第21話 【獣の親子】
3人をミネストルーネに置いて、強い反応があった場所に転移でやって来た。
「さすがにもういないか……」
辺りをサーチしても反応は無い……弱い反応もないのはおかしい……魔物は大体いるんだがな……?
軽く歩いて確認して誰もいない。
「ふむ、洞窟か……」
歩いていて洞窟を発見した。
それほど深い洞窟じゃ無さそうだ、中を確認してみるか……。
洞窟に一歩足を踏み入れた途端、爆発的に反応が膨れ上がった。
この中にいるのか!?
一歩一歩進むと力強い反応がひしひしと伝わってくる……だが強い反応は1つだけ?
もう1つあったはずなんだが?
狭く暗い洞窟の中を進む……そろそろ反応がある場所だ……。
反応があった場所は少し広く6畳ぐらいの空間があり、そこには俺をめっちゃ威嚇してくる者と、その後ろにもう1人いる感じだ。
「フーー!! ガルルルル……」
暗くで良く見えないが威嚇してくるのは目が光り明らかに敵対している。
どうやら獣の魔物のようだ……いつ襲われてもおかしく無い。
剣を出現させてジリジリと近寄って行く。
獣は飛びかかり襲って来る所を剣を抜いて迎撃……する瞬間、後ろから声が響く。
「おやめなさい!!」
一声で獣はピタッと止まり、俺も剣を抜くのを止め獣は下がって行く。
話せる人がいるのか……。
「明かりをつけても?」
「はい」
女性の声だ……。
空間からランタンを取り出して明かりを灯す。
そこにいた獣だと思っていたのは……獣人か?
そして後ろで戦いを止めた人も獣人のようだ。
「申し訳ございません、剣を納めていただいてありがとうございます……ゴホゴホ……」
「いや、こちらもちゃんと確認しないですまなかった。 それで……あなた方は?」
木の葉で寝床を作りそこに横になっていた獣人の女性は起き上がり姿勢を正して座ると、その横にさっきの襲って来た獣人の女性も座った。
「私達親子は私が病気になってしまったのでここで療養しておりました。 私は【マリナスムーン】こちらは私の娘で【マリナスルナ】と言います」
「襲って悪かった。 ママを守るのは私の仕事だから……」
「こちらも確認しなかったからな……病気ならなぜ町に行かない?」
「人族は信用出来ない!」
理由有りか?
「それでその病気は治るのか?」
「……無理でしょう……ゴホ……」
「ママ!」
「大丈夫……私の病気は特殊で……特殊な薬が必要なんです」
「薬か……俺は回復魔法が使えるがそれじゃダメか?」
「魔法では治らないでしょう……」
「そうか……、必要な物はわかるのか?」
「ええ、まあ……」
「それじゃそれを教えてくれ」
「……何故私達を助けるのですか?」
「病気の人をほっとけないだけさ……」
「おまえ、ママを助けられるのか?」
「材料を教えてくれればな」
「材料が揃う……ゴホ……かわかりませんが……」
マリナスムーンさんは必要な材料を葉に書いてくれた。
材料は4つか……。
「薬が出来たら持って来る。 一応食料は置いておくから体力はつけておくんだぞ」
「ありがとうございます」
「ありがとう」
「そうそう、俺はマシオって言う。 また来た時に襲われたくは無いから名前は教えておく」
「マシオさんですね……お願い……ゴホ……します……」
「します……」
2人の獣人と別れ、薬の材料を探しに行く。
材料の場所はなんとなくわかっているから、転移でさっさと行って薬を作るか……。
急いでいたので3人に報告するのを忘れて探しに行ってしまった……。
その頃……3人は……。
「先生が帰って来る前に良い宿を探しておきましょう! 夕食も私が作ります!」
「え!? ゆ、夕食はライラさんの方がいいと思うな……」
「ええ、私が腕を振いますからリアンさんとディーンさんは買い出しに行ってもらえませんか?」
「そうしよう! 師匠のために良い食材を探してこようぜ!」
「……そうね、わかったわよ」
リアンは渋々了承して僕と町に探しに行くことにした。
ここミネストルーネの町は発展していてかなりの大きさがある。
町全体を岩壁で囲み、魔物の侵入を許さない。
冒険者ギルドも他で見た建物より大きく、商人ギルドもある。
町は活気があって人も多く、出店も沢山出店していて楽しい。
「リアン、あれなんて美味しそうじゃない?」
「あの人が持ってる剣かなり強そうだな」
「あっちでアクセサリー売ってるみたいだぞ」
僕は師匠がいなくてリアンが寂しくならないように目についた物をリアンに話していた。
もちろん僕も楽しいからね。
……兄さんがうるさい……。
私のためだと思うけど、もっとゆっくり静かにお店をみたいな……先生とだったら……。
「ん? 何か言ったか?」
「ううん、なにも……あ、兄さん! 向こうからいい匂いがするよ! 行ってみようよ」
「おう!」
パンが並ぶお店、お肉屋さん、色々な野菜を売っているお店……、沢山のお店が立ち並ぶ中、パン屋に入ろうとした時、突然扉が開き子供が飛び出して来た。
「兄さん!」
「うわっ! あぶね!」
僕は上手く躱す事が出来たが、子供の後に出て来た店主に飛ばされてしまった。
「いたた……」
「兄さん大丈夫?」
「ああ……」
「う……いたた……は! ドロボーだ! 捕まえてくれ!」
店主と一緒に倒れていた兄さんを起こす。
さっきの子供は……パンを盗んで行ったのか?
