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枯渇聖女は婚約破棄され結婚絶対無理ランキング1位の辺境伯に言い寄られる  作者: はるくうきなこ


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77解毒(フレイシア・イリ)


 眩しい光が収まると見覚えのある場所にいた。

 「フェイ大丈夫か?」

 ナジさんが心配そうに私を見る。私は彼に抱きかかえられたまま。

 「いえ、ちょっと下ろしてもらえませんか!」

 「ああ、すまねぇ」

 そう言うとすぐに私を下ろしてくれた。

 「あんた!何してるんだい?こんな所に女を引っ張りこもうってつも‥り?あんたフェイさんじゃないか。一体どうして?」

 そう言ったのは奥さんのカリンさん。


 「ばか!カリン。俺がそんな事するはずねぇだろうが、フェイが困ってるから連れて来たんだ。おい、見ろ。フェイの目を‥」

 ナジさんが私を指さす。

 カリンさんが私の顔をじっと見て「あんた幻覚剤を盛られた?一体誰にそんなもんを‥」

 呆れたような声でそう言うが早いが「俺はこのやくはあのマンドレイじゃねぇかって思うんだ。だが、あれは先日王城に運んだはず、そんな薬がどうしてフェイに使われたんだ?」

 私は何のことか分からずその場に固まったまま。

 「あんた、それより解毒薬があったじゃない。それをフェイさんに飲ませた方がいいよ。私すぐに用意して来るから、あんたはフェイさんを見ていて」

 「ああ、フェイ心配するな。すぐに目を覚ましてやるからな。お前はやばい薬を盛られてる。一体どこでそんな事になったか知らないが俺に任せておけ!さあ、いいからここに座ってろ」

 私は何が何だかわからないまま部屋のソファーに座った。

 あれ?この匂い‥薬草やスパイスの匂い。

 そしてここが先日お邪魔したウルフタン商会だと気づく。

 ナジさんが案内してくれた店の中だと。


 待っているとカリンさんがカップを持って来た。

 「フェイさんちょっと苦いけど我慢してね。一気に飲んでこれを口に入れるといいよ」

 そう言ってカップとクッキーを差し出された。

 「これを?」

 どうしていいかよくわからず戸惑っていると「俺を信じろ。フェイの悪いようには絶対しないから、何しろお前はカロの恩人だ。そんな相手に酷いことをするわけがない。なっ、いいから飲め!」

 まあ、別にナジさんを疑っているわけではない。ただ、理解が追い付いていないだけで。

 「わかりました」

 私はそのカップの中を見る。どろりとした緑色の液体。うえっ、これを?でも、せっかくの親切なんだからと勇気を出してぐいっと飲み干す。

 「ぐっ‥」思わずむせそうなえぐい味。

 「えらいえらい。さあ、これを一口かじって」

 カリンさんがすかさずクッキーを差し出してそれを頬張る。

 「さあ、これも」

 いつの間にか水も用意されていて遠慮なくそれを飲む。


 ひとしきり落ち着くといきなり眠気が襲って来た。

 何だか頭がぼーっとする。クリスが待ってる。クリスが好き。クリスが‥うぅぅぅん。

 私はそのままソファーに背中を預けた。


 *~*~*


 私達が付いていながら何たる失態!!

 私の推しが!!!

 「あいつは誰なの?」

 怒り狂ってラキスに聞く。

 「あいつはウルフタン商会の頭です。フレイシア様と知り合いみたいでしたが?」

 ラキスが慌てる。

 「一体どうなってるんっす?フレイシア様はどこに連れて行かれたんで?」

 「そんなの分かるわけないじゃない。とにかくウルフタン商会に行くわよ。転移したって事はあっちにも転移陣があるはずね。急いで転移するわよ」

 私達も後を追ってウルフタン商会に転移した。

 向こうで何があるかなんて言ってられない。

 緊急事態!!

 

 どうやら店の奥に転移陣があったらしく人はいなかった。

 ほっとして辺りを見回す。


 「とにかくフレイシア様を探すわよ」

 私達は店の奥にある部屋から彼女を探す。おっと女がキッチンにいた。

 姿を隠して他の部屋も‥

 店の客間にフレイシア様がいた。

 ナジとか言った男も一緒にいる。

 女が飲み物を持って戻って来るとそれをフレイシア様に勧めている。

 もしかして毒?

 ああ~!うそ、だめだめ。そんなものをくちにしちゃ!!

 思わず飛び出しそうになるがラキスに止められる。

 「どうも様子がおかしい。あれを見ろ、どう見てもフレイシアさんを心配しているみたいだぞ」

 落ち着いて会話を聞くと確かに。

 じれったいがもう少し様子を見ようと。


 フレイシア様が飲み物を飲んだ。うわっ、まずそうな顔。クッキーを差し出されそれを頬張る。可愛い。いやいや、今はそんな事を思っている時ではない。

 大丈夫かな?ラキスもし、フレイシア様に万が一のことがあったらあんた許さないわよ!!


 フレイシア様が横になった。まさか死んだ?

 もう我慢できない!

 「お前ら、私のフレイシア様に何をした?!」

 見境もなくフレイシア様の前に飛び出した。すぐにフレイシア様の息を確認する。死んではいない。眠っているだけだと分かりほっとするが。



 「お前は誰だ?フレイシアって誰のことだ。クッソ!おい、キト!」

 ナジという男が人を呼んだ。

 しゅばっと黒い影が現れる。

 ああ~この人知ってる。王城に荷物を運んでいた老人だ。

 って事は?

 ラキスとシグスが飛び出してきて3人でフレイシア様を守るように取り囲む。

 「お前ら、彼女に何をした?毒か?どうして彼女は」

 怒りで言葉使いは男言葉になっている。

 「お前らこそ誰だ?俺はフェイの様子がおかしいと思ったから。フェイは幻覚剤を飲まされてるぞ。今、解毒薬を飲ませたところだ。一時すれば目を覚ます。心配するな」

 「どうして天狼のくせにそんな事を?お前らは雇われた奴の事しか聞かないはず」

 「フェイは俺と息子の命の恩人だ。そんな人に危害を加えるような事するわけねえだろ!」

 命の恩人?フレイシア様一体どこでそんな事を?おまけに天狼の命まで助けたとは?


 何がどうなってるのよ~!!







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