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夢渡り姫と七人の男達  作者: ユウ
1/11

思い付きで書きはじめました。不定期更新です

幼い頃からよく見る夢があった

ソレは決まって真っ暗な所から始まる


真っ暗な中、ポツンと佇む私


初めてこの夢を見た時は恐くて恐くて...

泣き出しそうになりながら、か細い声を漏らす

「おかぁ...さ....ん」


真っ暗闇の中、私の声が小さく響き渡る

その夢は現実の如くリアルで、幼い私の瞼に盛り上がる涙がダムを作る


最初ソレが夢だと分からず、等々涙が流れ落ちた


「ふぅ....うぅ...おかぁ.....さ...」


何度も母を呼び泣き声を漏らす私


「ヒナコ....」


そんな私の耳に心配そうな声が届く



意識が徐々に浮上し、瞼をゆっくり上げると私に似た顔が覗き込む


「お母さん...お母さんっ!」


心配そうに眉を垂らす母が安心した様に胸を撫で下ろす



ガバッと起き上がると抱き着く私の背中を優しく撫でてくれる



「また見たのね....」


コクコク頷く私の背を撫でると母が大丈夫と言葉を落とす



初めてこの夢を見たのはまだ幼稚園に上がる前


真っ暗な場所はそれだけで恐ろしかったのを覚えてる


定期的に何回も見る夢は私にとってトラウマに近いものがあり、眠る事が恐くなり始めた頃



夢に変化が起きた



私、四歳の夏の事だった



真っ暗闇の中にポツンと小さな光が浮かんでいて、真っ暗な中、凄く遠くにその光りがあり、てを伸ばしても届く距離じゃなかった



最初、泣く事も忘れ、何だろうと見つめていた


夢に初めて変化が起きたのだ


子供の好奇心で初めて私は行動を起こした



手を伸ばし、届かないと分かった瞬間、立ち上がった



しかし、立ち上がった瞬間、ブワッと煙りに巻かれる様に景色が変わる



視界に写るのは何時もの景色



枕元の熊のヌイグルミにオフホワイトのフワフワな絨毯


何時もの自分の部屋で瞳をさ迷わせゆっくり起き上がる


ガバ起き上がると寝巻きのまま駆け出す



キッチンで朝ご飯の用意をしてた母に後ろから抱き着く


「あらあらヒナコは朝から元気ね?」


「お母さん、お母さん!」


あのねあのねと、報告とばかりに夢の事を話す私



「真っ暗な所に光りがあった!」

「え...」


今日は泣かなかったよ!と自慢気に母を見上げニンマリと微笑む



そこへ父がやって来て



「お、何だい?二人して楽しそうだな?」


母と私に挨拶のキスをする



父は至って普通の日本人で地味な顔立ちだ

でも、母は金色の波打つ髪と紫掛かった綺麗な顔立ちの外国人だ


父と母は中が良く、今だ新婚気分が抜けないのか所構わずイチャイチャする


「何の話しをしてるのか父さんにも教えて欲しいな」


「ふふふ、なぁいしょ!ね!お母さん!」


「え?ええ....そうね」



母の様子が少しおかしかったが、気にする事無く父とたわいない話しをする



母に似た私を過剰なほど構い倒す父だが、嫌ではない


少しくすぐったい気もするが、甘ったれな私は父の腕にぶら下がりキャッキャッとはしゃいでいた





そして五歳の春、幼稚園に行く事になり、その頃になると夢も怖いモノでは無くなっていた




相変わらず真っ暗闇の中スタートする私の夢



遠くに見える小さな光りも変わらずで、5分にも満たない夢からパッと目が覚める



幼なじみのコウちゃんに貰った熊のヌイグルミにおはようののキスをする


部屋を出てダイニングのテーブルに腰を下ろす



「おはようお母さん」

「おはよう朝ご飯もう出来るから」



頭におはようのキスも当たり前の週間


そして日課とばかりに聞かれる事が一つ



「ヒナコ....夢に変化はあった?」


夢について確認するみたいに聞かれる



「ん?ううん、何もないよ!」



心配性な母は毎朝同じ事を聞いてくる



ホッと胸を撫で下ろす母は私以上に夢の事を気にしてる様で、私は心配させまいと夢の事は極力話さない様にする様になった



それと言うのも夜中に父と母の話しを聞いてしまったからだ



夜中にトイレに行きたくなった私



案の定両親の話し声にピタリと立ち止まってしまった



「あなた....私っ、心配で心配でっ!」

「大丈夫....ほら....涙を引っ込めて?」

「でもっ!ヒナコが....何時かあの子が居なくなりそうで....私っ....凄く怖いわ」

「大丈夫だから...あの子は僕達二人の子だ.....」


父の胸に顔を埋める母

その背中をあやす様に撫でる父



それ以来夢の事は話さなくなった



本当は少し.....少しだけ変わった事があった



光りが少しだけ近ずいた様に感じる

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