54王城に向かう(ラヴァード)
フレイシアが作ってくれたミルクココアで命の洗濯をして聖教会を後にすると叔父に大きなことを言って来たことが突然思い出された。
おいおい、なんて言い訳する。
はぁ、参ったな。
叔父さん臍曲げたら酷いからな‥そうは言ってもエバンの事が解決していない。一刻も早くエバンを救い出さなくてはならないんだ。
俺はラキス、シグス。イルにフレイシアの警護を頼むと急いでフランニークから転移して叔父の待つ一軒家に戻った。
「ラヴァード。遅かったじゃないか。何があった」
鋭い目つきで睨まれる。
「すみません。迂闊でした。フレイシアが攫われて「なにぃ?!」
「いえ、心配には及びません。もう助け出していますので」
「ったく。それで警護は万全なんだろうな」
「もちろんです。ネズミ一匹入れません。ご安心を!」
「そうか。では、お前も休め。明日は王城に出向くぞ」
「はっ?でも、俺は王になるつもりはありませんよ。そこはクリス殿下に頼んでくださいよ」
「だが、あいつは国王の子じゃないんだぞ。お前は唯一の王位継承者だろ?」
「でも、王族の血は引いてるんですから」
「それはあいつの器次第だな。無理ならお前しかいない。諦めろラビウド」
「クリスだって王になれるなら頑張りますよ。きっと」
「そうか、フレイシアを王妃にでも迎えればな」
「何を!そんなこと誰が。エバンとフレイシアは恋仲なんです。俺は二人を一緒にさせてやるつもりなんですから」
「王や貴族はそんなことだけでは済まされない。それくらいわかってるはずだ。万が一の時は腹をくくれ。いいな!」
「だから、嫌なんですよ‥ったく‥‥」
俺は翌日、叔父のエステル・メイズと一緒に王城に出向くことに。
「叔父上、やっぱりいくら何でも俺が行くのはやばいですよ!」
「いや、フレイシアが襲われたんだ。もはや一刻の猶予もならない。あっちがその気ならもう容赦はしない。いいか良く聞けラヴァード。20数年前シャロンが側妃になりおまえを産んだことでメイズの地位はコバート公爵家とほぼ同格となった。コバート公爵家は焦った。このまま王妃に子が出来なければ求心力を失いやがてメイズがのさばると。だからセレストを利用して王妃のメルローズと一緒に国王に毒を盛って病と見せかけた。そしてシャロンは王城を追い出された。お前はたった一人の跡継ぎだから王は離さなかった。最初はセレストも言うことを聞いていてうまく行っていたんだろう。クリス殿下が生まれてコバート公爵家も安心した。だが、そのうちセレストがコバート公爵を脅し始めた。そしてセレストがラヴァード。お前を追い出しクリスの後見人となり国王代理などと名乗り始め、そのうち国王もじわじわ毒を盛られたんだろう。命を落とした。そうなるとセレストの思うつぼ。コバート公爵家の力をそぎ自分の意のままに動く貴族ばかりを取り立てて自分の身の回りを固めた。王妃が気づいた時にはすでに遅かった」
「ええ、ですが国内が乱れて竜神の怒りを買い疫病や飢饉が起こって、そしてフレイシアが現れた。セレストは今焦っているでしょう」
「ああ、この時を待っていた。今こそ帝国の膿を出しきらなければまた同じことが起きる。エバンがニルス国を立て直したようにキアラルダ帝国も生まれ変わらなくてはならん。ラヴァード。今まで帝都で調べて来た証拠はあるな?」
「もちろんです。聖教会ではフォートが、王城ではイリが密談や密会などはシグスが隣国の取引の証拠はメイトが抑えていますので」
「ああ、お前は私の側近として一緒に来るんだ。証拠を議会に提出してセレストを一気に追い落とす」
「ちょっと待って下さい。そんな事をするって事は、もしかして、ガビアンも出てくるんですか?」
言い忘れていたがエストル・メイズ辺境伯の嫡男ガビアンは帝国騎士隊の隊長になったばかりだった。
「ああ、そのために今まで王妃に色々と恩を売って来たんだ。セレストはすっかり勝ち誇り油断していた。国王が病に臥せった時王妃の権限で帝国騎士隊長を任命できる事にしたままだと言う事を忘れている。だからフレイシアが聖女として現れてすぐに王妃にガビアンを隊長にするよう頼んだ」
「そうでした」
「ああ、セレストの言うことを聞く護衛兵がいても問題ないと思っていい。ガビアンも王城で待機しているはずだ」
俺たちは証拠を持って王城に向かった。
ガビアンはいるならエバンもすぐに助け出せるはずだ。
俺はシュテをフレイシアの元に飛ばした。
『俺と叔父はこれから王城に行く。叔父の嫡男ガビアンが帝国騎士隊の騎士隊長になっている。だからエバンの事は安心していいからな。フレイシアは身体を治す事だけ考えていてくれ。ラヴァード』
この時これなら今日中に片は付くだろうと俺は思っていた。




