41迷惑なクリス殿下
だが、困った事があった。
クリス殿下だ。
彼は毎日私の所に来てはしつこく迫って来る。聖教会にやって来ては会うまで帰らない。
「フレイシア、会いたかった」
また来た。はっきり言って邪魔で仕方がない。
「邪魔です。そこ、どいてください!」
「フレイシア、そんなに照れなくてもいいんだ。でも、君が働く姿もまた可愛いな」
「何言ってるんです!私がどれほど忙しいか。苦しんでいる人を一刻も早く助けたいと殿下は思わないのですか?ったく。これだから✖&#=・・!!!」
悪態をついてもまったく懲りない。何だ?この男は。
治癒が終わり部屋に入ると真っ先にクリス殿下に言う。
「クリス殿下。どうして何度言ってもわかって下さらないのです?あなたは私の兄なのですよ」
「そんな事どうとでもなる。君は聖女。私は王になる身。どんな手段を使ってでもフレイシア君を手に入れる。いいから、疲れただろう。今日は人気の菓子を持って来たんだ。一緒に食べよう。ほらおいで」
「それが私を疲れさせるってわからないんですか」
「おかしい事を言う。どうして私が君を疲れさせるんだ?私は邪魔はしていないだろう。君の言う通りにしているじゃないか」
ああ言えば、こういう。
どんなに説明しても彼は全くそれを理解しない。いや、言葉はすべてスルーするのか?
この人おかしい。いや、理解できない。
数日後、クリス殿下が帰るとフォート神官が言った。
「聖女様。あまり素っ気ない態度もどうでしょうか。一応次期王となるお方ですし、クリス殿下はずっと身体が弱くあまり自分の気持ちを表に出されることはなかったらしいのです。きっとあなたに助けられた事で殿下の自我が一気に芽生えたのではないかと。そのうちきっと気持ちも落ち着かれるはず、今は温かい目で見守って頂けると‥」
「でも‥」
「聖女様がすごく大変だってわかってます。私達も一生懸命協力を惜しみません。だからほんの少し殿下の事おおめに見て頂けませんか?」
「でも、あの人私の兄なんですよ。ご存知でしょう?」
「はい、ですがヒナ鳥が初めて見たものを親鳥と思うようなそんな感覚ではないかとマクリート大神官も仰っていますし」
「そんな事‥もう、仕方ないわね。でも、私はクリス殿下は兄としか見れませんよフォート神官」
「はい、もちろんです。それでいいと思います。煩わしいでしょうがしばらくの間御辛抱を‥」
「はいはい。まったく仕方のない兄ですね‥」
まったく。もう少し配慮ある接触なら家族としてなら受け入れる気持ちも少しは芽生えるかも知れないけど‥やり過ぎよ。ほんとに困った人だ。
何だかキアにはこんな人が家族だって思われたくなぁ。
でも、キアは全部見えてるんだろうな。
私が王女だっていまだ受け入れられない自分がいる。
私ったら。
もう、この運命を受け入れて行くしかないのに‥




