73手紙を受け取りに(ラヴァード)
議会を終えるとメンズ辺境領から急ぎの知らせをシュテが届けた。
『急ぎの知らせです。実はグラマリンの聖教会にフレイシア様の母親の手紙が残っていました。ローダンが亡くなった事で20歳になったら手渡すはずだったものがフレイシア様に届いていなかったようです。何か特別な事が書かれているのかもしれないと思い手紙をフランニークに届けようと思っています。持って行くのはメイズの者でない方がいいのではと思いチェスナット辺境騎士隊のスクト隊員に頼むつもりです。転移に準備は出来ています。都合のいい時間を知らせて下さい。マリス』
マリスはメイズ辺境領に長年勤める執事だ。
「叔父上、もしかしたら何かあるのかも知れませんよ。母がわざわざフレイシアに残していた手紙なんて‥一体何が‥」
「ラヴァード、あまり期待するな。単なる祝いの手紙かも知れないだろう?」
「でも、母は魔物に襲われて亡くなった。意識もほとんどなかったと聞きました。だとしたら手紙はそれより前に書いてあったはず。絶対何かあるんです」
「まあ、お前がそう言うなら‥こっちに来させるよりお前が行ってきた方が早くないか?その方が危険も少ないだろう」
「そうですね。そっちの方が手間が省ける。チェスナットの騎士に危険な目に合わせるわけにも行かないでしょう。エバンの事も今は公にして騒ぎを大きく支度はありませんし」
「ああ、ラヴァードさっきの議会の様子をどう思う」
「完全に操られてますよ。あんなのおかしいじゃないですか。すべての貴族連中が同じことを繰り返すなんて考えられません!」
「ああ、王妃もかなり焦っているようだ。いざとなったらエバンを助け出して転移で逃がす手配も必要かもしれん。とにかく返事を出すより急いで行ってこい!」
「はい、そうします。すぐに折り返し戻ってきます。フレイシアの事頼みますよ。クリス殿下に話をしてみるなんて言ってましたから」
「ああ、これから様子を見に行ってみよう」
「ええ、お願いします。じゃあ、行ってきます」
俺はすでにラビウドだと言うことはほとんどの者が知っていたが今回は用心した方がいいと思いフランニークから転移して辺境に戻った。
「ラヴァード様、一体どういう事です?何か異変が?」
「いや、マリスお前の知らせを聞いてこちらが転移した方が早いと思ったから、それでスクトはどこだ?」
「ここです。お久しぶりです副隊長。お元気そうで良かった」
「ああ、手紙の件すまない。助かった。母がわざわざフレイシアに残していたんだ。何か大切な事が書かれているのかも知れんな」
「はい、グラマリンから知らせを聞いて急いでこちらに来たんです」
スクトは瞳を輝かせて張り切っている。
「ああ、助かった。もっとゆっくりしたいんだが、今は忙しくてな。すまん、手紙を受け取ったらすぐに戻らなくてはならない。スクト、もうしばらくチェスナット辺境の事よろしく頼む。みんなにもよろしくと伝えてくれ」
「俺は行かなくていいんです?」
しゅんとしょげたスクト。
「すまん。また、落ち着いたらみんなをキアラルダに招待するから、すまんな」
「いえ、いいんです。少しでもお役に立てたなら‥あのそれで隊長はどうされてます?フレイシアさんとうまく行ってるんですよね?」
ああ、そう来たか‥
「ああ、も、もちろんだ。でも、フレイシアも忙しくてな。エバンは暇を持て余している」
「そうですか。良かった。みんな心配してたんです。隊長に少しはこっちにも帰って来て下さいって言って下さい。まあ、愛しのフレイシアさんのそばを離れたくないって気持ちはわかりますけど‥」
二人がうまく行った事を心から喜んでいるんだろうなスクトは。
胸が痛む。
何とかしてエバンを助ける方法を考えなければ。
「ああ、伝えてみる。でも、今は離れたくないって言うかもな。まあ、心配するな。じゃ、すまんが急ぐから。マリンすまない。もう帰る。後の事よろしく頼む」
「ラヴァード様、こちらの事は何も心配はございません。旦那様にもよろしくお伝えください。くれぐれも無理をなさいませんように、あなたはキアラルダ帝国の大切なお方ですので」
「ああ、お前も無理をするな。では」
そしてまた急いで転移してフランニークに戻って来た。
急いで手紙をフレイシアに渡さなければならない。本当は今すぐにでも中身を見たい。でも、母がフレイシアに宛てたんだから。
俺は、はやる気持ちを堪えて王城に戻った。




