5ー2
それでも落ち込んでいるオリヴィエを見て「気にするな」と加えるマーリン。
胸に手をあて、視線を下ろす。
「害意はない、か。アイツらしい。これは俺の落ち度だ、オリヴィエ。呪いだと思い込んで頼んだのは俺だ。……いや、こっちからすれば呪いには違いないが。それに、まだ道が途絶えた訳でもない」
「一級を目指すのか」
頷きで返す。
「エルドラに来てからあまりに順調だったんだ、これくらいで挫折することはない。ギルドで着実に等級を上げていくさ、なあ? カナメ」
オリヴィエが来てからというものの傍で黙って立ち尽くすカナメに話を振るが、少年の言葉には反応せず、どこか虚ろな目をしていた。そんなカナメの様子を見てオリヴィエとマーリンがどうしたのだろうかと顔を見合わせる。
森での戦いが終わってから、普段からは想像もつかない程カナメは気が抜けていた。
「……あー、約束までまだ時間がある。買い出しに行かないか? カナメの武器も補充しておこう」
「…………あっ、うん。分かった」
やはり反応がいつもと違って遅い。
昨日の疲れが残っているのだろうか。
「大丈夫か?」
椅子から立ち上がって心配そうに顔を覗きこむオリヴィエ。「体の調子が悪いようならすぐ言ってくれ」
「大丈夫ですよ、オリヴィエさんに診てもらったんですから。ちょっと、ぼーっとしちゃって」
「部屋で休むか? あまり無理はするな」
マーリンの言葉にゆっくりと頷くカナメ。
「……うん、そうしようかな。お言葉に甘えて、約束の時間まで休んでるね」
「時間になったら呼ぶよ。武器は俺が選んでも?」
「うん、任せる」
「ゆっくり休め」
そうしてカナメが部屋を後にし、残された二人が再び顔を見合わせる。
「疲れてるのか?」
「昨日と比べたら元気なさそうに見えるね。無理もない、カナメが相手してたのはおそらく二級相当の術師だ」
「二級か。全く、面倒な連中だ。街で騒ぎになってる報せが本当なら、今回の件とこれはーー」
「ーー偶然ではないと思う」
教団の隊長と少年の考えが重なる。
現在。マーリンとカナメが横に並び、それに向かい合う形でアッシュとオリヴィエが腰をおろしていた。店の中には四人、外には見張りの教団員が二人。静まった店内で腕を組み、思考を巡らせている様子のアッシュ。
昨日の出来事を一通り説明し、話題は今朝入ってきた報せについて移っていた。
副隊長格、二人の訃報に。




