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第30話【馬車】

 タンガルの宿に戻った俺達の元に領主からの使いがやって来た。


「すいません、マシオ様はいらっしゃいますか? 私は領主グルンス様の使いの者でございます」


 使いの者を部屋に通し、話しを聞くと馬車を販売している人を紹介してくれた。

 これもディーン達のおかげだ。


「ここか……」


 確かに馬車はあるが、酷くボロボロな物が多い。


「いらっしゃいと言いたい所ですが、今はこの有様でしてね、お目にかないそうな馬車は無いんですよ」


 店主はそう言ってくる。

 確かに良さそうな馬車は無いけれど、俺が注文するのはオーダーメイドだから関係ない。


「オーダーメイドで注文したいのですがそれも出来ませんか?」

「オーダーメイド!! 出来なくは無いですが……値が張りますよ」

「大丈夫です。 あとこれを」


 領主グルンスさんの手紙を渡すと、顔色が変わり奥の壊れていない家まで案内された。


「領主様からお願いされては仕方がありません。 オーダーメイドお受けしましょう。 それで、どんな馬車に?」


 俺は考えていた馬車を説明すると、なかなかに難しい顔をされてしまった。


「う〜む……なかなかに面白いとは思いますが……この馬車が作れたとしても普通の馬ではこの馬車を引くのは出来ないでしょう……馬で引くなら8から10頭は必要になります」


 そうだと思っていたので考えはある。


「引くのが魔物だったらどうですか?」

「魔物ですか……? やった事がないのでわかりませんな……しかし魔物なら引けるのもいるかも知れませんが……テイマーでもないと難しいかと……」

「一応俺がテイマーのスキルを持っているから魔物さえ捕まえればなんとかなりそうですか?」

「ええ、それならなんとかなるかも知れません」

「それでは、馬車の製作に取り掛かってもらえますか? 魔物はなんとかしますので」

「わかりました……そうですね……この馬車を引いて旅をするならそれなりに力を持った魔物が良いでしょう」

「何か魔物に心当たりはありませんか?」

「う〜む……噂にしかなりませんが、確かここから北の山に大きな馬の魔物がいたと聞いた事はありますが……」

「北の山か……ありがとうございます。 馬車の方は頼みます!」


 馬車は頼む事が出来たのであとは馬車を引く魔物だな。

 北の山か……行ってみるか。

 宿に戻り馬車の説明をすると、今度は誰を連れて行くかの話し合いが始まった。


「今回は僕が着いていきます!」

「魔物のテイムなら私も勉強になるので先生と一緒に行きたいです!」

「魔物をおとなしくさせるなら私だって!」

「山や森では私が役に立つと思います」

「魔物の発見なら私でも出来ますよ」


 さあどうしようか……。

 魔物のテイムだからな……全員連れて行ってもいいが……うん、全員連れて行くか。


「今回行くメンバーは全員だ」

「師匠皆んなで行くんですか?」

「そうだ。,今回は魔物退治では無くてテイムだ。 いつもとは違って参考になるかも知れないからな」

「やった!」

「先生嬉しいです!」

「よ〜し、頑張るぞ〜」

「ルナ、今回は魔物は倒さないんですよ」

「ルナさんそうですよ、今回はマシオ殿のテイムを参考にさせてもらいましょう」

「決まったな、それじゃ早速出発だ」


 転移を繰り返し山のふもとまでやってくると、山のサイズがよくわかる。


「先生この山で馬の魔物を探すんですか?」

「見つかるの? これ?」

「師匠! 僕も頑張ります!」

「さまざまな魔物の気配でわかりませんね」

「私も頑張って探しますが……森のように移動は出来ませんね」

「皆んな頑張ろう、暗くなる前に探したいが難しいかも知れない。 久しぶりに野外で泊まり込みになるだろう」


 サーチしても魔物が多過ぎてわからない。

 地道に探すしかないな……本当にいればだけど……。


「山道は幅が狭い、離れずに進むぞ」


 山道とは言っても整地されているわけじゃ無いから歩きにくいったらない。

 こんな道でもライラ、ムーンさん、ルナは平気そうに歩くが、ディーンとリアンにはちょっとキツイみたいだな。


「大丈夫か2人とも」

「は、はい」

「僕も、大丈夫です……リアン僕の後ろに着いて来るんだぞ」

「大丈夫よ、兄さん」


 兄妹はお互い協力しあっているから問題はないだろう。


「マシオさんこの先は道が細くなっています。 気をつけて進みましょう」

「これは確かに……」


 崖が崩れていて進むには壁を背にしてゆっくり歩くしか無い。

 奥まで転移してもいいがこれも修行だ。


「お互いをこのロープで結んでおくんだ」

「先生って、でもロープ繋いだら1人が落ちたら皆んな道連れになりませんか?」

「そうだな。 だが、1人でも助ける力を持っている人がいるなら問題ない」

「なるほど……」


 お互いにロープを腰で結び、細い道を少しずつ進んで行く。

 先頭はライラ、ムーン、ディーン、リアン、ルナ、俺の順番で渡る。


「に、兄さん……」

「大丈夫、大丈夫、怖かったら僕に捕まれ」

「う、うん」


 ゆっくりだけど崖を進み中腹まで辿り着く。

 魔物には遭遇しないように進んで来たが、ここからは魔物を回避して進むのは難しいだろうな。

 そう心配していると、やはり魔物が現れた。

 火を吐く【マグニリザード】だ。


「皆んな! 魔物がーー」


 魔物が現れた、ふむ……3匹ほど出て来たんだが……。


「はああああ!」

「やああああ!」

「とりゃー!」


 ムーンさん、ライラ、ルナの3人であっという間に倒してしまった……俺の出番無し……。


「皆さんさすがです!」

「僕にも残しておいてよ〜」

「心配は無用なようだね」

「そんな事はありませんわ」

「そうです。 少しは心配していただいても……」

「うわー怪我したかもーいたーい!」

「ルナさん! 怪我したなら()()治しますよ」

「う……大丈夫です……」

「皆んな馬もちゃんと探してくれよ」

「はい!」


 しかし馬の魔物は見つからず日も暮れたので一泊する事になる。

 読んで頂きありがとうございます。

 頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。


 

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