3ー3
「悪いが」
眼前の扉を開ける前に振り返るオリヴィエ。彼等が仕事で付き纏ってくるのは理解している。やりたくてやっている訳ではないことも。
教団は魔物と敵対し、日々傷を負う。
「私には期待しないでくれ」
理解していながら、それを拒否するオリヴィエ。二人の反応を確認せずギルドに入る。
一息吐き、辺りを見回す。
早朝だというのに数えるほどの術師しかいない。ギルドに然程通っていないオリヴィエでもこの光景は珍しいと感じていた。一番人が集まる時間帯だと思っていたのだが。
そして、背後の扉が開かれる。
先程まで教団と衝突していたからか少し警戒していたオリヴィエだったが、彼女の横を通り過ぎたのは若い女性とーー子供、だった。
こっちの方が余程珍しいと目を丸くする。
掲示板の方に向かって歩く二人のあとを追う。
「人いないね」
「そうだな」
「依頼もないね」
「そうだな」
二人して溜息を零す様子を、オリヴィエは後ろで見守る。姉弟だろうか。肩を落とした後ろ姿から察するに、めぼしい依頼は見つからなかったようだ。
「五等級、四等級が数枚残ってるだけで、六等級にいたっては昨日から更新がないな」
「これ、みんな嫌だから残してるよね」
「だろうな。蜂型の魔物は面倒だし、一掃したところで素材の回収もほぼできない。数が多い割に報酬が少ないのもな」
「六等級は虫型多いよね。どうする? 受ける?」
「うーん。……受ける?」
うーん、と互いに唸る二人を見て、微笑ましい気持ちになるオリヴィエ。教団連中を撒く為にギルドへ入った彼女だったが、外でまた出会すのも面倒だと考えていた。
「そこのお二人さん」
だから依頼で時間を潰すついでに、可愛らしい姉弟の助けになればいいなと彼女は思った。
「もしよければパーティー組まないか?」
「パーティー?」
首を傾げる彼女。新参者だろうか。もしかしたら弟以外の魔術師と組んだことがないのかもしれない。
「ああ。盗み聞きしてたようで済まないが、君達はおそらく六等級だろう?」
「はい」
「私は四等級で、もしパーティーが組めるなら五級の依頼を三人で受けることができる」
ギルドでは自身よりも等級が上の術師と組むことで一つ上の依頼を受けることができる。六等級なら五等級、三等級なら二等級までという制限が設けられており、割合としては誰かと組んで依頼を受ける方が多い。
「六級の依頼にいいものがなかったなら、私と組んで上の依頼をと思ってね。余計なお世話だったかな?」




