34/傭兵トッド①
俺は北へと帰る行商の護衛として雇われ、義父さんの故郷を目指し旅をすることにした。金は大分貰っているが、何があるか分からない。
ゆっくり各地で仕事をして生活しながらの旅にしようと決めた。
北の大地は寒冷で葡萄酒などが美味しいと義父さんが言っていた。
もし義父さんの故郷に着いたら、義父さんの親族に雇ってもらえるようにと義父さんが手紙を書いてくれた。
手紙の内容を見たが自分は実の子として書いてある。とても嬉しかった。親族として迎え入れられるようにと取り計らってもらったことではなくやはり私は義父さんと家族であったのだと実感できたことがだ。
物心着く前にこの町で捨てられ義父さんに拾われて育ったのだ。もちろん町に思い入れがある。後悔がないかと聞かれればあると答えるだろう。
だが、今のこの町は死んでいる。
このまま町に残り立て直そうかとも思った。しかし、やはり一度は義父さんの故郷に行きたい。その思いの方が勝ってライマーン行きを決めた。
だが、絶対に帰ってこようこの町に、帰りたいだろうと自問した。答えは決まっている帰りたいに決まっている。義父さんの故郷でしばらく過ごしたらこの地にクッタリアの町に尽くそうと心に誓った。
王都で過ごす義父さんが誇れる町に、一緒に育った義兄弟たちが何時でも帰ってこられる。そんな町にしたい。自分の志が変わらぬように願う。