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ぬらりんフェア開催中

一年に一度、闇日という日がある。この日は、本来の魔力が弱まり、通常業務に支障がでてしまう。ダンジョンコンビニもこの日だけは、認識魔法が弱まってしまうため、いつもは両親にも協力してもらい、聖魔法を練りこむことで通常業務を続けていたのだが


「ごめんねぇーマーちゃん」

「どういうことですか」

「ほっほ」


闇日の前日、突如両親の裏切りにあってしまう。こんな日だとわかっていて、なんでこの両親は温泉旅行などいうものに行こうとしているのだろう


「だってぇー、明日は結婚記念日だしぃー夫婦でしっぽりしよーかとおもってぇー」

「ほっほ」


だってもない。行くにしてもなんでこんな前日になっていうんだ、もう商品入荷の依頼も終わっているから、キャンセルもできない状況で。親父は、もう裸で腰にタオルまいていく気満々だし


「商品を入荷した以上、明日も開けないといけないのにどうするんですか」

「ほっほ」

「えぇーマーちゃんならぁー何とかできると思ってぇ」


できるも何も、できるわけない。弟たちも明日は、塾だから期待はできない。受験生だし。そもそも、しっぽりはいつもしてるじゃないか


「そもそも、言うのが遅いんですよ」

「ほっほ」

「ごめんねぇーママしっぱーい」

「ほっ「しかも誰ですか、さっきからほっほっこのおじいさんは」ほ?」


休憩室のこたつに入って、ミカンを食べながらお茶をすする剥げたおじいさんが普通に家族団らんに混ざっている


「えーマーちゃん、オーナーさんじゃなぁい」

「はじめましてですが」

「えーそうだっけぇー、ぬらりひょんのぬらちゃんよー」

「ほっほ」


大島紬の着物を着こなして、ダンディな髭を生やし、口元からはきらりと金歯が光っている。手元には高級ブランドバックから大量のペソ札とカードがのぞかせているが、どうにも存在が薄くぼやけてしまう


「ぬらちゃんねー今日はお願いがあってきたんだってぇー」

「オーナーと呼んだ方が・・・」

「ほっほ」


禿爺オーナーは、ゆっくりと立ち上がり、こたつの中から段ボール箱を取り出すと、ゆっくりと頭をさげそのまま土下座をした。段ボールの中をのぞくと、大量の剥げたおじいさんのフィギュアや缶バッチ、キーホルダーにカードといったぬらりひょんグッズが入っていた


「これは」

「ぬらちゃんねー存在が薄すぎてぇ、最近の若い子たちもぉ、百鬼夜行をめんどくさがるしぃ、自分をバズらせよぉってしたくてぇグッズを作ったんだってぇ」

「ほっほ」


売れんやろ


「それでぇーこのグッズをコンビニでぇ「お断りします」」

「ほ?」


禿爺は鞄からこの土地の借地権を取り出すと、契約書の金額の部分に0を一つ書きたそうとする

「はぁ・・わかりました」


次の日、コンビニのドアには【百鬼夜行フェア、コスプレをしてきたお客様には、商品1つにつきぬらちゃんグッズが当たるチャンス(※なお、公平を期すために店員以外のお客様同士には互いに違う姿に見えるような魔法がかかっております)】と貼りだされていた


テッテレー♪ガー

「いらっしゃいませー」

「おぉーコンビニ兄ちゃんもコスプレしてんのか」

「通常です」


勇者が、頭にドラゴンの角をつけて、やってきた。なんてクオリティの低いコスプレなんだろう


「うぉ!すごいドラゴンがいるじゃないか!!しかもあの古傷!めっちゃリアル!!」

「ぬ?勇者の恰好のやつがいるとは、よほどの際物と見受けられる、いや逆におのれの敵を知ってこそ自身の強さを極められるというものなのか」

「その声は、いつもの凄腕っぽいお方っ!!」


認識魔法がかかっていない今日のコンビニは多種多様な種族で、にぎわっている。闇日であっても効力は少し残っており言語魔法だけは使えるらしい

省エネ機能のようで、魔法節約もできるからありがたい


「しかし、コンビニ兄ちゃん!いつもの黒い靄がウロチョロしているが、あんなののコスプレをするやつもいるんだな」

「ふむ、確かに。臭い匂いも漂って居る」


魔力0のせいなのか、こんなに効力が低下している環境の中でも、気合をいれたコスプレで、下半身黒タイツに上半身裸で、ポーズをとりまくっている異世界転生者は、相変わらず報われない


「主様!こんな機会めったにありません!今こそ経典を参考にすべきです」

「ムッ!そうだな。店員よ、では、この大判タオルをいただこう」

「500ペソです」

裸天使と裸神が、イソイソとタオルを身体と頭に巻き付ける

「ちょ、ちょっと派手すぎないですかね」

「ムッ!これも苦行と思うのだ」

コスプレどころが、修行僧のような普通のおじさんと風呂上がりのタオルを巻いたような普通の少女になった


「ジャゴブイアンさん!今日はいつもに増していかしているっす!!」

「そのスカルヘッド最高っす!!」

頭にリアル骸骨の仮面をかぶったジャゴブイアンが、子分を連れて少し照れくさそうに牛乳1瓶とブラックコーヒーを人数分購入し、ぬらちゃんキーホルダーを子分に配っている


ピロピロピロリン♪

「お疲れ様です」

ある程度のぬらちゃんグッズがはけてきて、昼の3時になるころケットシロネコヤマタイトから卸業者さんが入ってきた


「ちわーっす。まいどケット・・・うにゃー!!!化け物だらけだにゃー!!!!ブクブク・・・・」


しっぽを3倍に膨らませ、瞳孔が縦に変わると同時に、泡を吹いて倒れてしまった

大切な卸業者さんに悪いことをしてしまった、これもあの夫婦が突然温泉旅行にいくから事前に連絡をできなかったのも原因だ


「・・・うにゃ・・」

「すみません。驚かせてしまって」


店員の膝の上でゆっくりと目を開けると、ケットシロネコヤマタイトの女の子の顔がみるみる青くなったり、赤くなったりしていく


「・・・今日の店員さん・・素敵ですにゃ・・・」

自分はいつもどおりなんですが、大丈夫でしょうか


しっぽをフニャフニャさせながら、シロネコヤマタイトさんが商品を並べながらチラチラとこちらを見ているが、大丈夫だろうか


テッテレー♪ガー

「ありがとうございましたー」

無事、最後の1個のぬらちゃんグッズもはけて、闇日も終わりそうな23時55分。


休憩室を覗くとピチピチに肌をひからせた夫婦とほくほくの禿爺がこたつで鳥の形をしたお菓子を食べながら、団らんをしていた為、魔力が回復したと同時に最大級のエクス〇ルソをぶつけてやった


テッテレー♪ガー

「ありゃりゃーぬらちゃんグッズ売り切れだってー」

「だから早くいかないとっていったでしょ!!もう!あれほしかったのに」

「ゴメンねーお母さんうっかり寝坊ちちゃってーかえろー」


テッテレー♪ガー

ダンジョンコンビニ山田店ぬらちゃんフェアは、無事バズったようで、第2弾を検討中だとか・・・




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