に行きます!」
「ディーンはリアンを頼むよ。 ライラもルナもいいか?」
「わかりました」
「私も乗りたい〜」
「今度乗せてやるよ。 それじゃ出発だ!」
ルヴァクに飛び乗りムーンさんの手を引いて乗せ、立て髪を掴む。
『では主まいります!』
『たのむ』
「ムーンさん、しっかり掴まっていてください」
「はい」
ルヴァクの走りはまさに天を翔ているよう、全ての景色を置いて行くように走った。
その走りにルナもライラも追いつく事は出来ず、俺とムーンさんはあっという間に町まで到着してしまった。
『凄いな……』
『このくらいは当然です』
ルヴァクは誇らしく鼻を鳴らしている。
『ルヴァク、まだ行けるか?』
『当然です!』
『それなら2人を迎えに行くから頼むよ』
『かしこまりました』
置いてきた2人を迎えに行こうとルヴァクに頼み、ムーンさんを下ろそうとするが……。
「あのムーンさん、2人を迎えに行くので一度下りてもらえませんか?」
「…………」
ムーンさんは俺にがっしりと掴まったまま抱きついている。
「ムーンさん?」
「……あら? もう到着してしまいましたか? 残念です」
「すみません、2人を迎えに行くので……」
「わかりました、ここでお待ちしております」
ムーンさんはゆっくりと下りて姿勢を正してお辞儀をして見送ってくれた。
「おーい! 2人共!」
「マシオ殿!」
「マシオー!」
ルヴァクに追いつかず、諦めて歩いている所を見つけた。
「2人共諦めちゃったのか?」
「流石にあの速さでは……」
「そうだよ〜、先に行っちゃうなんてずるいよ〜」
「悪かったよ。 ルヴァクの力を見たかったからさ、それより2人共ルヴァクの背中に乗りな」
「はい!」
「やったー!」
2人をルヴァクの背に乗せ町まで走る。
あっという間に町まで到着し、ディーンとリアンを待つ。
「お2人はどのくらいで到着するのでしょうか?」
「そうだな……」
ルスヴィズは普通に走って来るだろうから時間はかかりそうだ。
先に馬車の進捗具合でも聞いて来るか。
3人には町の入り口で待っていてもらい、俺はルヴァクを連れて馬車の工房へ向かった。
「すいませ〜ん」
「おおマシオ殿」
「馬車の進捗はどうですか?」
「そうですなあ……それなりに進んではいるのですが……」
「何か問題でも?」
「いやね、この設計図通りに作ると相当の重量になってしまい、そこらの馬の魔物では引く事すら出来かねるかと……マシオ殿は馬の魔物のテイムが出来ましたかね?」
「もちろんです。 この馬なんですが……」
「いやー、その辺の馬じゃ無理かと……」
ルヴァクが顔を出して見せると……。
「お! おお! こ、これは……、……触っても平気ですかな?」
「はい、私がテイムしているので大丈夫ですよ」
「それでは……ふむ……むむ……この筋肉……なるほどなるほど……」
ルヴァクの体をペタペタ触り何か確認している。
「いやーたまげました。 確かにこの魔物なら馬車も引けるでしょうな」
「それはよかった。 頑張ったかいがあります。 それで、この馬と同じ馬がもう1頭いるので2頭で引けるようにお願いします」
「なんと! この馬と同じ魔物がもう1頭! マシオ殿には驚かれますな。 わかりました、2頭で引けるようにします」
「よろしくお願いします」
馬車はもう少し時間かかりそうだ。
『主殿』
『どうした?』
『我々は魔物では無く聖獣なのですが……』
『すまん、聖獣と言って驚かせると噂が流れそうなんで魔物として話しを進めていた。 気に障ったか?』
『我々聖獣を魔物と一緒にされるのは気になりますが、そのような理由があればかまいません』
『そうか、すまないな』
ルヴァクは納得してくれたようでよかったよ。
さて、2人はそろそろ到着したかな?
ルヴァクを置いて町の入り口に向かうと兵士に囲まれていた……。
「どうしたんですか?」
「この者達が町に魔物を入れようとしていてな」
「あ! 師匠! こいつら町に入れてくれないんですよ!」
「そうなんです! 説明してるのに!」
「当たり前だ! テイムしているわけでも無い魔物を町に入れられるか!」
「それなら大丈夫ですよ。 私がテイムしていますから」
「それは本当か?」
「はい。 この子達も私の連れです」
「そ、そうか……それならテイムの証を見せてくれ」
「どうぞ」
ルスヴィズの額が光りテイムの証を見せると兵士さんはわかってくれたようだ。
「師匠先に行っちゃうなんてずるいよ」
「すまんな、でも初めての馬はどうだった?」
「そりゃ楽しかったですけど……」
「私もお姫様になった気分でした。 これで兄さんじゃ無くて先生だったら良かったのに」
「僕で悪かったな」
「まあまあ、しかしちゃんと乗ってこられたって事はやはりリアンのスキルに新しく追加されている可能性があるな。 そろそろ教会に行って全員分調べてもらうか」
「私とルナは遠慮しておきます」
「ふむ……もし聖獣とバレたらめんどくさくなりそうだしな……よし、ディーン、リアン、ライラの3人の鑑定をしよう」
ムーンさん、ルナを宿に置いて教会へやって来た。
魔物の襲撃があったけど教会は無事だな。
早速鑑定してもらうか……。
「無理です」
あっさりと断られてしまった……。
「それは何故ですか?」
「……こちらをご覧ください」
教会の裏手に回ると建物が半壊している。
「この崩れてしまっている部屋に鑑定の水晶は置かれていたのですが、部屋が崩れた時に水晶も割れてしまいました……」
「ふむ……代わりの水晶は無いのですか?」
「代わりはありません……ですが、今は冒険者ギルドに依頼して取り寄せておりますので、もう少し時間がかかります」
「そうですか……取り寄せてるのは何処からですか?」
「ここから北西の聖王都と呼ばれる【グランラキア】と言う所です」
「グランラキアか……」
名前だけは聞いた事があるけど……。
一般の冒険者だと結構時間かかりそうだな……。
別の町に行った方がいいか?
「ここから他の教会がある町にはどの位かかりますか?」
「そうですね……山を迂回した先の小さな村に教会が合ったはずです。 鑑定の水晶があるかはわかりませんが……」
「ありがとうございます。 ちょっと行ってみます」
宿に戻り皆んなに説明をすると、やはり皆んな着いてこようとするが、今回は3人がいればいいからな。
「ムーンさんとルナはルヴァクとルスヴィズを見ていた欲しいんだけど?」
「私はかまいませんが、ルナは連れて行ってもらえると……」
「それはいいですけど、ムーンさん1人じゃ寂しくありません?」
「大丈夫です。 あの2頭の事はお任せ下さい」
「そうですか? それじゃお願いします」
ルナも連れて行く事になり、山の反対側にある【クジュラ】の村を目指して行く事にした。
読んで頂きありがとうございます。
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