59意識失ってました
「フレイシア‥」
(うん?誰かが呼んだ気が‥キア?)
私はゆっくり目を開く。眩しい光でうっと顔を背ける。
「フレイシア!どこか痛むのか?」
「えっ?‥誰?‥えば、ん。さま?」
「ああ、やっと気づいてくれた。君が目を覚まさなかったらと思うと気が気じゃなかった。よかった」
「ここは‥?」
天井から幾重にもなったレースの布が垂れさがり気づけば大きなベッドに。
ここはどこ?私何してた?
エバン様が不安そうな私に気づいたように。
「キアラルダの王城だ。フレイシアは俺を助けに来てそれで意識を失った。もう、あれから3日が経った」
あっ。
記憶が洪水みたいに押し寄せてエバン様が狂ったみたいになって私も焦ってパニックになって、それでめちゃめちゃ力を使って。
ああーそうだった。
いきなり起き上がるとエバン様の顔を両手で挟む。
「エバン様!」
「なんだ?フレイシア」
ふにゃりと彼の顔が緩む。
うそ。まだ精神魔法が解けてないって事?あれだけ魔力を使ったのに?
こうなったらもう一度やるしかない!
「エバン様、ここに寝て下さい。さあ、早く。いいですか。じっとしてとにかく私がいいと言うまで起きちゃだめですから!」
エバン様がきょとんとして固まる。これはひょっとして精神魔法のせいで精神が制御不能に?まずい!!
「いいから早く横になって!」
はっと気づく。私がベッドにいるからじゃない。
私はベッドから飛び降りるとエバン様の背中を押す。
「いいですか。エバン様はまだ精神魔法が解けていないんです。だから、私がもう一度‥「フレイシア。違うんだ。俺は元に戻ってる。大丈夫だ。俺より君の方が意識が戻らなくてみんな心配して‥」あっ‥それならそうと言ってくれれば‥」
エバン様がくるりと向きを変えてぎゅっと私を抱き込む。
「君が来てくれなかったら俺はきっと廃人になっていた。君が俺を救ってくれた。こんな俺の為に命がけで‥まったく、君はどこまで天使なんだ」
私は抱き込まれた腕からくっと顔を出して見上げる。
「ほんとに?‥じゃあ、私と一番最初に出会ったのはどこ?」
「ああ、ニルス国の王都ロステオで辺境に向かう馬車で、あの時の俺はヌバルと名乗っていた」
「ピンポ~ン。じゃあ‥「フレイシアの作ったプリンが食べたい。また、あのミニピザも食べたい。もう、絶対に離さない!」エバン様、私あなたの料理人じゃありませんけど」
「ちがっ!楽しかったことを思い出したらプリンの事を‥いや、そうではなくて。フレイシア結婚して欲しい。もう、待っていられないんだ!」
エバン様が真剣な眼差しで私を見つめる。
うっとりするほどイケおじだな。私、エバン様治せたんだね。良かった。正直もうダメかと思ったんだよ。
目が覚めたらいきなり求婚されるなんてなんて幸せなんだろう。ふふ、結婚。なんていい響き‥
「フレイシア?大丈夫か?まさか今度はお前が精神をやられたりしてないよな?」
急にエバン様の眉間に皺が寄ってぐっと目力の圧が強まる。
もう、その目、猛獣にも引けを取らないんじゃないです?でもだめですよ。そんな目しても全然恐くないですよ。
また、笑いが零れる。
「なっ!フレイシアしっかりしろ!」
「えばんさま~大好きです。返事はオッケーです。私、エバン様と結婚します」
「~~~!!!」
でれっとした顔のエバン様がくっと私の顎を持ち上げて彼の顔が被さる。少しかさついた唇が遠慮なしに私の唇を塞いだ。
「んん、んんんっ」
息苦しくて彼の胸を叩く。
「はぁ~もう、何するんです」
「なに?フレイシア。キスするときは鼻で息するんだ」
当たり前の常識とばかりに驚かれる。
「はっ、女慣れしたエバン様とは違いますので‥」
「慣れてなんかない。逆に嬉しいな。そんな事も知らないなんて可愛すぎる。今度はちゃんと息しろ‥」
言い終わる前に蕩けるようなキスをされてそのうち舌を差し入れられて私の舌を絡めとられて脳内がピンク色に染まって行く。
「ドンドン!エバン!フレイシアの容体はどうだ?」
聞いた事のある声がした。
私達はパッと離れ私はベッドにダイビングする。エバン様が上掛をばさりとかけ扉に向かう。
私は必死で口元を拭いキスの形跡を抹殺する。
「ああ、さっき気づいたところだ。今、呼びに行こうと思っていた」
彼も口元を手の平で拭っている。言い終わる前に扉が開いた。
「ほんとか?フレイシア‥良かった。もう、どうなるかと心配した」
ラヴァード副隊長が入って来た。
続いてイリとラキスさんとシグスさんだったかな。そして年配の人も。




