眷属を召喚しよう。
「――――――――知らない天井だ。」
ダンジョンのことをコアに任せて後に俺はコアの用意した自室で休んだ訳だが無駄に豪華だったよ。………なんでキングサイズのベットがあるねん。
こんなん、漫画の中でしか見たこと無いで。
思わず口調が変わる程驚くことになった。
まぁ、めっちゃ寝心地良かったけど。てか、これDPどれだけ使ったかが気になる。食事はシチューに白パンで使ったDPも10DPなのは把握してるけどさ。無駄に不安になるよこれ。
洗面所で顔を洗い、今の自分の顔を見たら思わず笑った。真っ白な肌に額に付いている石。自分が自分じゃなくなっているってのは笑うしかない。人間じゃない訳だし。
「我思う。故に我あり。だったっけ。ま、考え方とかはたぶん変わって無いんだろうけどさ。あー、でもなんかで肉体に合わせて魂が変わるとかって聞いた覚えがあるよな。」
俺はなんなんだろうな?これで精神まで変わったら鳴海真って存在はなくなるのかな?
考えてもしゃーないしとりあえず、飯食ったらコアの元に行くか。
てな訳でコアのいる部屋へと行ったわけだが。
「なんだこれ?」
俺の目の前には大幅に増量された死体の山が積み上げられている。
『おはようございます。マスター。』
「ん、おはよう。それよりもこの死体の山の説目を御願い。」
『はい。この死体は昨日ダンジョン内で死亡したモンスターを吸収せずに集めたものです。マスターが行う予定の眷属召喚の素材としてご利用下さい。』
いや~どんだけ。あの僅かな時間でこんなに死んだの?
200~300体は有りそうなんだけど。
「ずいぶん集まったね。」
『はい。ダンジョンを広げる前に死亡したモンスターも多いのですがその後の縄張り争いで多くのモンスターが死亡しました。推定5000程いたモンスターですが現在は4000弱となりました。ダンジョンより逃走したモンスターも多々おりますが回収できなかった死体も数多く存在しております。』
「回収出来なかったのって、やっぱ喰われたとかが理由かな?」
『その通りです。ダンジョン内に存在する食糧が少ないため他のモンスターを狩ったモンスターが多々存在しております。』
「そりゃ早めに解決しないとまずいかなぁ。」
『対応策としては植物系のモンスターを増加させる。スライムや昆虫系、ラット系の繁殖力が高く食糧となるモンスターを召喚する等が有りますが。』
「それって、モンスター同士を食わせることに変わりないよね。…………しょうがないか。それで御願い。あ、召喚する昆虫系の中に蜘蛛系のモンスター入れといて。それにラット系にハムスターとかも。」
『了解しました。早速ダンジョン内にモンスターを召喚します。』
あー、そう言えばダンジョン内ってどうなっているんだ?昨日の時点でコアに丸投げしたからな。状況を聞かんといかんな。
まぁその前にだ。
「とりあえず眷属召喚のやり方教えてくれ。その後に眷属達と一緒に今のダンジョンの様子を聞かせてくれ。」
二度手間になったら嫌だしな。
『わかりました。魔法陣の設置は終わりっております。また、眷属を召喚する素材は集まっておりますのでまずは召喚する眷属の数を決定して下さい。』
眷属の数か。たしか1~5人で人数が増えると質が下がるんだったか。
色々やるのに人手は必用だよな?でも5人ってのもな。一人一人の力が下がる訳だし。3、4人かな~。
「じゃあ3人で。」
『了解しました。では次に、眷属の核となる素材を選んで下さい。眷属は核となる素材によって能力の指向性が決まります。』
「指向性ってのは素材によって眷属が魔法使いになったり剣士になったりするってことかなの。」
『はい。例を挙げますとエルフ等の魔力に秀でた素体を核とすれば魔法に秀でた個体に。オーガ等の力に秀でた素体を核とすれば力の強い戦士になるということです。』
なるほど。理解はできた。だけどこの死体の山から漁るのは無理!
