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夢渡り姫と七人の男達  作者: ユウ
5/11

①ー4



あ、また夢だと思った



真っ暗な中、瞳をさ迷わせれば、少し離れた場所に光りが見える


ソレは大人の拳大の大きさで浮かんでいる様に見えた


膝を抱え動かずただジーッと光りを見つめる



そうすればいつの間にか目が覚めるから


でも、その日初めて違う事が起きた



光りの玉に変化は無く視線を下げた瞬間


「あ....」



何かに驚愕した様な声が響いた


俯いてた顔をガバッと上げると声はもうしなかった


ただ一言だった


幼い少女の声に聞こえた


ビックリして思わず立ち上がりキョロキョロと周りを見渡した所で目が覚めた


目が覚めれば一日の始まりだ


父と母におはようのキスして、コウちゃんに怒られながら幼稚園に行って、華恋ちゃんに厭味を言われて、翔くんに髪を引っ張られ、気持ち悪いって言われて.....



でも、その日



「ヒナコに謝れっ!」


虐められてる所をコウちゃんにバレた



本気で怒ってる時の何倍にも怖い顔したコウちゃんが一人の男の子の服を掴み唸る



コウちゃんと二人で折り紙をしてて、遠くで華恋ちゃんが睨んでて、そんな華恋ちゃんを見ない様に猫を作ってた時、コウちゃんがトイレに行ったんだ


そしたら直ぐに華恋ちゃんがやって来て、机の上のお道具箱をバラーッと落とされた


「あーあ、ヒナコちゃん何してるの?せっかく孝介君が作ってくれたのに...ママが言ってたんだけど、ヒナコちゃんみたいなのを鈍臭いって言うんだって!」


ふんと鼻で笑いお友達をいっぱい連れて離れて行った


ハァーッと溜息付いて落とされたお道具箱と折り紙を拾っていく



「......おい」



次に来たのは意地悪な翔くんだった



また何か意地悪されると目を逸らすと怒ったのか落ちてた折り紙を踏み付けられた


「あ!やめて!ソレはコウちゃんにあげるんだから!」


ハサミを使うのは禁止されてるから手でちぎってハートの形を作ったお手紙


最近文字も教えて貰って一生懸命書いたのに、翔くんが足を踏み鳴らしグチャグチャになった



涙が目に溜まるのを堪えながら見上げる



グッと唇を噛み締め、コウちゃんの真似して睨み付ける


「はん、いっちょ前に睨んでやがる」


二つ結びしてた髪をグッと掴み持たれ痛みで声が漏れる


「痛いっ!何でこんな事するの?」


視界の端で華恋ちゃん達がクスクス笑う


私、何かしたかなって言えば唇を噛み締める翔くん


「だってお前が.....お前が.........き........気持ち悪いからっ!」



ハァハァと息を吐き出し、真っ赤な顔をする翔くん


「目ん玉も変な色だし、髪も俺等と違うし!色も白過ぎて....お化けみたいだし....お前なんて.....お前なんて



.....嫌いだ!」



言われた事が一瞬、分からなかった


ポカンと見上げると真っ赤な顔をもっと真っ赤にする翔くん


でも、言われた意味が分かり拳をグッと握り締める


お母さんと同じで綺麗な瞳だってお父さんが笑う


長い髪はお手入れが大変だけど、お母さんとお揃いの髪色はお気に入りだった


「......酷い」



ポツンと漏らし見上げると視線をさ迷わせる翔くん



「翔くんなんて.......翔くんなんて.........大っ嫌い」



大きく響き渡る私の声



傷付いた様に顔を歪ませる翔くん



翔くんが何でそんな顔するのか分からなかった



翔くんはコウちゃんに負けない位女の子に人気が有る



女の子顔負けの可愛らしい顔立ち


その可愛らしい顔が悔しそうに歪む



翔くんから視線を反らし、まだ落ちているお道具箱等を拾っていく


「何してんの?」



でも、低い声が響き渡る



この声はコウちゃんだ



顔を見なくても分かる



声だけで凄く怒ってるのが...



「ヒナコが何だって?」


パッと顔を上げるとコウちゃんの横にコウちゃんと仲が良いヒビキ君が居た



苦笑いしながら見つめて来るヒビキ君



ああ、きっと全部知ってる



ヒビキ君がきっとコウちゃんに教えたんだ


「な、何だよ!お前に関係無いだろ!」


後ずさりながらギンと睨み付ける翔くん



「た、他人は黙ってろ!」



フンと鼻で笑い出て行こうとする翔くん


そんな翔くんの腕を掴み.....



「ヒナコに謝れ!」

「嫌だ!」

「謝れ!」

「嫌だ!」



を暫く繰り返す二人


押し問答しながら転がり初め、翔くんの手がコウちゃんの頬を掠める



「だいったい、お前も気に食わねぇ!ちょっと顔が良いからって......カッコつけやがって!」


「それ....は、関係.....無い、だ.....ろ....だいた、い餓鬼っぽくヒナコを虐めや...がって....そもそも」


「それっ.....以上、言っ.....たら.......許さ、ねぇ!」



ゴロゴロ床を転がりながら二人ともボロボロになって行く



引っ掻き引っ掻かれ、叩き叩かれ...



