表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クッタリアの魔物  作者: 赤異 海
30/59

30/老兵ラエ①

大したこともない。呆気ない物だ。


老人ラエが襲い来る犬の形の化け物に左手に持つ剣を頭に叩きつけると、それは容易に肉を斬り裂き骨を砕いた。


腐っているのだ。当然である。


死んですぐは硬直し硬いと感じても、時間がたてばやがて大地へと還っていく。その途中で生き返らせたのであれば肉は無機物へとなる途中である。


彼らのノートルニア信仰で言わせれば、死から無の神の元へ行き、赦しを得れば新たな生への準備期間として偉大なハイルとの一体化ができるである。


ラエは視線が定まらずこちらを捉えられない怪物にすかさず鉄槌を下した。完璧に頭は潰した。しかし怪物は怯まない。こちらに向かってくる。


なぜこちらの位置が分かるのか不思議にも思う。


怪物はラエに体当たりをした。怪物は鎧に弾き返され、ラエは少し後ずさるも隙は見せずに怪物の前脚を両方狙って剣撃を放つ。両脚の付け根に当たり、怪物は体制を崩す。後ろ足だけで進もうとするが思うようにいかない。そんな怪物の背後にまわり後ろ足を鎚で潰した。これで一体。


ラエは冷静である。ローバスから得た情報を自分なりに噛み砕き怪物を追い込んだ。首を切り落としても止めを刺せないのなら行動を阻止するだけでいい。そうローバスからみんな説明を受けている。


その通りにやったが怯まない物の相手は疲れる。生きている者が相手なら初撃で勝負が決まるがこれは生きていないのだ。少し息が乱れるラエ。


まだまだこれからと老体に鞭を打ち通りを見まわす。


死なない怪物に必要以上に槍を突き刺す者、熊や狼に追いかけまわされ命からがら逃げ回る者。ラエも次の相手を決めたように動き始める。


その時、町長の家にいるはずの行商の男が馬小屋に走るのが見えた。無理もない。町の者であってもこんな状況からは早く抜け出したいと思うだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