大天使降臨
天界と魔界というものが存在する
そして、このダンジョンコンビニはどちらかというと魔界に近い場所に存在している
テッテレー♪ガー
「いらっしゃいませー」
そのお客様は、キョロキョロと物珍しそうに入ってきて、陳列された商品を見ると目を輝かせた
「こんなに沢山のお布施があるなんて」
背中には真っ白の翼が6つも生えており、頭頂部には光る金の輪っか、肌は何も身に付けず産まれたままの姿で店内をフワフワと飛び回っている
「これもこれもこれも、初めてみるものばっかり」
全裸天使は、ニコニコと籠をもち、商品棚から山いっぱいにかき集めると満足そうに出入り口へと向かった
「お客様さま、商品のお会計がまだのようですが」
店の外に出るまでは、捕まえることは出来ないが、ここはダンジョンコンビニ、出入り口を通ってしまうと捕まえることは難しい
「お会計?」
「そこの籠の商品に対して支払いをしていただくことです」
全裸天使はキョトンと首を傾げ、店員が指差した手の先にある籠の商品へと目をやった
「これはお布施でしょう?下々がお供えたものに対し何を支払うの?」
あ、こいつ駄目なやつだ
「そちらは、私どもが対価を支払って売っている商品ですので、お客様さまへのお布施ではありません」
「?」
「ですので、そちらの商品をご所望でしたら、対価をお支払いしていただきます」
「我々は下々にいつも愛を捧げているのだけれども」
「対価でお願いします」
身に着けるものがないので、当然対価など持っていない全裸天使は口を尖らせながら、シブシブと商品棚へと商品を返そうと__しない。
「お待ち下さいお客様」
「だってお布施だもんっ!!」
テッテレー♪ガー
全裸泥棒天使は、商品を持ったまま飛んで逃げていってしまった
ピポパ
「すみません。ダンジョンコンビニ山田店です。泥棒に入られまして。はい、はい、全裸の天使です。はい、お願いします」
テッテレー♪ガー
「すびまぜんでじだぁあ」
10分後、全裸天使がダバダバと涙と鼻水をたれ流しながら戻ってきた。天使の輪はまるで、手錠のように両手につけられている
「だっでぇ〜我は下々に愛をあげでるがらぁ」
「対価でお願いします」
全裸天使はしぶしぶと商品を籠からとりだし、商品棚へと返していく。商品がすべて戻ったと同時に天使の輪が首の所まで戻っていった
どうやら、罪を犯すと天使の輪が下に移動する仕組みらしい
「・・・この俗世のことが書かれている本みたかったぁ」
「そちらの本を読む分には構いません」
「ぅえ?ほんとぉー??読んでいいのー」
「袋とじは開けないでください」
ここはダンジョンコンビニ、立ち読みとトイレの使用は24時間タダでお受けしています。ただし、商品は丁寧に扱いください。決して、裸で宙に浮かびながら、足を組み爆笑するのは行儀が悪いので、よいこは真似をしないように
「きゃはははははは!!!」
輪っかが、腰まで落ちてきているがほっておこう