店主を起こして事情を聞いてみると、最近町に子供のドロボーが出没するようになったと言う。
最初、私達も子供でドロボーを逃してしまった事から仲間かと疑われたけど、着ているそれなりの服を見て違うと判断してくれたみたい。
「その子供達はどこにいるんですか?」
「さあな、突然出て来てかっさらっていくんだ! とっ捕まえて役人に突き出してやる!」
「落ち着いてください。 それより僕達にパンを売ってもらえませんか?」
ディーンとリアンはパンを袋一杯に買うと店を後にした。
「おいリアン、そのお金は師匠が宿と夕食代としてくれたお金だろ? 勝手に使っちゃっていいのか?」
「いいわ。 それより兄さんも早くこっちに来て」
リアンは路地裏に入って行く。
路地裏にはいい思い出が無い……師匠に会う前を思い出してしまうからだ。
「多分この辺りね……、……やっぱり! あったわ!」
リアンは細い路地裏の家の壁を調べ始めていると、子供なら通れる穴を壁に見つけた。
「リアン、こんな穴を見つけてどうするんだ?」
「いいから来て」
パンを俺に預けてゴソゴソと穴に入って行く。
「兄さんパンを! それから兄さんも早く」
「わ、わかった……」
パンを穴からリアンに渡して穴に入ると、そこには狭い場所に5人の子供がいる。
皆んな4、5歳程だろうか? 僕とリアンが突然入って来たことに驚いているが、持っているパンの匂いに喉を鳴らす子供もいる。
「お……お姉ちゃんはだれ?」
「私達は今日この町に来たの。 あなた達はここに住んでいるの?」
「う、うん……ゴクッ……」
「……一緒に食べる?」
「いいの!?」
「ばか、ダメだよ! 知らない人からもらったらダメだって【カシル】が言ってただろ?」
「だって……お腹すいたよ……」
「我慢しろ!」
パンに手を伸ばそうとした子を止め後ろに下げた。
「私達は悪い人とかじゃ無いわよ。 だからどうぞ」
リアンはパンを差し出すと、恐る恐るパンに触れ6つに分けた。
「まだあるから分けなくて大丈夫だよ」
「そうはいかない。 皆んなで分け合うのがここの決まりだ」
「だれ!?」
穴から入ってきた男の子。
この子……パン屋で盗んだ子?
「「カシル!!」」
子供達はこのカシルと言う少年に集まって分けたパンを一切れ渡していた。
その子の頭を撫でながら「ありがとな」と一言。
「こいつらがもらっちまった分は仕方ない……だけど俺達は施しは受けない!」
「施しは受けないって……それでまたドロボーするつもり?」
「俺達に親はいない! みんな捨てられた奴らさ! そんな俺達が生きて行くためならな!」
カシルは袋に入ったパンを突き返して来た。
「そんなことーー」
「そんな事やめろ!」
私が言うより早く兄さんが声を出した。
「なんだと!?」
「他の人に迷惑かけるような事はやめろと言ってるんだ!」
「なんだと! 何も知らない奴が口を出すな!」
「わかるから言っているんだ!!」
兄さんの気迫に押されてカシルは一歩下がった。
「俺達兄妹も……前はお前達と同じだった……。 寒さに耐え、空腹に飢え……でも、盗みはしない! 小さい仕事でもなんでもやって生きて来たんだ!」
「そんな良い服着て、パンも買える奴に言われたって知らねえよ!」
「……そうか……それならこれをやる!」
「に、兄さん!?」
ディーンは持っている剣と盾を地面に置いてカシルに渡した。
「これで冒険者になれ! そうすれば食っていけるはずだ!」
「……剣なんか持ったことねえ!」
「なら僕が教えてやる!」
「……お前強いのか?」
「やってみるか?」
「ちょっと兄さん!!」
2人は外に出て行っちゃった……。
どうしよ……先生戻って来てるかも知れないし、先生にどうにかしてもらわないと……。
私はパンを子供達に渡して急いで宿に走った。
読んで頂きありがとうございます。
頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。




