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少年のマーリン  作者: 相澤カナデ
第3話 少年とギルド

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30/66

3ー4



「いえ! ありがたい話です。ねえマーリン、折角だし受けてみようよ」


「ああ。けど、いいのか?」


 マーリンと呼ばれた子供がオリヴィエを見上げる。銀髪に碧眼、整えられた顔のつくり。貴族の出だろうか、高価そうな白の衣服がよく似合っている。いまから魔物の討伐に向かうというのに、汚れてもいい服で来ない辺り経験の少なさが窺える。


「四等級なら同等の依頼かその上を受けたいと思うが」


「いや、ここに寄ったのは単なる暇潰しだ。依頼内容もその報酬もさして興味がないよ」


「そうか。いや、助かるよ。是非とも提案に乗らせてくれ」


 ……何か喋り方が子供とはかけ離れてる気がしてならないオリヴィエ。いまの小さい子ってこんなものか?


「あの、今日はお願いします」


 恭しく頭を下げる彼女に「そんな畏まらなくていいよ」と言うオリヴィエ。


「気楽にいこう。君の名前は?」


「カナメです。こっちはマーリン」


「カナメとマーリンね。私の名前はオリヴィエ。二人とも今日はよろしく」


「ーーオリヴィエ?」


 カナメの隣に立つマーリンが声をあげる。「オリヴィエ・クレセント?」


「何だ、私のことを知ってるのか?」


 そう口にすると驚いた表情で顔を見合わせる二人。

 まさか自分の名前が子供にも認知されているとは。

 少しばかり嬉しい気持ちと、複雑な思いが、オリヴィエの胸中で交錯していた。






「ギルドに入ったな」


 ギルドの前で立ち止まる二つの影。

 内の一人は藍色の髪に銀の耳飾り、そして長身痩躯。いやでも目立つ男に「見れば分かるわよ」と返事をする女性。


「で、どうすんのよ。追うの?」


「どうせ戻ってくるだろ。気長に待とうぜ」


「はあ? 何時間待つつもりなのよ」


「そうイライラすんなよクルミ」


「別にイライラしてないし。っていうかリックが昨日店を回ってたせいで姿見失ったんじゃない」


 呆れて溜息を吐く女ーークルミが長身のリックを見上げる。

 赤茶の髪をおさげにした幼い顔立ち、気の強い態度。腕を組んでリックを睨む切れ長の目には明らかな苛立ちが見てとれた。


「昨日の時点で仕事終わってる筈なのに、いまから何時間も待つなんてバカじゃないの?」


「まあまあ。そこの店で朝食でも摂ろうぜ」


「それは食べるけど」


 ギルドの向かい側に建つ店に入るリックとクルミ。朝にも関わらず中は盛況で、案内を受けたのは店の外に置かれたテーブルだ。

 向かい合う形で席に着く二人。


「さっきから手元で弄ってるそれなに?」


「これか? 昨日買った魔道具」


「ああ。ガラクタね」


「いやいや、これすごいぞ? 一見ただのボールだが魔力を込めて地面にぶつけるとめっちゃ光る。目眩しに便利だ」


「逃走用の道具なんて私達に必要ないでしょ、金の無駄遣いやめてよね。……はあ、早くヴァンのところに戻りたいなー」


「これからみんな忙しくなる。あんまり我儘言うなよ」


「分かってるわよ。いちいちうるさいなデカブツ」


「そういうお前はチビだろ。ミルク頼むか? クルミちゃん」


「死ね」





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