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10.私はアルライン、愚かで醜い娘です

屋根裏部屋の中央のベッドに、管に繋がれる老婆が眠っている。


「……ヴィホネルさんが、私のお母さん……?」


そんなの到底信じられない。


「そうだよ……」


ダユトはもうずっと虚ろな顔のままだ。


「私のおばあちゃんくらいの、歳だよね……」


「栄養は点滴だけ。寝たきりで筋肉も落ちてストレスで髪は白髪だらけになった」


「階段から落ちたから……」


「違うよ」


ダユトの濁った目が私を見つめる。感情の読めない目だ。


「そういう薬があるんだ。

本当は睡眠薬なんだけど、少し調合すると体の自由を奪う薬になる」


「……その薬を飲ませたの?」


私の声は震えていた。

彼がそんなことをしていたなんて想像もできない。

優しく穏やかなダユトはどこに行ってしまったというのだ。


「僕はただ……彼女にアルラを受け入れて欲しかっただけだよ。アルラの母親になってほしいって何度もお願いした。なのに彼女は僕を嗤うだけで……」


「そんな……」


体が冷えていく。

そんなことするくらいなら私は母親なんていらない。そもそも私にはお母さんが、ダユトのお母さんがいたのだ。

血が繋がっていなくても本当の家族のように思っている。今更母親に会いたいと思ってなんていない。


「だっておかしいだろ?

まだ小さな君の顔にこんな酷い言葉を書いて、僕たちに投げて寄越すだなんて……!

君のことをなんだと……!? アルラのことをまるで道具みたいに扱って! 許せなかった。

……それでも、君のお母さんだから……彼女が死んだら君はきっと、恋しがると思った。

だから殺さないでここに閉じ込めておいたんだ。自分の振る舞いを反省したら薬を抜けば良いと思った」


ダユトはヴィホネルさんを忌々しげに睨んでいる。おかしいのは彼女だと言う。

だけどどう考えてもおかしいのはダユトだ。


「私はそんなこと頼んでない!!」


「……そうだね。これは僕の自己満足だ。

そうしたらアルラが幸せになると思ったんだ」


彼に背を向けヴィホネルさんに近づく。

瞼を閉じ静かに眠る彼女は言われなくては死んでいると思うだろう。微かな呼吸と唾を飲み込む喉の動きだけが生きている証だ。

こんな死体のような女性が自分の母親なのか。

いくら彼女を見つめても喜びや懐かしさの感情も湧かない。ただ困惑と戸惑い……それから疑問があるだけだ。

どうして私の顔を傷つけダユトたちに預けたのか。


恐る恐る手を伸ばして彼女の髪を撫でた。彼女の髪は私の親の年と思えないほど乾いている。

手を頬に移動させる。ヴィホネルさんの瞼が動いた。

思えばこうして彼女をじっくり見るのは初めてのことだ。

特徴的な鷲鼻にふっくらした唇。

私はこの顔を見たことがあった。それは思い出の中などではなく、つい最近のことだ。


「……新聞、で、この人を見た……」


ヨニナが見せてくれた新聞に載っていた女性の要素をヴィホネルさんは満たしている、


「チェイラ・ヤクスに似てるね」


私は助けを求めるようにダユトを見た。

あっさりと、彼は頷いてみせる。


「その人だから。

ヴィホネルっていうのは母さんの親戚の名前。その人の名前じゃない」


「え……?

なら……私はチェイラ・ヤクスの娘……?」


次々と明かされる真実に私の脳は追いつかない。

失踪したはずのチェイラがここにいた? それが私の母親?


「アルライン・ヤクス……それがアルラの名前になるはずだった。

けどチェイラは君を役所に届けなかった」


何から聞けばいいのか。私は何度も唇を開けては閉じた。

私が見ていたものは全て崩れてしまった。バラバラになったそれを繋ぎ合わせなんとか世界を見たいと思っても脳が拒否する。

ダユトは私の様子を怒っていると思ったようで、こちらに近づくと肩に手を乗せてきた。


「嘘つくなって言ったのに、嘘ばっかりついてごめん。

母さんとの約束だったから」


彼は私の血の繋がったお母さんは私のことを愛していると言っていた。

そんなことはまるでなくて、母は私の顔にひどい文字を書き残して捨てていた……。


「アルラにたくさん負担もかけたよね……寝たきりの人のお世話なんて……」


「……お世話なんてしてない」


していれば、もしかしたら私はヴィホネルさんが自分の親だと気付けたのだろうか?

チェイラだと気付けたのだろうか?

長い間薬で動けなくされ監禁されていると気付いて助けてあげられたのだろうか。


「……してない?

