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枯渇聖女は婚約破棄され結婚絶対無理ランキング1位の辺境伯に言い寄られる  作者: はるくうきなこ


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56母から話を聞く(クリス)


 クリスは前日の記憶を手繰り寄せた。

 フレイシアに会いに出かけると具合が悪いと聞いた。

 会いたいと言ったが無理だと言われ、私を誰だと思っていると言いたくなった。

 そして無理にフレイシアの元に出向いた。

 そこで入って来た男。こいつが誰だ?フレイシアを傷つけようと?頭に血が上った。すぐに護衛兵に捕らえさせ、そして彼女が怯えないよう優しく接した。

 彼女を抱え込んで薬湯を飲ませて私は満足して帰った。



 まあ、今までろくに執務もしてこなかった私だが、フレイシアに助けられてからと言うものいつも気だるかった身体が嘘のように楽になった。

 何より彼女に私という存在を認めてもらいたいと願うようになった。

 このままでは聖女として活躍する彼女の相手にふさわしくないとばかりに執務に励むようになった。

 これまでも書類の上ではある程度この帝国の状態を知っているつもりだったが、フレイシアと共に領地に出向いて実態は酷く深刻だとはっきりわかった。

 だが、私は生まれ変わったつもりだ。

 今まで出来なかった政務を行えるようになりたいと思う。貴族議会でセレストのやっている罪を暴き次期王としてふさわしい人間になりたいのだ。

 そのためにはどうするべきか母に相談した。

 母は喜んで協力すると言ってくれた。でも、そのためには裏で動いてくれる人間が必要なのだとも教えてくれた。

 私は母が秘かに使っている闇ギルドの存在を知っていた。私を守るためずっと邪魔な存在を排除するために彼らを使っていたと思う。

 今までは薄々感じてはいたものの口にするのが恐かった。

 だが、フレイシアに所に男が尋ねていたと知って、いてもたってもいられなくなった。


 「母上実はお願いが‥」

 「もう、クリス。あなたは何も心配しなくていいのよ。でもね、きれいごとだけでは問題は解決できないの。セレストはそれはもう汚いやり方で私達を追い落とそうとしてきたの。それは今でも、ううん、前以上にひどくなっているわ。聖女が現れてセレストは焦っている。自分の立場が危ういからよ。だって、あなたが元気になって聖女と結婚でもしたらみんなあなたを信頼して王と認めてくれる。そうしたらセレストは今までやって来た悪事が公になって罪に問われるわ。だから、あなたは身を守らなければならないわ。そのためなら私はどんな手段でも使うつもりよ」

 いつもの母の繰り言だった。でも、今日は違った。

 「はい、母上。セレストは油断ならない奴だと思います。実はフレイシアの事が心配です。今日も彼女に会いに来た不審者を捕らえたところです。一人は取り逃がしましたが捕らえた男から情報を聞き出したいのです。それで、母上の使っている連中をお借りしたいのです」

 私はかなり真剣に母に頼んだが。

 「まあ、クリスったら、あなたはそんな事に関わってはだめ!いい事。そんな事は私に任せてあなたは何も心配しなくていいのよ」

 母上はいつまでも私を幼子のように扱う。

 「母上。今までは身体が弱くすぐに具合が悪くなる自分も甘えていました。でも、私はもう23歳にもなる立派な男なんです。いつまでも子供ではないんですよ。私はフレイシアに出会って彼女にふさわしい人間になりたいのです。そのためには手段を選んではいられないのです。だから、天狼をお貸しください。フレイシアを守るにはあの男の口を割らせなければならないのです!」

 気づけば私は立ちあがって拳を握りしめていた。

 母がその姿を見上げている。


 「クリス‥あなた。わかったわ。その代りあのもの達のやる事に口出しは一切不要よ。それがあの組織の掟なんだから。あいつらの魔力は飛びぬけていて拷問は精神魔法や闇魔法を使う事もあるわよ。それでもやるつもり?」

 「ええ、あの男の素性を、そしてフレイシアを守れるなら」

 「まったく。その年で初恋なんて‥」

 母は微笑んで私を見る。途端に心の迷いを見透かされたようになって。

 つい。

 「母上。フレイシアは私が兄だと言い張っていますけど、母上のおっしゃった事信じていいんですよね?私とフレイシアは兄妹ではないと」

 「‥‥‥困った子ね」

 「母上!」

 「クリスったら本当に困った子。これは絶対に秘密よ。約束できる?」

 「はい!」

 「‥‥国王は子作りが出来ない体質だったの。それで弟のマクリートが。この事は絶対に知られてはならないわよ」

 一瞬脳内が真っ白になる。ある程度想像していた。私かフレイシアがセレストの子ではないかと、でも、相手はあのマクリート大神官。ほっとしたようなそうでないようなおかしな気持ちになった。

 あっ。

 「じゃあ?だったらフレイシアは誰の?」

 「引退した先王の子供よ」

 「亡くなったおじい様の?」

 脳内が混乱する。まあ、3人の男の子が産まれたんだ精力はかなりの持ち主。まあ、もうとっくに亡くなっているが。だが、驚いた。

 「だから、シャロンもラビウドを諦めたのよ。王の子は彼しかいないからって、でも、お腹にもうひとりいたのは気づかなかったわ」

 「わかりました。とにかく母上、そういう事ですのでいいですね?」

 「まあ、それだけ覚悟があるなら天狼はあなたの好きに使えばいいわ。天狼には私から伝えておく。あなたには向こうからつなぎが来るはず」

 「ありがとうございます」





 







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