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逢魔が時の地下アイドルとファンサービス

6時6分6秒に必ず訪れるお客様がいる


テッテレー♪ガー

「いらっしゃいませー」


漆黒の服から、露出する部分には真っ黒の包帯を巻き付け、真っ黒のサングラスをかけた男、背中からは真っ黒な羽が6枚生えている


「あの、Uper Hzデス。牛乳1つとブラックデスメタルティーを6つ」

「はい。領収書がいりますか?」

「アンダーグランドヘル一番街宛でお願いシタイデス」


領収書と牛乳1つ、コップを6つ渡すと、ドリンクサーバーの所へ行き注文した銀色の液体を丁寧についでいく


テッテレー♪ガー

「いらっしゃいませー」

自動ドアからピンク色の髪を2つに結んだ女性が、20センチ以上もヒールがついたロングブーツをカツカツと鳴らし入ってきた


サーベルタイガー柄のコートに、ミニスカート、サラマンダー柄のタイツを履き、顔にはサングラスに、マスクをつけ首からは超合金スカルのネックレスをつけている


みんなのアイドルリンゴブだ



「ご、リンゴブさんデスか!?」

「あら?もしかしてAKUMAさん?」


リンゴブは、サングラスを少しだけ上に上げると、コップから溢れそうな液体を慌てて拭き取る悪魔に向かって話しかける


「AKUMAさんいつもと違う格好だから気づかなかったぁ!あ、今日のイベントにも来てくれてありがとうねっ!」


「自分、リンゴブファンクラブ会員666号として、イベント参加は必須デスから!」

「それにしてもよくチケットとれたねぇ」


悪魔はサングラスを中指でクイッと持ち上げると、マスクの中でニヤリと微笑む


「リンゴブさんが伝説のデスメタルを歌うってツゥイッタァに載ってたんで、6ヶ月前からならでいたんデス」


悪魔は、Tシャツをズボンにinしながら自慢気に語る


「にしても今日のリンゴブさんには痺れました。あんなに首を振ってもなお輝く笑顔!!まじ、リスペクト」

「ありがとぉー。最近、副業のモデル業が忙しくてヘッドロックできなかったから張り切っちゃった」


モデルが副業だったんだ


「リンゴブさん、痩せました?今日はなんだかいつもと違いますね」

「そうかなー、AKUMAさんこそ今日はなんかガタイがいいねっ。いつもは細マッチョって感じなのに。それに恰好もいつもと違う感じ」

「そうですか、自分はいつもと一緒でゲス」


前髪を七三に分けながら悪魔が前歯を出し、サングラスをキラリと光らせる


「AKUMAさんはお仕事中?」

「そうでゲス。あっ!店員さん!デスメタルティーを1つ追加してくださいでゲス」


400ペソ追加で支払い、コップを受け取ると悪魔はリンゴブに差し出す


「こ、これ良かったら飲んでゲス」

「ありがとぉー」

「あっ」


コップを握る悪魔の手の上からリンゴブが握手をするように悪魔の手を包み込む。やるなアイドル


「リ、リンゴブさんは、か、カレ、あ、いやご法度でゲスね、あっ!そのスカルのネックレスお似合いでゲス!」

「ありがとぉーこれピッピに、あ、ファンクラブの1号の人にもらったちょーお気に入り」

「そ、そうでデスか」


悪魔がTシャツをズボンから出し始める


「あ、自分はこれで・・・配達にいかないと」

「そっかぁ、お仕事頑張ってね!」


リンゴブが悪魔の手をギュッと握りしめる。抜かりないな


テッテレー♪ガー

「ありがとうごさいましたー。いらっしゃいませー」


悪魔が出ていくのと、同時にゴブリンの群れがゴブゴブと入ってきた


「今日のアンダーグランドヘル一番街の警備はいそがしかったっすねー!でも、ジャゴブイアンさんあいかわらず、すげーよな!女聖騎士を一撃っすよ」

「あの人残業までしてさーすげーよなー。しかも、ジャゴブイアンさん絶対、メスは倒しても襲わないってかっけーよなー」

「ばーか、お前、ジャゴブイアンさんは愛妻家なんだよ!あの人の奥さんめっちゃ美人らしいぜー」

「マジで!」

「しかも、お揃いの超合金スカルのネックレスをつけてんだぜ!」

「ヒュー♪やるぅ」


テッテレー♪ガー

「ありがとうごさいましたー」


リンゴブは、薬品棚から蝶々の絵と0.03と書かれた小さな箱を買うと、ゴブゴブと集団で、雑誌コーナーでゴブリタを読むゴブリンを避けるように出ていった


マスク越しでも分かるくらい嬉しそうな顔をして、罪深き地下アイドル兼モデル、リンゴブは今日もファンクラブの会員を増やし、アンダーグランドヘル一番街へと愛を育みに向かった

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