第7話 最強で最恐の魔法使い
どうも!寒すぎて布団に包まりながら小説書いてる輝々です!
お待たせしました。1章のラストです。
是非絶望の始まりを楽しんでください!
電撃使いのライゼルと風魔法使いのフーシアは非常に強い。
実際に星汰達はフーシアの風魔法により激しい風に飲まれ立っていることすらままならない状態だった。
そこにライゼルの電撃も加わり徐々に星汰達はダメージを追い続ける。
即死させるほどの電撃でない事が幸運だった。
「星汰!!一つだけ倒せるかもしれない案がある!」
恵介は叫びながらできるだけ電撃を避けられるように木に隠れる様指示を出した。
星汰は頷き、すぐ恵介に言われた通り木を盾にする。
「それで、どうするんだ?」
星汰の問いに対して恵介は深呼吸して話し始める。
「星汰はこの風を止められたら一撃でフーシアを倒すことはできる?」
「できるはず…いや絶対倒す!」
一瞬中途半端な返事をしてしまいそうになるが恵介の真剣な眼差しを見て倒すと誓う。
こちらの世界に来たばかりで実践経験のない星汰と恵介の二人の中でライゼルとフーシアを倒せるだけの火力があるのは星汰だけだ。
恵介は間近であの城の一部分を破壊する威力の矢を見ている。
そこでこれは恵介の推測だが星汰には何かしらチートの様な能力が備わっているのではないかと考えた。
だからそこに賭けるしかないと恵介は思い、更に思考する。
「僕は星汰を信じる」
恵介はそう言うと自分の作戦を伝える。
「この世界の魔法と言うのは単純にイメージの深さ、大きさなどで威力などが増減するのではないか、要するに想像力=火力に繋がる可能性があり、その上スキルと言うのは丁寧にイメージを積み重ねればある程度の数の魔法は何でも使えるのではないかと思ったんだ。」
「なるほど?」
星汰はあまり理解しきれなかったが話の続きを言うよう促す。
「だから僕がイメージする魔法はどんな魔法も凍らせる魔法だ。あの二人は多分星汰の持っている紋章について情報を得ようとしていると思う。だからこそすぐには殺さないんだ。」
仮にライゼルとフーシアがその気であればきっと今頃星汰も恵介も死んでいるだろう。
「そしてあの二人は実は遠距離戦が苦手かもしれない。いつでも殺せる間合いのギリギリ外ぐらいでジワジワ攻撃してきてるんじゃないかな、もしくはただ油断を誘っているかだけど…」
むしろ逆だと恵介は考える。
油断を誘っているのではなく、ライゼルとフーシアが油断しているのだ。
「つまり相手が油断している隙を付く為に僕があの魔法を止めた瞬間すぐにフーシアの方から仕留めてほしい。そしてフーシアをやったあとすぐに弱めでいいからライゼルを狙って2発撃ってほしい。」
フーシアを先に倒す理由は、また距離を取られ同じ戦法でこちらが上手く攻撃できなくなりこちらの策も警戒して今度はもっと強い電撃により瀕死ぐらいまで追い込まれ勝ち目が完全になくなってしまう可能性が高いからだ。
「わかった!任せろ!俺も恵介を信じるからな!」
星汰は恵介の指示を聞きいつでも撃てるよう威力を上げる為イメージすることに集中する。
恵介はその姿を見て自分も魔法のイメージを頭に練る。
「もっともっと深く…」
恵介は木の影に腰を落としリラックスした状態でより深く集中する。
すると恵介の手のひらから光が溢れ出した。
「もっと…もっと!!」
大量の光が溢れる。
「くっ…あやつら魔法を使おうとしてるのぉ」
ライゼルは危険だと判断しすぐに恵介の隠れている方の木に向かって木をなぎ倒すほどの魔法を撃つ。
「もう殺すで!!」
フーシアも殺意をもって恵介のいる木の方へ最大火力の魔法を撃つ。
その瞬間恵介は目を開きその魔法の名前を口にする。
「グレイシャルエイジ。」
恵介が魔法の名前を口にした途端フーシアとライゼルの魔法は一瞬で凍ってしまった。
凍てついた空間に驚くライゼルとフーシアの隙を見逃さず星汰が全力のイメージの矢をフーシアに放つ。
「ガっっ!?!?」
赤い光を纏った矢はフーシアの腹に大きな穴をあけてフーシアの背後にあった森林の一部を破壊した。
「フーシア!?!?」
ライゼルが視認した時には既に森を破壊する威力と恐ろしいほどの速さの矢によってフーシアは絶命していた。
ライゼルは悔しさのあまり唇を噛みながら怒りに任せて星汰と恵介を殺そうとした瞬間。
ライゼルの右腕は吹き飛んだ。
「…は?」
自分の右腕が吹き飛んだ事でライゼルは一瞬目線を星汰達から自分の腕に向けてしまった。
その為もう1発の矢に気づかず、再び星汰達の方を見ようとした時には赤い光を纏った矢が眼前に迫っていた。
避ける動作を行うこともできずライゼルの頭は爆ぜた。
数秒の攻防だったが星汰の集中力は底を尽きその場に尻もちをつく。
「倒せたぁぁぁ」
星汰は安堵したように空を見上げながら拳を掲げた。
恵介の指示通り動いたおかげであっさり勝ってしまったがそれもこれも恵介あっての勝利だった。
「恵介お前はやっぱりすごいな」
そう言って恵介の方を見ると、恵介が顔面蒼白で吐血しながら倒れている事に気づいた。