寝返りをさせてたんじゃ」


ダユトの戸惑う声を聞きながらもう一度チェイラの……私の母の髪を撫でた。

詩人として生きる道を奪われ自由を奪われ彼女はどんな思いでここに寝ていたのか。

私には想像もできない。だけど、詩人の彼女がなぜこんな文字を私に残したのかも想像できなかった。

目を覚ましてわけを聞かせて。


「……一時間に一回様子を見てたくらいだよ」


「そんなはずない。

寝たきりで動かしてないなら褥瘡ができてしまうから……」


ダユトがハッとしたような顔になり目に僅かに生気が戻った。

いや、生気というか、恐怖?


「ネズミじゃなかった……。

アルラ!!」


なんのこと、と言いかけたが体を強く引かれた。

その後すぐに頭に衝撃が走る。ガラスが割れる音がした。

こめかみがジンジン痛む。

ダユトは私を抱きしめたまま倒れ込んだ。


背後でギシギシと床が軋む。暗い影が私たちに落ちた。

大きな肉の管が空気を吸い込む不気味な音が屋根裏部屋に響く。


「……きゅ、9年間……よくも、自由を……奪ってくれたね……」


不気味な声だった。声は小さいのに息を吐く音が異様に大きく聞こえる。

ダユトが私を抱く腕に力を込めた。

私はゆっくり振り返った。


痩せぎすの、青白い皮膚がダラリと垂れた女が白い髪の隙間から私たちを見下ろしていた。表情は見えない。

手には割れた点滴の瓶が握られている。

切り口には赤い血が付いていた。どうやら私はあれで殴られたらしい。


「……アルラに謝れば9年も自由を奪わなかった」


ダユトが私から離れ慎重な動きでチェイラに立ち向かっていく。その姿は獲物を狙う肉食獣そのものだ。

けれどチェイラの視線はダユトではなく私に向けられていた。

濁った青い瞳にゾッとする。


「こんな、や、役立たず……なんでそんなに、い、入れ込むのか……」


この人は私が憎いのだ。なんでかはわからないけれど、それは伝わってくる。

私を傷付けたくて堪らないらしい。

ダユトがチェイラの狙いに気がついた。

彼が私の体を引き寄せるのと、チェイラが跳ねるようにこちらに飛び掛かるのは同時だった。

割れた瓶は剣のように私の肌を傷付ける。腹に食い込んだそれは感じたことのない痛みをもたらした。

チェイラはそれを引き抜く。そしてまた振りかざした。

だが今度は私ではなくダユトの背中に突き刺さる。彼が私を庇ったのだ。


「ダユト!!」


真っ赤な血飛沫が飛び散った。熱い液体が顔にかかる。ハ、と大きく息を飲む音がした。

チェイラの蓄積された恨みは一撃で晴らされることはなく、次から次へとダユトの背中を刺し続けていた。

それを彼は抵抗することなく耐えている。

けれど私が少しでも動こうとすると強い力で押さえつけられた。ダユトは私の盾になっている。


「離して! 止めなきゃ!」


「……お腹……ごめん……痛い?」


「こんなの痛くないから!」


本当はとてつもなく痛い。けどダユトの痛みやこの異常な状況からそんなこと言っていられない。


「守ってあげられなくてごめん……」


そんなのいい。

私はダユトの体から抜け出そうともがいた。

しかしどんなにもがいてもダユトは私を離そうとしない。


「離して……」


ガツンと音がした。チェイラが瓶をダユトの頭に叩きつけたのだ。


「図体の、デカさは、ち、父親譲りだね。アレも、こっ殺すのが、大変だった。

いいさ、他のっやり方を……考えてある」


チェイラは瓶をその場に投げ捨てるとフラフラとした足取りで階下に降りていく。

私は彼女を追おうとした。視界が揺れる。お腹の傷から血がボタボタと流れ落ちている。

立ち上がろうとしたが足から力が抜けていった。

視界が狭まる。ああ嫌だ。倒れている場合じゃないのに……。


*


小さく何かの爆ぜる音がして気がついた。

ひどく焦げ臭い。

目を開けるとダユトが真っ青な顔をしていた。体がゆらゆら揺れる。

彼に抱えられ運ばれているらしい。


「気がついた……?

