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小夜物語 第79話  妄春・妖夏・怖秋・惨冬  別撰ショート・ホラー小説劇場  第六話  もう一人いる?

作者: 舜風人


第6話  もう一人いる?



思いだせばきりもない幼少時の思い出。


私がたぶん7歳くらいの時すごい親しく遊んでいたキミちゃんという子供(女の子)がいた。


その子のことだけなぜかハッキリと覚えているのです。


ほかの子のことなんかほとんど忘れてしまったというのに、、


その子はとても奇妙な女の子で、ある日遠くの町から引っ越してきたんです。


でも確か1年くらいでまたすぐ引っ越していってしまった、


その後私が中学生になったころふと同級生たちに


話のついでに「ああ、そうそう、そういえば小学校2年のころキミちゃんていうおんなのこがいたよねえ」というとみんな怪訝な顔で「そんな子いなかったよ」と口をそろえて言うのです。


、、だれもその子のことを覚えていない。


わたしはそれ以来決してきみちゃんのことを誰にも話さないようにしました。だって私がおかしい、変だと思われるからです。


でも今日はどうしてもここであの奇妙な子について話したいのです。


それは、、こんな子でした


キミちゃんといえば私が小学2年生の時転校してきたかわいい子で、いつも珍しい話でひきつけていましたね。


わたしはなんかこの子のことが憎めなくって?というかけっこう仲良しでして、、


よく遊んだものでした。


彼女の話すことはなんというのか今の言葉でいえば「ぶっ飛んでいて」突拍子もないのです。


たとえばある日、村の大きなため池の近くを通ったときです。


「あら。この池の底から声がするわ。うーん、なんだか出してくれって言ってるみたい」


また彼女の突拍子もない話と思って聞き流したのですが、


しばらくした後、、池に警察官がいっぱい来ていてクレーン車も来ていて


見てると池の底から自動車が引き上げられているところでした。


なかには一家心中した家族5人がのっていて既に死んでいたそうです、


そんなきみちゃんのことを思い出すたびぞっとすることがある


今でも強烈に覚えていて、、


きみちゃんを無視してかげ口を聴く女の子でみよちゃんという子がいたのですが


ある日私に向かって「あんな子死んじゃえばいいのよ」と憎たらしそうに言うのです。


その時、ああ怖いなあと思ったのでした


それはほかの子は知りませんがわたしはきみちゃんのコワさを知ってたからです。


案の定、しばらくして、みよちゃんが崖から落ちて大けがしたと知りました、


それっきり美代ちゃんは私たちの前から姿を消したのです。


というのも聴くところによると下半身まひになってしまって遠くの養護学校へ転校したからだそうです。



きみちゃんはどこ吹く風で、、「あら。そうなの?」って言っただけでした。


それからはみんな怖くて誰もきみちゃんには近づかずみんな何も言わなくなったのです。


わたしはなんというのか変に?きみちゃんから好かれていて?


それからもどうということなく遊んだものでしたが、


ある日きみちゃんが私をまじまじと見つめて


「あんた、アブナイかもしれない」というのでした



「あぶないって?」って私が聴いてもそれ以上頑として言わないのです。



それからしばらくしてきみちゃんが「あんたの後ろにもう一人いるんだよ」っていうんです



「なんのこと?」って聞いても「ううん、いいのよ気にしないでね」



「でも、これあげるよ、親友だから」って言って小さな薄汚れた木彫りのこけしみたいのをくれたんです。



「これいつも持ってて。危ない時はこれが身代わりになるよ」


っていうんです。


「へー、、そう、お守りだね」って言うと「そうだよ最強のね」って言ってました。


小さな10センチもないような人形でした、特に気にもしませんでした。



それから、、、しばらくして学校へ行くときみちゃんがいませんでした。


先生が「えー、君枝さんですがお父さんが急に転職されたそうで昨日引っ越ししました」


と言いました。



急な話でお別れのあいさつもなしでした。


こうしてきみちゃんはあっという間に私の前から消え去ったのです。


それからしばらくして私は何を思ったのか一人で魚釣りに森の奥の渕に行ったのです。


そこで釣ってるといきなり何かが沼の中から私を呼んでるのです、


得体のしれない黒い影が


「おまえを呼びに来たよ、お前の番だよ」っていうんです。


怖くて私はとっさにポケットに手を突っ込んでいました、


すると手に当るものが、、


出してみるとあのこけし人形でした。


ふっときみちゃんのことがが思い出されて


わたしはその人形を沼に向かって投げたのです。


すると、、


「なんだもう一人いたのか」



という声がして不気味な影がスーッと消えたのです。


わたしは慌てて逃げかえったのです。



もちろん両親にも決して言いませんでした。


あれから30年


きみちゃんて一体誰だったんでしょうか?


それとも少年時の妄想、、幻影だったのでしょうか?



終わり























(注)この物語は完全なフィクションであり、現実の一切と何の関係もありません。

   完全なフィクションです。人物名。場所、小説内容はすべて架空です。







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