「俺はお前が嫌いだ!」

「おう、偶然だな、俺もお前が大っ嫌いだ」



周りの子達は二人の気迫に見ているしか出来ない


遠くから足音が響いて来る



ガラッと扉が勢い良く開き何人かの大人が入って来た



「あなた達っ!何してるのっ!」



普段、穏やかで優しい先生が顔をしかめて二人を引き離す



引き離されながらも手を出そうとする両者



「クッ.....このっ!」


「テメェ!ぶっ殺してやる!」


「コラッ!孝介君っ!そんな汚い言葉を使っちゃイケません!翔くんも!手を引っ込める!」



男の先生も加わり引き離された二人



それでもジロリ睨み合う



「両親を呼びます!」


フンと鼻を鳴らしそっぽを向く二人



園長室に引きずられる様に連れられて行く両者


三十分後両者の親が集まり、何でこんな事になったk問いただされた二人だけれど一向に口を開かない



開けばお互いを罵る始末


仕方なく他の園児に聞く大人


ニコニコしながらその時の事を語るヒビキ君



その姿にギョッと目を丸くする



ヒビキ君はある意味おかしな人なのだ



と言うことで私と私の親も呼ばれる事になった



母が入って来た瞬間、誰もが見惚れる様にポーッとなる


「遅くなりました。立花です」


息を乱しながら入って来るお母さん


ハッとする様に園長先生が我に返り、ゴホンと咳ばらいした


私の姿を確かめると安心した様に胸を撫で下ろす母


すまなそうにシュンとうなだれる私



私に怪我が無いか一通り確かめると顔をキリッと引き締めた母



何時もはのほほんとしてる母の真剣な眼差し



「詳しくお伺いしても?」


私の事になると人一倍心配性を発揮する母


園長先生が冷や汗を吹き出しながらチラリと翔くんを見つめる



翔くんの親は来れなかったらしく、高校生のお兄さんがやって来た



翔くんに似た可愛らしい顔立ちの学生服着た男の人だ


一通り話し終えた大人達


翔くんのお兄さんがハァーッと溜息吐き出した



そしてガバッと頭を下げた



「申し訳ありませんでした」



ほら、お前も謝れと翔くんの頭を押さえるお兄さん



ムスリとしながらも、悪いと思ってるのか謝り始める翔君



「ごめん.....もうしない......もう........虐めない」



悪かったと真剣な眼差しをした翔君



しかし、次の瞬間



「でもっ!コイツには謝らないっ!」


大人顔負けにギンッとコウちゃんを睨み付ける翔くん


「俺も絶対謝らないっ!」


負けじと睨み返すコウちゃん



そんなコウちゃんの頭に拳固を落とすコウちゃんのお母さん


同時に向かいでも翔くんが拳固を落とされ、コウちゃんと同じ様に悶えてた


結果を言うと



「どうもすみませんでした」



謝った



ブスッとしながら頭を無理矢理下げさせながらお互い渋々と、睨み合いながら片言で謝った


でも、どう見てもお互い悪いと思ってないのは見え見えだ



しかし、両者の大人達が間に入る



「まぁ、子供同士の事ですしね....」


「そ、そうですね.....でも、すみませんウチの馬鹿弟が」

「イエイエ、ウチの馬鹿息子も手を出した様ですし」


ハハハと空笑いする両者



翔くんのお兄さんがクルリと振り返り、何回も謝って来た



お母さんは怒るかなって思ってたけど、翔くんのもうしないという言葉に許した様だ



そればかりかニッコリ笑う始末


お母さんの笑顔に真っ赤になる翔くんとお兄さん



家に帰る事になり、分かれ道で翔くん達と別れる瞬間



腕をグィと引かれ



「ヒナコ!」



名前を呼ばれた



呼んだのは翔くんで


コウちゃんが素早くコチラに来ようとするのをコウちゃんのお母さんに止められてた



「男は正々堂々勝負よ!」何て訳の分から無い事を呟いてコウちゃんを羽交い締めしてた


口まで押さえられたコウちゃんはフガフガもがいてた



そんな周りを無視して翔くんは


「ヒナコッ!ごめんっ!俺っ....何回でも謝るから....だから.....



嫌いって取り消して」


可愛い顔して最後はシュンとうなだれるから私は思わず頷く


その瞬間フワリと笑う翔くん


よかったと小さく呟いた翔くんの頭をクシャクシャに乱すお兄さん


「よかったな、翔」


ニタニタしながら真っ赤になる翔くんをからかうお兄さん


モガモガと暴れるコウちゃん


やっと解放されたコウちゃんがギンと母親を睨みつける



そして翔くんから引き離す様に私の手を掴み持つ



最後まで睨み合う両者を見ながら笑い合う大人達



翔くん達と別れた瞬間コウちゃんが怖い顔を近付けて来た



「ヒナコ、良いか、アイツには絶対近付くな!」


良いな?と何回も言い聞かすコウちゃん


頷くまで繰り返すコウちゃんの頭に拳固が落ちたのは言うまでもない


「.....孝介しつこい」



お母さんは楽しそうに笑いながら可愛い顔の男の子も有りだわ何て呟き、コウちゃんのお母さんは


コウちゃんの肩を掴み持ち


「孝介、良いか男は正々堂々勝負だ!良いかい、負けるんじゃないよ!?愛は努力と根性だよ!」


その日の夜、また夢を見た



あんなに遠くにあった光りが今、目の前に有る


白い光りがボンヤリと浮かんでいる

読んでくれて感謝感謝です!コウちゃん頑張って!です!翔くんはアレです、好きな子を虐めると言うアレね...ヤキモチ焼いちゃったんですね!でも、ちゃんと反省してます


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