……玄関も、裏口も、火を付けられた……」


その言葉に思考がクリアになっていく。同時に頭とお腹に鈍い痛みが走るが構っていられない。

視線をズラすと廊下の奥で煙が私たちを追いかけるかのように立ち昇っていた。

自分が見ている光景が信じられない。


「ど、どうしよう。早く逃げなきゃ」


「大丈夫。地下がある」


地下……? そんなものあるだなんて知らない。

ダユトは迷うことなく台所の奥に向かう。そして床下の蓋をあけると飛び降りた。


埃が舞い上がりカビ臭い匂いがツンと鼻を突く。


「……ここは?」


石造りの寒々しい部屋だった。何も置かれていない……いや、部屋の隅にカビて異臭を放つ大きな麻袋と床に繋げられた大きな鎖がある。


「地下室……。

振動痛くなかった?」


私は頷く。それよりダユトが心配だ。

ダユトは私の倍血を流してるんじゃないだろうか。

地下室の蓋を閉める彼に私は謝る。


「ごめんなさい、私のせいで……。私が気絶しなかったら……」


「何も謝らなくて良いんだよ」


そう言って微笑む彼の額には脂汗が滲んでいる。無理してるんだ。


「もう歩けるよ」


「ここ、汚いから」


床を見る。埃が溜まって、虫やネズミの死骸が隅にあった。


「汚くても平気。

ねえ、ここ何? なんでこんなところがあるの?」


今までずっと暮らしていたのに知らなかった。

……いや、私はそんなものばかりだ。

自分の顔に書いてある文字すら知らなかったのだから。


「……ここはもう、入らないつもりだった。

僕たちはいつもここに連れられてお仕置きされた。掃除ができてない、喋り方がなってない、笑い方が気にくわない。

父さんの気分次第でお仕置きの内容は変わった」


ダユトとお母さんが虐待されていた場所。それがここなのだ。

床にある鎖がここで何があったのか物語っていて、私は目を閉じた。


「ここなら火は燃え広がらない。大丈夫だよ……」


私の体の震えを火事によるものだと思ったらしいダユトが安心させるように頬を撫でた。

床に私を下ろす。床はひんやりと硬い。よく見ると赤黒い汚れがいくつも散っていた。


「……ダユトのお父さんは、こんなところにダユトを閉じ込めて……」


涙で最後まで言葉にならない。


「……そうだよ。ひどい父親だった。

だから殺されたんだ」


—図体の、デカさは、ち、父親譲りだね。アレも、こっ殺すのが、大変だった。


去り際に言っていたチェイラの言葉を思い出す。


「……チェイラが?」


ダユトが悲しげに微笑んだ。


「母さんと僕でやったんだ。

チェイラには手伝ってもらった」


彼は部屋の隅のカビた袋を指差す。

……私の背丈よりひと回りは大きく、長い袋。それの中身がなんなのか。


「父さんだよ。

失踪宣告してもらったけど、そんなのは嘘で、ずっとこの地下室に死体を置いてた」


また気絶しそうだった。

抑揚のないダユトの言葉が余計に異常さを際立たせている気がする。


「……19年前に、母さんは父さんの暴力に耐えきれなくなってナイフで刺したんだ。けどピンピンしてて……母さんを殴った。いつも以上に。

僕は、このままじゃ母さんが殺されると思って落ちたナイフを掴んで父さんの足に何度も刺したよ。

でも6歳の子供が刺したって……全然。

僕も母さんもめちゃくちゃになった。怒声は村中に響いてたろうけど誰も助けになんて来なかった。

当然だね。みんな自分が殴られるのも慰み者になるのもごめんだから。

でもチェイラは来た。たまたま村に遊びに来てた彼女は、怒声を聞きつけて、父さんの首にナイフを突き立てた。

やっと父さんは動かなくなったよ。

僕たちは3人で父さんの体を地下室に移動させた。

村の人たちには軍の人と村の外に飲みに出たまま帰らないって嘘をついた。

誰も詮索しなかった」


その時のことを思い出すようにダユトは遠い目をしていた。


「チェイラは妊娠していた。けど人に言えない相手との子だから病院に行けないって。

母さんは恩を……いや、脅されてたのかな?

とにかくチェイラを匿って出産を手伝った。そうして生まれたのが君だよ。アルラ。

君は本当に可愛かった。天使みたいだった。愛おしくって、母さんにこの子を守らないとダメだよって言われて、約束したんだ。

僕がアルラを守るって……。でもチェイラは君を連れてどこかに行った。

帰ってきたら、君の顔に」


ダユトが私の顔に手を伸ばした。

文字をなぞるように指が動く。


「こんなひどい言葉を……。

そのままチェイラはどこかに行ってしまって見つけれなかった。

僕たちは君を家族としてここで育てることにした。

母さんはアルラが言葉の意味を知ることのないよう、文字を教えないようにした。僕に何度も言ったよ。文字を教えるなって。

チェイラの娘のアルラインじゃなくて、僕たちの家族のアルラなんだから、幸せにしようって。もうチェイラは関係ない。

でも僕は……チェイラにどうしても謝って欲しかった。アルラの母親としていて欲しかった。文字のせいでアルラの人生はめちゃくちゃになった。

こんな言葉が書いてなければ君は他の人たちと同じように過ごせたはずだ。

学校に通って友人に囲まれたかもしれない。

なのにこの文字が……忌まわしい文字が君の人生を縛り付けてる!