「素体の候補とかオススメがあったら教えてもらいたいんだけど。」
『候補を挙げるとなると此方になります。』
魔法によるものなのか死体の山の中から10体以上の死体が浮かび上がってきた。なにこのホラー。
とにかく、死体を改めると昨日、最初に見た死体のうち元ダンジョンマスターの死体に女騎士。エルフの死体が二つに獣人の死体が五体。
後は昨日の見なかった青い鱗と尻尾を生やした女性の死体が三体に妙にデカイ鱗の山。あとは体長2mを越える狼の死体と虎っぽいのとか。
疑問なのは。
「この鱗の山って何?」
『そちらはこのダンジョンに棲息する亜竜・レイクサーペントの鱗になります。レイクサーペントはシーサーペントの下位種ではありますが亜竜であり強い力を宿しております。レイクサーペントは現状ではこのダンジョン最強の個体であるため死体は手に入らず鱗のみとなりました。』
竜か。下位の亜竜ってーとワイバーンとかみたいなものかな?そんなのがダンジョンにいるのは恐いね。俺の配下じゃないわけだし。いずれ戦うことになるのかな?
「竜ってのは興味深いね。だけどこれ鱗だけだよね。これで眷属の核となるの?」
『その鱗だけでは核とすることはできません。隣にある鱗人を核とする場合、同期させることにより核となる素体の質が向上します。』
つまりこの強化する素材って訳か。
「ならこの鱗人だっけ?この死体は眷属の核に決定するかな。他にその同期とやらをして強化できるモノはあるかな?」
『他となるとそちらの獣人の死体を影狼や暴虎の死体が同期可能です。また、人間の死体同士やオーガ等の亜人の死体同士を同期させることが可能です。』
ありゃりゃ結構なんでもできたりするの?近い存在なら可能みたいな感じかな?
「ん~ならこの獣人のお姉さんの死体とこっちのエルフの死体を核にするかな。」
ちなみにエルフと獣人、鱗人は胸の大きい女性の死体を選びました。後悔も反省もしない。胸の大きい女性を選んだからといって胸の大きい女性の眷属になるとは限らないけど。期待はしている。
『では、その死体にマスターの血を与えて下さい。』
「指切って垂らせばいいのかな?」
『はい。魔法陣の焼き付けと魔力の譲渡こちらで行いますので、後は一定の量の血を死体に与えていただければ眷属召喚が可能となります。』
「ストーンウェポン。」
魔法で造りだした短剣で掌を切り、滲みでた血を死体へと振り掛ける。
『マスターの血を確認。マスターの血液を媒体に術式を発動。眷属召喚を開始します。』
コアの声と共に地面に浮かぶ魔法陣。
極彩色の光りと共にドロリと溶ける死体達。
肉汁の中を蠢くタールのような黒色のナニか。
それが素体として選んだ死体を飲み込むと地面に黒いシミが広がる。
なんだろう。この世界の魔法はグロくなくてはならないとかいうルールでもあるのか?
『召喚陣は順調に起動しております。マスターの血液を媒体に眷属の隷属式を発動。眷属の隷属化に成功しました。眷属の肉体の構築に成功しました。眷属の能力付与に成功しました。眷属の■■■■に成功しました。間もなく眷属が排出されます。』
いや、順調に起動って。それに隷属化って。■■■■ってなに?とか排出って眷属はどうゆう扱いなのか色々ツッコミどころが多いんですけど。
黒いドロドロの何かから黒い腕が伸び、腕から肩、頭、胴体と徐々に這い上がってくる。怖いよ。普通にホラーだよ。しかも、全身を黒いドロドロに覆われた三体の人の形をした何かが俺の足下に跪いているし。これが俺の眷属なの?エルフ成分とか獣人の要素は何処に?
『眷属の召喚に成功しました。召喚を完了します。』
コアの声と共に魔法陣が光りを放ちながら消滅する。それに連動する様に三体の体を覆っているドロドロに罅が入りその姿が現になると、俺の元には3人の美少女がいた。
金色の髪のエルフの少女に銀髪の獣人の少女。それに黒い髪の鱗人の少女。エルフの少女と鱗人の少女は綺麗だし、獣人の少女も凄く可愛い。でもさ。だからこそさ、召喚シーンを見たくなかったよ。
知ってるかい?この美少女達はドロドロに溶けた死体の肉汁から出来てるんだぜ!ハッハッハハハ凹むぜ!