「恵介!?恵介!!!」
「ゴホッ。」
良かった、生きてたと星汰は一瞬安心する。
だが危険な状態に変わりはない。
星汰は恵介を抱えて皆の場所へと戻る。
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リア以外全員ボロボロな状態ではあったが全員ほぼ同じタイミングで元の場所に戻ってきた。
「皆やったわねっ!!」
ロマがフラフラながらも親指を上に突き上げグッドサインを出してきた。
それを見て全員笑顔で返す。
そこから星汰は真剣な顔で恵介の事情を説明する。
「すぐに街に戻って治療してほしいんだ。」
ロマもすぐに頷き全員で急いで戻ろうとした、その時だった。
「フハハハハハハ」
低くそれでいてよく通る男の笑い声が響き渡った。
「なっ。。」
崩壊した馬車の上に金色の目をした白髪混じりの中年の男が座っていた。
白髪混じりの髪はオールバックにしており、スーツの良く似合う体型をしている。
「コイツが…」
「鷹の目…」
星汰とロマが睨みながら臨戦態勢をとる。
「そうだ!私が鷹の目と呼ばれる男…名はハークと言う。」
ハークと名乗った男は「よろしく」と言いながら余裕の表情で崩壊した馬車の上から飛び降りる。
「さて私とも殺し合いをしてもらおうか。」
ハークは先程までとは変わり殺意を持った鋭い瞳で星汰達を睨み、ゆっくりと近づく。
その手にはロングソードと呼ばれる剣が握られており、誰が見ても簡単に逃げられるような相手ではなかった。
全員が冷や汗をかきながらジリジリと後退する。
ロマが自分を囮にして全員を逃がす指示を出そうとした時。
鷹の目ハークの首が宙に飛んだ。
星汰達は全員状況が理解出来ず唖然とするしかなかった。
そこからすぐに足音が聞こえくる。
そして現れたのは白髪でエメラルドの瞳をした黒いローブを見に纏った少女だった。
「鷹の目でも私の魔法は見えなかったみたいね」
残念そうにため息を吐き、すぐに星汰達に殺意を向けた。
鷹の目を一撃で殺した謎の少女に誰もが戦意を喪失していた。
だが驚いたことに黒いローブの少女は両手を広げ
「先行はあげるわ」
不気味な笑顔を浮かべてそう言い放った。
すぐに全員が理解した。
この少女からは逃げられない、と。
そしてそこから臨戦態勢をとり先陣を切ったのはロマとシンだ。
「うおおおお」と叫び声をあげ折れていない方の腕で槍を握り特攻するシンと無言で双剣を手に取り背後に回りこもうとするロマ。
その後をリアがショットガンを持って追う。
星汰も参加しようとしたがロマが「けーたんを連れて逃げなさいっ!!」と言い星汰は仲間に任せ逃げる体制をとる。
「後で絶対来い…よ?」
星汰が恵介を抱えて逃げようとした瞬間
「つまらない」
黒いローブの少女は表情の一切ない顔でそう言った。
その時ロマ、シン、リアの体を何かが吹き飛ばす。
「何が起こったんだ…!?」
驚いて口に出す星汰だったが全員何が起こったのか理解できずにいた。
更に黒いローブの少女は「つまらない」と再度吐き捨てる様に言った。
何とか立ち上がった3人を見て
「大丈夫か?」と星汰は声をかける。
そしてもう一度やろうと構えようとした時、
黒いローブの少女が手を自分の目の前に翳す。
「もういいわ。さようなら」
その瞬間恵介は辛うじて目を覚まし星汰の前に飛び出す。恵介が一瞬こちらを見て笑った気がした。
「せーたんっ!逃げ…」
そしてロマが星汰に言葉を投げる途中で全員の首が飛んだのだ。
正確には星汰以外全員だ。
恵介だけはバラバラに刻まれていた。
そして星汰も無事ではなかった。
左腕が肩から綺麗に切断されていた。
「う、あぁぁぁぁぁぁ」
気づいた時には激痛が襲い叫びら悶えることしかできなかった。
「へー。あなた運が良いわね。」
そう言って星汰の目の前に質量のある何かが捨てられる音がした。
「ファ…ル…?」
ファルの首がそこにあったのだ。
「この子は厄介な魔法を持っていたから感知されたタイミングで脳を徐々に焼いて殺したわ」
そう。ファルは最初の時点で死んでいたのだ。
今この場に星汰以外で生き残ったものはいないと星汰は理解し、激痛に襲われながらも立ち上がり怒りで我を忘れたかのように黒いローブの少女に突進する。
「うああああ!!!殺してやるうううう」
大声で少女に突撃し触れられる距離まで近づいた瞬間。
「バカね」
黒いローブの少女がそう言ったのを最後に星汰の首は宙を舞った。
「とてもつまらなかったわ。この私王国最強の魔法使いアリスに殺されたこと光栄に思いなさい。」
アリスと名乗った少女は全員の死亡を確認した後闇の中に消えて行った。
これにてDispairHeros第1章完結となります!
良い感じの絶望の予感をヒシヒシと感じませんか?
感じません?そうですか。
じゃあキャラクター紹介はしません!
次回のDispairHerosは!
死んだ星汰。終わってから始まる。絶望の幕開け!
是非ご覧下さい!!!
2章は土曜日に更新致します!お楽しみに!