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WCからの転生者

テッテレー♪ガー

「いらっしゃいませー」

「ま、まじか」


その男はコンビニの自動ドアから入ってくると同時に雄叫びをあげた


「こ、これが噂の異世界転生っ!マジでっ!すっげー!!マジックアイテムにポーション!マジで異世界!ファンタジーの世界じゃんっ!」


商品棚に並んだ数々のアイテムを震える手にとり、いちいち感動の雄叫びをあげている


「え!ってことはさー!俺ってチート?チート能力ある感じ?」

 


男はレジコンビニ内に外のお客様がいないのを確認すると、毒消し草を並べているコンビニ店員に詰め寄った


「ってことはさー!ってことはアレが出ちゃう感じ?」

目を輝かせながら、右手を前に出し大声で男は叫ぶ

「ステータスオープン!!」


シーン


テッテレー♪ガー

「いらっしゃいませー」


次から次にくるお客様を、横目にコンビニのはしっこで恥ずかしげもなく、様々な言葉を叫びながら、両手を上げたり、振ったりとしている。そんな屈んで股の間を覗いても何も見えないだろう


「くっ!分かった!じゃあ、魔法だっ魔法っ!まずはあれだろ!ファイアーボール!!」


たとえ、出たとしても店が燃えるからやめてほしい


テッテレー♪ガー

「ありがとうございましたー」


「ちょちょっ、店員さん!ここって異世界なんだよね!?しかも今の人ドワーフっぽいし、外に見える感じだとここダンジョンっぽい中にあるんだよね」


いろいろと呪文を叫ぶのをあきらめた男がレジに向かって、問い詰めてくる


「ここはダンジョンコンビニ山田店です」

「だよね!ダンジョンだよね!じゃあ、異世界だよね!!あれもあれもこれも初めて見るアイテムばっかりだもん!!」


男はレジの前に並べられた、スライム饅頭を指さして自分の居場所を確認する

「俺さ!放課後に学校のトイレに行ったのよ!そしたらさ、トイレのドアが光ってて、開けたらここの店の前に出たわけ」

「はい」

「これって、俺が異世界に転生しちゃったと思うじゃん?そしたらさ、普通はチート能力とか魔法とか使えると思うのよ」

「はぁ」

「んでもさ!さっきから何にも出ないんだよね!!」

テッテレー♪ガー

「いらっしゃいませー」

「コンビニ兄ちゃん!いつもの!」

「うお!!勇者っぽい奴が入ってきた!!異世界じゃん!まじで」


どうやら、魔力0のこの男には幻覚魔法も効かないらしく、お客様の姿も本来の姿で見えているようだ

「こんにちは!!勇者さんですか?」

フレンドリーだな

「んん!?なんだコイツは!!新手のモンスターか!!おい、店員の兄ちゃん!!店内にモンスターが入り込んでいるぞ!!」

「お客様ですね」

「客だと!!?こんな不気味な真っ黒の靄がか!!?」


どうやら、魔力0の彼は相手からは敵の姿に見えるらしい

「勇者さん!!握手してください」

「うお!!なんだこいつ!!まとわりつきやがって!!店員の兄ちゃん!早くエレキテルまんを包んでくれ!!」


テッテレー♪ガー

「ありがとうございましたー」

勇者は慌てて熱々のエレキテルまんをつかむと、颯爽と走って出て行った


「なんだよー。勇者も大したもんじゃないなー、はっ!まさか俺のLevelがカンストしててビビッた感じ」

魔力0の体力15のダンジョンカーストでビビったのでしょう


男は、飲料棚からポーションを手に取りレジに来た

「200ペソです」

「200円ね!ポーション安!!じゃあ、あとこのスライム饅頭も!!」

「450ペソです」

どこの世界の通貨であっても、レジを通すとペソ通貨に代わるから便利だ、相手には自分の世界の通貨に聞こえるらしい


「とりあえずさ!!ちょっとダンジョン探索してくるわ!!!」

テッテレー♪ガー

「ありがとうございましたー」

テッテレー♪ガー

「いらっしゃいませー」

「ドア出たら学校のトイレだったんだけど!!」


今日のお客様はなんて面倒くさ・・・しつこい方なんでしょう。

「いやさ!!ドア開けたらトイレだったし!!しかもポーションがオロ〇ミンCになってたし!!スライムも水まんじゅうになってたし!!」


どうやら異世界にここの物を持ち帰るとそこの世界の物に変化するらしい

「え!!なになに!!ここってトイレとコンビニ行き来きできるだけ!?しかも買ったアイテム全部変わるし、これじゃ普通のコンビニじゃん!!」


新手のクレーマーみたいなお客様の、対応はとてもめんどくさい


テッテレー♪ガー

「いらっしゃいませー」

「店員よ、いつものを頼む」

「ドラゴンじゃん!!!!まじでドラゴンじゃん!!異世界じゃん!!!すっげー!!握手してください!!!!」

男はドラゴンの周りを走り回り、右手を差し出した

「なんだ、なんか臭くないか?店員よ、43階層の排泄処理場の匂いがするのだが」


どうやら魔力0の彼はドラゴンにとっては排泄物にしか見えないらしい

「すまぬが、私はこの匂いが苦手なのだ。商品を早くしてくれないだろうか」


テッテレー♪ガー

「ありがとうございましたー」

ドラゴンは、マグマドリンクのコップを受け取るとドリンクをついで、鼻をつまみながら颯爽と出て行った


「え?なになに?何言ってるかわかんなかった!!!!ま、いっか!!」

ピロピロピロリン♪

「お疲れ様ですー」

「こんにちわ、店員さん。今日の入荷分をもってきましたにゃ」

「猫娘キターーーーーー!!!!」

「きっも!!!!」


ピロピロピロリン♪

ケットシーは一目散に商品と領収書を置いて、逃げていった

続けざまに避けられてショックを受けたのか男は、うなだれていた。たしかに初めての異世界に来て、冒険も何も始まらないのは可哀想な気もするが


「・・・とりあえず帰ります・・・」

テッテレー♪ガー

「ありがとうございましたー」

テッテレー♪ガー

「あのさートイレットペーパー売ってない?」

「ご利用ありがとうございます」

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