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貴方と異能戦場へ  作者: ゆうま
第1章 血みどろな童話の世界へ
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番外編 佐治の憂鬱

 あーあ、面倒って思うのも面倒になってきた。いっつも誰も気付かないのに。これになんの意味があるのか。嫌だなぁ。

 もう揃ったっけ。武闘組織はいつもギリギリなのに珍しい。


 ボスのところに…あの女性。あ、気付いた。えっ、なにも言わないの。でもそうかもなぁ。この程度の武器、なんとでもなりそう。

 それにしても、武闘のボスは変わった者を連れて来るのが趣味なのかな。服も変わっている。


 案の定、武闘のボスが他のボスに絡まれている。筆頭は我ボス。恥ずかしい。


 「力不足で申し訳ございません。その者がどこにいたのか、お教えいただけますでしょうか」


 あ、これ僕も恥ずかしいやつだよ。


 「仕方がないな。コイツが、ずっとあの柱の影にいた」

 「あなた…隠れていたのですか」


 やっぱり僕、隠れていると思われていなかったんだ。


 「見破れなかったから悔しいのか」


 止めて!恥ずかしいから止めて!


 「横から申し訳ございません。この女性とは目が合っています。無害であると判断したのかと思われます」

 「はぁ?」

 「近くに人がいませんでしたので付き添いの者か怪しいとは思いましたが、大した武器は持っていなさそうでしたので」

 「大した武器を持ってない、だと…?」


 武闘組織だもんね。尚更ね。“あれ”は言わないでね。


 「この小娘を黙らせろ」


 言っちゃったよ。面倒。それに嫌だよ。この人強いけど、強い弱い以前の問題だよ。殺されそうだよ。


 「申し訳ございません。今のわたしには不可能です」


 だって、こんなことで死にたくない。




                  ***




 「ここへ来る護衛たちが交戦を拒否し、異能についてなにか知っている様子のあなたは何者なのかな」

 「申し遅れました。南絢子と申します。幼少より地下に幽閉されていたのですが、命辛々逃げ出して彷徨っていたところを拾っていただきました」


 南の者なら、なんとなく納得出来る気がする。

 一度行ったことがあるけど、あそこは命の価値が歪んでいるんだよなぁ。まぁこのご時世だし、多少は仕方がないんだけどね。


 「知っていたのかい」

 「いいえ、総代。知っていたのなら報告致します。知ったのは数日前のことですので、今ご報告を」


 あのペテン師のことだ、絶対嘘。


 「経緯は」

 「霞城くんが異能のトラブルに巻き込まれた際、別件で私が呼んでいたんです。2人は出会ったときから妙に馬が合う様子でした」


 え…あれと?まぁあの人も変わり者だしなぁ。


 「いずれ言わなくてはいけないと思っていた。霞城くんを救った後、そう語ったんです」

 「ただ馬が合う、程度の者のために正体を明かしたの?」

 「私がどの様な基準で命を賭けるのか。それは理解いただかくなくて結構です」


 どうせバグっているから、聞いても分からないだろうね。


 「異能がどのようなものか分かっていないことは明らかです。私からの情報は有益になることでしょう。恭一に誓い、正直に話します」

 「信じられるはずがあるか!“武闘の”何故南の者だと分かった上で連れて来た」

 「“貿易の”落ち着いて。言ったところで、異能の解除に必要な者がいない者には分からないよ」


 そこで振り返るんだ。流石にちょっとショックかなぁ。意地悪しとこ。


 「わたしにはその覚悟があります。しかしあなた様からの信頼がなくては、恐らく成立しないのでしょう。違いますか、南絢子さん」

 「詳細は私にも分かりかねますが、その可能性が高いです」


 咄嗟に嘘も気休めも言えないんだよなぁ。本当に残念な我ボスよ。でもだから、からかい甲斐があるんだけどね。


 「実は私も糸に触れてしまったかもしれないんだよ」

 「そうでしたか。ではこの会合の後、高い建物へ移動しましょう」


 やっぱりバグっているよね?


 「分かっていたのに言わなかったのか!どういう了見をしている!」

 「触れぬ様気を付けていただくより、解除する方が圧倒的に手間が少ないのです。眠らなければ異能は発動しませんし、問題ありません」


 うん、バグっている。


 視線が移動していないのは武闘組織の3人以外では総代、経済のボス、農園のボスの3名のみ。互いへの信頼の薄さよ。まぁ命となってはそうもなるか。


 「今他者を見ている方々は、不安なのですね。異能の解除が出来ない可能性が高い。そう思いませんか」


 それは同意。我ボスは僕のために死ぬかもしれないことをしないだろうからね。まぁ僕は触っていないけど。

 それより早く終わらないかなぁ。肩凝った。

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