金の魂の支配者
深夜1時、昼下がりでもないのに、ダンジョンコンビニの中は光り輝いていた
遡ること数十分前
テッテレー♪ガー
「いらっしゃいませー」
そのお客様は、煌々と光り輝き高貴なオーラを纏っていた。その後ろで裸天使が小さくうずくまっている
「ここがお主の言う神の領域が描いてある経典が置いてある場所で間違いないのだな」
コクコクと首を縦に振る裸天使に、偉そうにしているこの者は、おそらく裸天使の上司の神だろう。だってこいつも裸だし
「そこの者、うちの部下が随分世話になっているようだな」
裸神は、レジ前でグツグツと紫色のだしにつかった様々な具材をかき混ぜている店員に話しかけた
「これ、お主だメガネの男よ」
「いえ、接客をするのは基本ですから」
店員は、揚げ物の下処理に調理場へと向かう
そのあとを裸でついてくる神
「ここは関係者以外立ち入り禁止です」
「われに境界線などなっわっちゃーあちぃー!!」
裸で油物の鍋の前に立つから、油ハネの被害にあうのだ
「そなたは金の魂の支配者というのを知っておるかな」
仁王立ちで、腕を組み、店員の後ろに避難しながら裸神は問う
「いえ」
「私のことだ」
揚げ物用の保温のショーケース内を清掃する店員に詰め寄りながら裸神は自慢気に語り続ける
暇そうだし深夜アルバイトしてくれるなら大歓迎なのだか
「略して金魂というのだが」
それ何読みするのが、正しいの
「金魂は神という名の支配者であり、部下である天使の世話をし、立派な大天使に育てあげるのが宿命となっている。そして、この天使も私の管轄内であった」
裸神は、自分の後ろに隠れている裸天使の足元をチラリと見つめた
「だが、これを見ろ。あと1回の罪で金の輪が落ちて堕天してしまう。何故なのだ、この者はここからは、お布施も貰わず俗世の経典を読んでいるだけだと言っておるのに」
お金も払わず22時間裸で雑誌を立ち読みしてるからじゃないですかね
「そこでその、経典とやらを私も見に来たのだ」
また立ち読み常連者が増えるのか
後ろに隠れていた裸天使も、新刊の並ぶ本棚をチラチラと見ていたが、我慢出来なくなったのか、今月のグラビア新刊latenshiを手に取ると、裸神の前で本を見開いた
「あ、主様!これが私のオススメです!」
こいつ敬語喋れたんだ
「ムッ!何だこれは!」
裸天使の見開いたページは、布を一枚巻いてポーズをとっているGoblin(天使バージョン)だった
「ぬ、布1枚とは!なぜそんな所を隠すのだ!金魂たるもの産まれたままの姿でいることこそ穢れなき魂なのだ!」
そう言いながら、裸神は顔を両手で隠すが、明らかに指の隙間からチラリチラリと覗いている。もっと、隠すとこあるやろ
「ですが、主様!私は、この経典に感銘を受けました!1部を布で覆い隠すという辱めにあおうとも絶やさぬ笑顔、見てください!この者の姿を!」
「ぬぬぬっ!」
「罪という名のたった1枚の布が隠す穢れなき魂、このギリギリの見えそうで見えない布に覆われた肌面積!これこそ神のなせる業!」
「た、たしかに。しかもこの透けて見えそうで見えない計算しつくされた布の薄さに、触れた部分の凹凸ラインが分かりそうでわからない布のシワ。これぞ、まさに」
「「神の絶対領域!!」」
帰ってくれ
この日。ゴッド買いをした裸神のお陰で裸天使の輪っかは太ももまで戻っていた
テッテレー♪ガー
「ありがとうごさいましたー」