母さんが死んで僕はチェイラを探すことにした。

見つけ出した彼女は隣の村にいて……自分のしたことをまるで反省していないで、むしろ君のことを責めた。

アルラを生んでから詩が書けなくなったってさ……当然だよね。アルラの顔に醜い言葉を書いたんだ。もう醜い文字しか残せないよ。

それなのにチェイラは自分のせいじゃないって……謝りもしない、最低な態度だった」


だから彼女に薬を与えて反省するまで監禁した。


ダユトはここ数日でおかしくなったのではなかった。

ずっとおかしかったのだ。私がそれに気づかなかっただけ……ああ、私は本当になんて愚かなのだろう。

ダユトがこんなにも苦しんで苦しんで歪んでしまっていることに気づいてあげられなかった。

父親の死も、母親の死も、私という存在も、全てがダユトにとって苦しみだったのだ。


「……こんなことになるなら私も、お母さんの約束も、この村も捨てて、どこか遠い街で……幸せに暮らしてほしかった……」


涙に滲む視界でもダユトが寂しく笑っているのが見える。


「君を連れて村から出るべきだったかもね……。でも、父さんをこのままにしておけなかった……」


言葉尻が震えている。


「……父さんは悍ましい最低な人だよ……。でも僕は……殺したくなんてなかった……。

こんなことオーヴェルたちにとても言えないけど父さんのこと愛してた。

僕のこと殴ってばっかりじゃ、なくて……一緒に遊んでくれたことだってあったんだ。そういう父さんは好きだった」


私はダユトの手を握る。

父親の亡骸をどうしたらいいのかわからず彼はここに留まり続けてしまった。

あれだけ大きければ一人で動かすことは到底無理だし、動かせたところで隠し場所はないだろう。

裏庭に穴を掘っていれば村の人が疑問に思う。彼らは私たちに関わろうとも話そうともせず、しかしずっと観察している。

地下室に隠しておくしかなった。


ダユトが手を握り返した。


「こんなことになったのは全部僕のせいだね。

……傷見せて……」


私はブラウスを持ち上げて傷口を見せた。

一部血が乾きつつあるが脈打つたび血が流れ出ている。


「ひどいね……」


「ダユトの方が」


彼の背後には道のように血の跡が続いている。


「僕は平気だよ。

手当てしないとだ……。スカート破っていい?」


頷くと彼はスカートの裾を破いて帯状にする。


「血を止めないと……」


ダユトの指が傷口の周りに触れた。それだけで痛くて、体がびくんと跳ねる。


「ごめん」


背後から私を覆い被さるように彼は座る。


「痛かったら声出して」


そう言われて、声を上げようとしたが、手当てのたびに傷口に当たるとあまりの痛みに声すら上げられない。彼は私の背中を摩り「大丈夫」と何度も囁いた。


「すぐ血が止まるよ……。良い子だね」


良い子、良い子。ダユトが私の血に濡れた手で私の髪を撫でる。


「ダユト……」


彼に縋り付く。


「私のせいで、いっぱい迷惑かけてごめんなさい」


「迷惑なんてかけられた覚えないよ」


「生まれて来なければ良かった。ごめん」


そうすれば、少なくともチェイラは監禁されずに済みダユトが罪を犯すことはなかった。

長い間私という存在は負担だったろう。

お母さんとの約束を守るために、私を守るために、彼はどれだけのものを犠牲にしてきただろう。


「なんでそんなこと言うの!?」


ひどいことを言われた、そういうように彼は叫ぶ。


「だってダユト大変だったでしょう……。こんなにたくさん隠し事があって、誰も頼れなくて……」


「僕が勝手にやったことだよ。

もしかして、僕が君の顔を好きって言えなかったから……?」


私のおでことダユトのおでこがくっ付く。大きな熱い手が頬に添えられる。彼の息がかかった。


「君の全部が好きだよ。もちろん君の顔も。

でも……君を傷つけるその言葉だけは好きじゃない。

あの時はそううまく言えなかった……」


……そうか。そういうことだったのか。

彼が私の顔を見ると悲しそうにするのも、好きと言えないのも、この文字があるから……。

私はダユトの手に自分の手を重ねた。


「この世の何より君が好き。愛してる。

他に何もいらないからずっと側にいて……離れないで」


「私もダユトのこと大好き。

嫌いって言ってごめん。

……今まで私のこと守ってくれてありがとう」


どちらともなく私たちは顔を寄せ合いキスをした。

血の味のするキスだった。

……このまま私たちは地下室で死ぬんだろうと思う。

血を流しすぎた。ダユトは平気そうに振る舞っているけれど血は絶えず流れ続け顔色は最早灰色だ。

こんな体で燃え盛る家から外に出ることは不可能だろう。


でもこれで良い。

私はダユトの側にずっといる。

彼と共に死ねるなら1人で長く生きるよりずっと幸せなのだから。


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